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占い師が「先生」を離れる理由

どんな人生を歩み、どんな人柄で、今なにを思っているのか?
背景が全くわからない、縁もゆかりもないお客様の悩みをお聞きし、
10分~20分間という短い時間で解決に導く。これが占いという仕事だ。
 
セットしたタイマーがピピピッとなるまでが、私に与えられえた時間。
スタートボタンを押した瞬間から、超高速回転で思考を巡らせ、
解決までの道筋を立て会話を進める。
タイマーの音が終わりを示した瞬間、
お客様を笑顔にすることができることが理想。
でも残念ながら毎回そうはいかない。
 
今持っている力で、できる限りのことはしているつもりだ。
しかし、問題が大きい場合は、それなりに時間が必要なこともある。
「これで鑑定を終わるべきか否か?」
占いの仕事で、最も苦手なこと、
延長するかどうかを決めなければならない瞬間だ。
 
会社員だった頃、
「もっと割り切った方がいいよ」と何度も友人に言われた。
どうやら私は人一倍、情に厚いらしい。
この「情」を占い師としてお客様にどこまで出すべきなのか?
占い師になった頃から私のテーマとなっていることだ。
 
占いの仕事を始めて4年。私はひとつのルールを決めている。
それは、『鑑定時間を過ぎた場合、占術を使わないで話をする。』
ということだ。
お客様から頂く対価は、占術を使うことが前提となっている。
だから、鑑定時間を過ぎてからは「先生」という立場を離れ、
ひとりの人間としてお客様と向き合うことにしたのだ。
但し、こういう時間をとるのは、このまま終わったら自分が後悔する、
そう考えた時だけと決めている。
 
「もっと割り切ったほうがいい」と言われていたのは、
誰かのためを思ってやっていたことが報われず、
その結果自分のストレスとなっていたからなのだ。
今、鑑定時間が過ぎてからの会話を続けるのは、
誰かのためではなく自分のため。
目の前のお客様が、ほんの一瞬でも笑顔になってくれる、
それがあるから私もまた一歩進むことができるのだ。