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【市役所職員が思う】県が市町村連携を誘導することができるのか

地方の小さい市の市役所に勤めています。
「行政改革」といわれる仕事も私の仕事の1つです。

今日は、県の「市町村連携キックオフ会議」を
オンラインで視聴しました。

人口減少でも幸せを感じる地方での生活。
それを目指すために、市役所は何をすべきでしょうか。
私はそれを考える部署にいます。

地方ほど、都会から遠いほど、
人口が減少しながら、高齢化が進んでいる事実。

「失われた20年」いや、30年?で、
行政が担う(担わされる)仕事量が増えている事実。

地方公務員の数を減らす方法は、職員を解雇することはできないので、採用を減らします。
当然ながら職員も少子高齢化が進んでいます。

不景気が続き、行政が担う仕事が増えている現状に加え、このコロナ禍でさらに国から押しつけられた仕事量たるや。
増やされ、急がされ、競わされ、一向に減らないままです。
職員の数はそのままに、職員の高齢化が進んでいるのは全国共通。

誤って振り込まれたあの4630万円も、
コロナで過重な仕事を急がされた、
地方自治体職員の悲劇とも言えるのではないでしょうか。
他人事ではありません。

私は、市役所の仕事のリストラクチャリング(=行政改革)も担当していますので、この事実、傾向は完全に把握していて、
私の市役所でも多い年代は、50代で、
少ない年代は30代20代ということはよくわかっています。

近年、採用しようにも、働く人口が減っていて、
採用したくなる人材が減っていることも、
応募人数も減っていて、倍率が下がっていることを知っています。
結果、首をかしげるような人材を採用していることも、
肌感覚で理解しています。

それはデータとしても明白で、
第二次ベビーブーム世代は、毎年200万人生まれていました。
その年代の職員が退職する10年、20年後、
20代になる人たちは年間90万人しか生まれていないのです。
しかも、優秀と言われる人材ほど海外に、東京に、都会に流出しています。

「働く人の争奪戦」が始まっています。

そんな時代だからこそ、
少ない職員数でも、減らないばかりか高度に求められる行政の仕事を、さばいていかなければならないのです。
そのためになにをすべきか。

というありがたい説明を、県の担当者及び学者先生からいただきまして、
「市町村連携が必要」という認識を説明いただきました。

そして、この会議の趣旨は、
市町村連携を「県が主導していくぞ」という宣言の場でもあったのです。
私は県がどこまで本気なのか、それを見たいと思って、
オンライン視聴していました。

詳細は説明しませんが、
市町村連携(=広域連携)は、
本当に本当に本当に本当に本当に難しいです。
小さな事でも決めようと思うと、
それはそれはそれはそれはどんなに面倒か。
要望書をまとめるだけでも、
それはそれはそれはそれはどんなに面倒か。

関係する職員の数だけでも多いのに、
首長(=市町村長)が複数いて、
議決機関(=議会)が複数あるなんて、
どうにもこうにも、
調整が難しいことは容易にご理解いただけると思います。

コロナで「オンライン会議」を経験して、よくわかりましたが、
いろんな調整事も企画事も、
新しい何かを作り上げ、信頼関係を構築しながら合意するときには、顔色や表情が生で見える「対面」が、とても優れていると思います。
市町村連携はそもそも物理的距離があり、なかなか会えないわけです。

市町村連携という新しいルールを決めるのに、
それぞれ別の場所にそれぞれの行政と議会があるなんて、
何か新しいことを作り上げていくことが、
本当に難しいことは想像できることと思います。

そんな面倒で難しい仕事を県がやってくれるというのであれば、喜ばしいことなのですが、
県も職員の数の減少、人材確保の困難さ、業務量の増加といった、
市町村と同じ問題に直面していることは明らかです。
そんなときに、
こんなタフな仕事を、本当にやりとげる根性のある県職員がいるのでしょうか。
それも県のためではなく、市町村のためにですよ。
・・・
県も優秀な職員の確保、大変じゃないんですか?('-'*)w
県も他の県と連携すべきじゃないのですか?('-'*)w
県は連携、経験したことありますか?('-'*)w


なんだかちょっと、まゆつばものかな~。
国から指導されてか、自ら思いついてか、
こういう場を設定しようとしてくださった県の職員さんには申し訳ないですけど。

その会議を進行している県の職員の覇気のなさ。
やる気の伝わらなさ。
熱量のなさ。
表情のなさ。
とっても事務的な感じ。
海千山千の利害関係には敏感な田舎のじいちゃん議員に、簡単に負けそうな感じ。
この層は自分の利益に敏感ですよ…おまけに人口も多い。
ごくごく普通の、偏差値の高そうな大学を出たような公務員さま。
そんな彼らに、失礼ながら、
そんな困難でタフな複数市町村の調整ができるような、既成概念にヒビを入れるような破壊力を持っているようにはお見かけしませんでした。

実際、今までも、
「平成の大合併」「地方拠点都市」「中枢連携」といった、
様々な市町村連携・広域連携の枠組みが国から提案され、
特別地方交付税付きで奨励され、
積極的に動いてくれた市や元気な市の職員がいました。

それでもうまくいかなかったのです。

「市町村連携の新たな枠組みを始めます・・・」
と平坦な声と無表情で原稿を読み上げる県の職員さん。

私は今まで、県にはしごをはずされるような広域連携事務を経験しました。個人的には2回(だけ)ですけど。

信用、信頼関係を築くのはとても大変です。

必要なのは、「連携できる」という枠組みではなく、
市町村連携でしか解決しないと決断した困難な課題、
それに立ち向かう関係者の危機感とやる気です。

・・・お疲れ様でした。

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