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読書記録 『月曜日の抹茶カフェ』

コロナウイルスという言葉が、世の中に出始めて、そろそろ3年になろうとしている。
ということは、まるまる2年間をも間、外出時にはマスクをつけて出かけているということになる。

そんな世の中でどこかへ出かける時には、マスクをつけ、耳にはイヤホンを、手にはスマホか本を持ち、周りの人とソーシャルディスタンスで距離を置き…。
今思うと、自らが外の世界との接点を遮断して、思考回路も内へ内へと進んで行っていたなと改めて感じる。

コロナ禍で友達に会うことも、そして新たな出会いというものも格段に減った。
そんな中でも「はじめまして」をした相手はいるものの顔の半分はマスクの下に隠されてしまっている。
また、もともと会っていた人たちの口元の記憶がどんどんと薄れていっているのも事実で、なんとも悲しい…。

しかし一方で、この渦中で新たに好きなもの…というか推しに出会うこともできたのは、私自身大きな転機だったと思う。
それからというもの、Twitterで好きを共有できたり、また繋がれたりとSNS上ではあるが、とてもステキなご縁が生まれたと思っている。改めて本当に感謝です。

実際の暮らしにおいては、なかなか新たな出会いという機会に恵まれてはいないが、SNS上であれステキな縁に恵まれたことがとても嬉しかったりするのです。



そんなコロナ禍により私自身、希薄化していた人との関わりや、また縁そのものの暖かさだったり、
人と人との間にしか生まれない言葉の力といった
忘れかけていたものたちをじわーっと思い出させてくれた作品が
『月曜日の抹茶カフェ』である。

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。 
その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、1度だけ「抹茶カフェ」を開くことに。 

ツイていない携帯ショップ店員と愛想のない茶問屋の若旦那、妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、時代に取り残されたと感じている京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名字と同じ名前の京菓子を買いにきたサラリーマン……。 


この縁は、きっと宝物になる――。 


人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押していることに気づく、 
一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心癒やされるストーリー。 (あらすじ)

青山さんの作品は、今回で3作目。
以前、『お探し物は図書室まで』と『木曜日にはココアを』を読んだことがある。
個人的に本屋大賞は、『お探し物は図書室まで』だろうと思っていたぐらい暖かくホロっとさせられた。
だからだろうか、読み終わってすぐとりあえず家族に連絡しおすすめしたぐらい好き。

『木曜日にはココアを』は『月曜日の抹茶カフェ』の前作。シリーズでいう第1作目である。
人との繋がりが描かれており、そこで登場した人物たちが抹茶カフェの方にも登場したりするから、これまた面白い。今度またココアをの方も再読しなきゃと思っているところ…。

『月曜日の抹茶カフェ』は東京と京都を舞台にした短編集。
睦月から師走までの12ヶ月を、11人と1匹、計12の物語が紡がれている。

青山さんの作品の面白いところは、ただの短編のうちの一編だけれども、本一冊を通して見たらあちらやこちらと絶妙に関わり合いっているところが読んでいて楽しいのだ。
あと、登場人物それぞれが心の内で抱えている問題と真摯に向き合う姿勢や決断後の気づきであったり、読んでいてそっと背中を押してくれるような…そんな物語たち。
登場人物たちのように、とりあえずがむしゃらでもいいから一歩踏み出したくなる。なんだかじっとしているのが勿体なく感じてくるのだ。



「人でも物でも、一度でも出会ったらご縁があったってことだ。縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。小さくても地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたりうまい実がなったりするんだ。種のときは想像もつかないような」
p,14 より引用

縁って本当に不思議なものですよね。
意外なところと繋がっていたりする。自分が思っても見なかったところとかと。
この縁というもの、私的には神さまが仕組んだサプライズだと思っている。
多分、神在月の期間に八百万の神さまたちが出雲で、どことどこを繋ぐか話し合っているんじゃないかなと思っている…☺︎

その神さまが仕組んだサプライズに、気づきそして大切にして温めていきたい。
そしたら、またそこから始まる新しい縁にも繋がっていくはずだから。


今の世の中は少し落ち着いてきてはいるけれど、すっかり元通りというわけではない。これからまたどうなって行くのかさっぱりです。
そんな先の見えない世の中でも、必ず何かいいことがあるはず。

仕事ばかりの毎日だけれども、そんな日々にも何かがきっかけで縁の端っこが顔を出しているのかもしれない。それを見つけて捕まえられるようマスクをしてどんなに顔が見えていなくとも、笑顔で過ごしていきたいもの。

2022年の初詣は、
「2021年より、より良いご縁に恵まれますように」と神さまに伝えようかな…。



今とても、京都へ行きたい…。
あっ、あと岡山も
🍡

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