マスクのホルムアルデヒドを測定してみた。
最近、空気質測定器を購入しました。
(Temtop LKC-1000S+2nd)
その後、関連記事のコメント欄で『マスクのホルムアルデヒド測定』のリクエストをいただきましたので、今回の記事でまとめたいと思いまーす。
なお、先に結論を書いておくと『影響は測定最小値未満』または『不明』です。私の判断ですが。
結構真剣に条件を考えたので手間でしたが、『素人が正しい測定と評価をするのは難しい』という認識が持てたので、やってみてよかったです。
ということで、記事の内容は結果に至るプロセスが主になります。
興味のある方はどうぞ。
◆結果と所感
『ビニール袋に測定器とマスクを入れ変位量をマスクのHCHO/TVOCとする』という方法で測定した結果、3種のマスクでどれも変化なしでした。
この結果をどう判断するのかは難しいですが『測定最小値未満(0.01未満)』で良いかと思います。
◇◇◇
私は『マスクは許容値以下で検出できる程度のTVOCの影響を受けているのだろう』と考えていました。なので、数値として出ると思ってましたが予想は外れましたね。
なお、ほとんどすべてのマスクで使用されているPP(ポリプロピレン樹脂)は、危険な量の有毒ガスが発生するようなものではないと考えています。
(PPは薬品の容器や食器にも利用されています。)
それでも、マスクの製造環境はすべてがクリーンルームである保証はありませんので、『製造環境中のTVOCがそのまま付着し封入されている』と考えました。
おそらくそれは正しいのでしょうが、今回測定した以下の3つのマスクについては、その環境がクリーンだったということかもしれません。
・興和『三次元高密着マスクナノ』
・玉川衛材『フィッティ 7DAYSマスク EX』
・SAVEWO『3DMASK ULTRA』
◆試験デザイン
さて。
今回の試験デザインを決めるにあたり特に意識したのは『再現性があること』と『最高値を検出すること』です。
私はどっちかと言えば『良い結果が出て欲しい』というバイアスがある側なので、その辺は余計にシビアに考えました。
結果、試験デザインは以下のようになりました。
◇◇◇
<前提条件>
・マスク、使用機器、ビニール袋は以下である。
<手順>
ビニール袋に室内の空気と測定器を入れる。
(空気は目分量、約1リットル)クリップでビニール袋を密閉する。
数値が安定した後『初期環境値』として記録する。
(数値の安定は60秒以上の同一値とする。)ビニール袋からクリップを外す。
開封直後のマスクを入れる。
クリップでビニール袋を密閉する。
数値変化を60秒まで観察。
『60秒後の数値』を記録する。
『最高値』を更新し続ける限り観察する。
(60秒の更新なしで安定と判断し、観察を終える。)『最高値-初期環境値』を結果とする。
<補足>
・マスクのTVOCはパッケージから出した際に拡散してしまう可能性がある。出来るだけ速やか(5秒以内)に試験環境へ入れ密閉を終える。
・マスク表面や内部に付着した微粒子等の影響を考え『衝撃後』も測定する。手順は、密閉後にビニール袋の外側からプリーツ形状などを10回開閉し、さらに指先で弾き10回衝撃を与える。安定した数値を『衝撃後』として記録する。
・体温が試験環境に影響を与えないようにするため、指先のみでの操作に注意する。
・測定器は正面から見て左側に空気の取入れ口がある。
マスクの静止時、取入れ口から1-3cmの距離に一部が収まるようなマスク配置とし測定する。また、ビニール袋内の空気を循環させるため、測定器を中央付近に配置する。
・表示値にゆらぎ(0.01,0.02をいったりきたりなど)がある場合、安定と判断し高いほうの数値を採用する。なお、初期環境値の場合は安定するまで空気を入れ替える。
◆結果についての注意点
それなりに気をつけて測定したつもりですが、結果については以下のような注意点があるかと思います。
・濃度は環境の容積により変動すると思われるため、検出した数値は[mg/m^3]とはならない。
今回を1リットル環境と仮定し結果を[mg/m^3]に補正するなら、1000で割る必要があるかもしれないが、わからない。少なくとも何らかの補正が必要。
上記のみを考えても他の基準値等と同列に比較できる数値ではない。
・今回使用したマスクはどれも購入から半年以上経っているため、TVOCが抜けた可能性はある。(3種中2種は個包装されていたが。)
・3種とも各1個しか測定していないので、当たりだった可能性がある。
・マスクのフィルター繊維に付着したTVOCは今回の手順ではほとんど分離出来ていないと予想する。
◆おわりに
いろいろと手間かけてやった結果『測定最小値未満(0.01未満)』または『不明』と私は判断します。
マスクのホルムアルデヒド等についてはマスクについてのJIS規格『JIS T 9001及びJIS T 9002』で基準値があります。
安全性について気になる方はJIS規格について調べたうえで、適合するマスクを選んで使用するのがいいかもしれません。
◇◇◇
素人のDIY程度の試験で何かを判断するというのも難しいですが、今回の結果としてわかったのは『良いやつはほぼ検出しないかも』ということ。
なので、似たような手順でかなり高い数値を示すようであれば『ヤバイマスク』かもしれません。中にはそういうのもあるでしょう。個人的には謎メーカーのものや布マスクは注意という感じでーす。
マスクを使う方は、お気をつけて!