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鞣しとは

鞣しとは動物の皮を革に加工するために行う工程を指します。
鞣しが行われる前の状態を皮とし、鞣し後の状態を革として区別します。
動物の皮は、そのままの状態だと腐敗してしまうため、防腐処理を行います。
しかし防腐処理の中で、皮のコラーゲン繊維の結合がほどかれてしまいます。
そのままの状態だと、本来の柔軟性はなくなり、乾燥すると硬化してしまいます。
そこで、コラーゲン繊維をタンニン等と結合することで、皮本来の柔軟性を維持します。
その工程を鞣しと称します。鞣しには様々な手法があります。
1. 植物タンニン鞣し

柿シブ等の植物成分を使用するタンニン鞣しは、革本来の質感を残すことができます。
コバ(革の断面)を磨いて艶を出すことができる等、素材の強味を残すことが特徴です。
茶褐色でph値が高くなるほど濃色となるため、光によって暗色化が起こります。
ヌメ革はタンニン鞣しによって製造されるため、より経年変化を楽しむことができます。
摩擦に強く、堅ろうで伸縮性が小さく、鞄や靴底革等に適しているといわれています。


2. 金属鞣し

金属鞣しは短時間で大量の革をなめすことができるため、最も多く用いられています。
塩基性硫酸クロム塩や三価クロムを使用したクロム鞣しが代表的です。
植物タンニン鞣しに比較すると結合量が少なくなるため、柔軟性を保つことができます。
軽くて伸縮性があり、吸湿性も高く、耐熱性もあるため、服飾品にも適しています。
鞣し後は青色になりますが、染色性にも優れています。
3. その他
上記以外にも油鞣し等の鞣し手法や、複数の手法を工程に含める等探求は進んでいます。
鞣しの工程は、複数回行われる場合も多く、Tannerの個性が現れる工程でもあります。
それぞれの手法の特性を熟知したうえで、使用用途に応じて手法も変化します。

また、自然素材を多く使用した鞣し手法は、1990年代からヨーロッパを中心に、工業廃棄物の観点からも評価されており、国内ではJES(日本エコレザー基準)という基準が設けられています。
JESに認定される革材料は、「皮膚断面繊維構造を損なわない革」に限られ、再利用においても革の機能を損なわないことが大前提とされています。
参考:一般社団法人 日本タンナーズ協会 「鞣すとは」
http://www.tcj.jibasan.or.jp/dictionary/process/tan.html

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