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コントが始まる 5話 感想
今回は春斗(菅田将暉)の未熟な人間性が目立った回でした。
潤平(仲野太賀)の気持ちが持たずマクベスは正式に解散することに決まります。
マクベスの一番のファンである中浜里穂子(有村架純)の仕事帰りを待ち、公園で報告する春斗。
「努力って報われると思いますか?」と里穂子に春斗は聞きます。
30前の男が聞くかな?とは思いましたが、里穂子は丁寧に答えます。
「努力した人は報われてほしいとは思いますけど、本当に報われるかどうかは正直わからないですね」
春斗は「なるほど。もしかして中浜さんはどっちかって言うと報われた経験の方が少ないかもしれないですね。何かで成功した人は報われるって肯定的に言うし、失敗した人は報われないって否定的にとらえがちなんですよね。この手の話って」と言います。
このセリフにびっくりしました。
春斗の考えでは人は自分の経験に基づいて考えを決めるという先入観があり、それを訳知り顔で言う人だとわかります。
まだ人生経験が浅く、特に大きな失敗が無い小学校高学年でも視野が広く賢い子は里穂子のように答えると思いますが、春斗にはわからないようです。
人は自分の経験だけでなく、周囲の人や、本や映画やドラマ、noteやブログに記された経験談など学ぶ機会は無数にあります。
そして自分の設定した目標が叶えられるかどうかは、努力は一つの重要なファクターですが、ひとくちに努力と言っても目標に対して効果的な努力をしているか、ライバルも当然努力しているけど自分の方が上回っているかなどポイントはたくさんあります。
努力だけではなく、運や才能、ここという時に最高のパフォーマンスができるかなど精神性も重要なファクターです。
春斗はずいぶん単純な考え方をするんだなと思いました。
もっと前のシーンで春斗は高校の同級生、小林勇馬(浅香航大)と会います。
感じ方は人それぞれですが、ここは個人の感想欄なので思った通り正直に書くと、春斗は彼に対しても未熟な人間性を見せます。
勇馬は高校時代、成績優秀でバスケ部のエース。
奈津美(芳根京子)の彼氏でしたが、潤平(仲野太賀)が奈津美を奪った形です。
勇馬は現在、会社を立ち上げ代表取締役社長として活躍。既婚者です。
潤平と奈津美は十年付き合っています。
マネージャー(中村倫也)経由で勇馬から展示会のPRイベント司会の仕事依頼がマクベスにきて、春斗は勇馬に会いに行きます。
勇馬「潤平は奈津美とまだ付き合ってるんだろ? 潤平も一緒に来るんだと思ってた。久々に会えると思って楽しみにしてたのに」
春斗「それ本心で言ってる?」
勇馬「どういう意味?」
春斗「潤平はまだ勇馬のこと気にしてるから」
勇馬「(笑って)おい、いつの話だよ。逆にまだ気にしてるって新鮮だわ」
春斗「えっ、強がってない」
勇馬「全然。だって俺、結婚してるんだぞ。お前、高校からずっと一緒にいるから時間止まってんじゃねーの?」
場所をバーに変えて。
勇馬「事務所に連絡するまでマクベスが解散発表したって知らなくてさ」
春斗「だと思うよ。俺たち無名だし」
勇馬「でもマネージャーさんからまだ続ける可能性あるって聞いてホッとしたよ」
春斗「ん?ホッとした?」
勇馬「これ嘘でも何でもなくてさ。高校の頃、ずっとお前らのこと羨ましかったんだよ。だってズルいじゃん。やりたいこと見つけて大学も行かずお笑いやるってさ。カッコ良すぎるだろ」
春斗「カッコ良いもんじゃねえだろ。潤平なんて奈津美にモテたかっただけだしな」
勇馬「そのへんの潔さが男として負けてたのかもしれないな」
春斗「でもいいじゃん。今あいつに全部勝ってんだから」
勇馬「勝ってるなんて思わないけどな」
春斗「思わないは嘘でしょ。それ逆に失礼だよ」
勇馬「正直さ、高校卒業したばっかりの頃は失敗してほしいと思ってたんだよね、お前のこと。でも大学入って進みたい道が見えてきた頃かなぁ。マクベスの活動がだんだん励みになってきてさ。あいつらも苦しい中もがいてるんだから頑張ろうって。何度も背中押してもらったんだよ。だからいつか一緒に何かやれればなって思っていたし、できれば力になってやりたいなって思ってたんだよね」
春斗「同情なんていらねーよ。俺たちってそんな可哀想に見えてんの?」
勇馬「そんなこと言ってないだろ」
春斗「言ってなくてもそう聞こえるんだよ。どうして失敗してほしいと思ってた気持ちが励みに変わったのか教えてやろうか? 自分がやりたい道で成功して俺たちのことが下に見えたからだよ。」
勇馬「そういうことじゃねぇって」
春斗「そうなの! それしかないの! もしマクベス続けることになっても勇馬のとこの仕事受けらんねーわ。だってただの同情なんだもん。商品を売りたいなら、どう考えたって俺たちじゃねぇもん。関係が対等じゃねぇもん。俺たち、どんなに売れてなくても同級生に仕事めぐんでもらうほど落ちぶれてないからさ」
春斗は最初から好戦的です。
春斗の気持ちになってみれば、元バスケ部のエースで現在は成功者の勇馬に対して劣等感があり、それでも奈津美は潤平を選んで今も付き合っている、潤平はマクベスのメンバーなのだということにプライドを持っていたところ、そんな十年も昔のこと何にも気にしてないと言う勇馬を前に、自分の勝てる要素が一つも無い事実に打ちのめされたのでしょう。
自分たちマクベスは十年前から一つも動けないのです。
できれば力になってやりたいなって思ってたという言葉に対等ではないと感じたのでしょう。
仕事の依頼ですから、そこは対等じゃないのが当然です。
けれど勇馬は本音を話していたと思います。
今は成功者でも、過去も現在もいろんなことがあって落ち込んだり悔しかったりしながら生きてきたと思います。
春斗は優秀な兄や里穂子が病んだ経験から、順風満帆に見える人でも苦しさがあることや、会社勤めの人の辛さなど知っているはずなのに、勇馬のことを点と点でしか見てないのです。
十年前、奈津美を潤平に奪われた点と、今は成功者となって仕事を依頼して見下しに現れたと思い込んでいる点。
点と点の線上にある苦労や様々な感情など他人のことに気持ちを寄せることができないのだと思います。
マクベスに励まされた、一緒に仕事したいと思っていた、その言葉が信じられないのです。
成功者の勇馬が何のためにわざわざ売れてない芸人を見下しに現れなければならないか、そんなことする必要もないのです。
春斗は道を下向いて睨みつけながら、自分のプライドを傷つけそうな石をどけながら歩いているみたいです。
そんなんで人間観察が基本の面白いコントなんか書けないし、たとえ石に引っかかって転んだって芸人ならネタになって美味しいし、転んだことから感情が爆発するきっかけになって変われるかもしれないです。
停滞よりマシです。
春斗の視野が狭い考え方にがっかりした回でした。
だからマクベスは表現力のある三人なのに売れないんだなぁとよくわかりました。
春斗じゃなくて瞬太(神木隆之介)がネタの脚本を書いた方が良かったかもしれません。
もしも勇馬に会いに行くのが瞬太だったら、マクベスにとって解散しない転機になっていたかもしれません。
潤平(仲野太賀)も高校時代面白かった子が勢いを無くしていく様子が描かれ、自分に対する周囲の評価を敏感に感じて落ち込んでいく気持ちがよくわかりました。
一番大きかったのは4話で真壁先生(鈴木浩介)に解散した方が良いと言われたこと。
そして今回、奈津美にもマクベスはまるで評価されてないことがわかります。
「明日イベントに出る予定だった芸人さんが入院しちゃってさ。急きょ代役探さないといけなくなったの」と言われ、「代わりにマクベス出ようか?」と言うと「ありがとう。お気持ちだけいただきます」と言われます。
「冗談だろ。本気で返すなよ」と潤平は笑いますが、潤平が笑う時は傷ついていることが多いです。
一応、単独ライブをやる芸人トリオなんだからイベントの代役くらいはできるはずです。
4話の感想にも書きましたが、奈津美は潤平が好きだけど、マクベスのことは評価していないのです。
潤平にもよくわかったと思います。
その後、雀荘のバイトで高校の後輩(三浦りょう太)が連れてきた会社の人たちに「一発ギャグやってもらっていい?」と潤平は言われます。
コント師とは言え、まだ売れる前の芸人ならそのくらい面白い返しをしたって良いと思います。
でも潤平は傷ついたせいかスベることを恐れるせいかプライドが邪魔するせいか、芸人魂みたいなものを表現することができません。
空っぽなんです。
もうマクベスは無理だな、と瞬太が泣きながら思ったように視聴者の一人である私も思いました。
つむぎと瞬太のカップルは唯一の癒やしです♥
「人に手を差し伸べるのは優しさからではない。誰かに頼りにされたり感謝されると自分の存在意義が簡単に保証されるし、生きてる罪悪感が少しだけやわらぐから。みんなは騙されている。私はただのズルい女だ」
と心の声でしっかり自己分析するつむぎ。
こういう気持ちはわかる人は多いと思います。
お年寄りに席を譲ったりベビーカーの為にドアを押さえてあげたりする時、人の為である一方、自分がいい気分になる理由もあることを感覚的にわかっているのです。
言葉にして分析するつむぎは大人だと思います。
でもそんなつむぎが今回、心の声で変なことを言うのです。
ゲームセンターで潤平といる時、メダルがたくさん出てはしゃぐ潤平を見つめながら
「マクベスの人たちを見ていると不思議に思う。結果が出ないことへの恐怖心は無いのだろうか? どうして自分たちの可能性にそこまでBETし続けられるのだろう?」
えっマクベスが解散を考えていること知っているのに、どうしちゃったの?
びっくりしました。
結果が出ないことへの恐怖心が無いわけないです。
つむぎならわかっているはずです。
今回は脚本家さんが変わったのかなぁと少し思いました。
1話から4話の感想も書いています。
次回も楽しみに見て感想を書きたいと思います。
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