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つらつら と。

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テキスト機能にそのまま書いた詩を集めたマガジンです。長めの詩を読みたいときに開いてみてください。
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2019年3月の記事一覧

名づけた日

失ったものはなにもないのに
ぽろぽろ 毎日
なにかをこぼしている

「終わり」を浮かべて
遊戯している僕らだ
本当はなにも、知らないのに。

愛しいだとか
苦しいだとかが
まざった感情がうきあがる

ここは真夜中 水の中

誰か 誰か いませんか

ロッカールームの鍵を返して
100円を取り戻す

切符を入れて入場し
残り58分の待合室

かわるがわる
入れ替わる 人 人 人

なにか

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春のこと

とりあえず段ボールに放り込んだ  

2年続けた日記帳
期限切れのクーポン券
何に使うかわからなくなったネジ
君からの手紙

これから僕の行く先は
少し遠い場所

電車を乗り継いで9時間
新幹線なら5時間半
飛行機は、出ていない

手紙は2日くらいかかるだろう
メールならすぐだけど、

君がメール嫌いなこと
忘れてない。

「いつでも帰ってきてな。」
家族も、友達も、口をそろえて言う

「身体に気

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記号化された一日のはじまりに

気温20℃
湿度78%
曇/雨

それが今日をあらわすすべてだと思った

脈拍は高く空を打って
目の下が 黒っぽい

烏が今日の運勢を告げようと
ひっきりなしに電話を鳴らす

わたしはのどに痛みを覚えた

気温20℃
湿度78%
曇/雨

鞄に入れた 折りたたみ傘が
壊れていることを知りながら
知りながら 僕は、

地球の底を叩くような 雨を待っている