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silent 8話 感想 考察

手話教師の春尾(風間俊介)が以前、湊斗(鈴鹿央士)に「聞こえなければ振り向かないですよ」と言ったことがありました。

想(目黒蓮)を呼んだら振り向いてくれる期待を持ってしまう湊斗に、ビシッと言った言葉です。

8話で春尾が階段の下から奈々を呼び、段上の奈々が振り向いたシーンが素敵に描かれました。



なぜ奈々はあの時振り向いたのに、
「聞こえなければ振り向かない」と春尾は言ったのでしょう?

手話サークルを立ち上げようとした春尾に辛辣な言葉を投げかけた奈々。
売り言葉に買い言葉で気まずくなり自然に離れてしまった二人。

私はあの後、春尾は奈々を呼んだことがあるんじゃないかと思います。

気持ちが通じて奈々が振り向いてくれれば。

春尾は自然と仲直りしたかったと思います。

でも奈々は振り向かなかった。

「聞こえなければ振り向かない」

春尾はそう結論づけて奈々への想いを封じ込めた気がします。

8年後、奈々が会いに来た時、春尾は奈々の背中に再び呼びかけました。

でも奈々は振り向かなかった。

あのシーンが過去の春尾の最後にしたことと同じだったのかな?と思います。



春尾と奈々についてはまた後で書きますね。

♥️✨💟✨💟✨♥️



紬(川口春奈)が想(目黒蓮)を大好きなのは
「一緒にいたくて、いるだけだからね。」という素直な表現からも、
懸命に手話を覚え使いこなしていく速さからもわかります。

でも紬は弟の光(板垣季光人)に「付き合ってない」とはっきり言い、



バイトの後輩と偶然会った時も「高校の同級生」と想を紹介し、彼氏と感じさせる言葉を選びません。

想が紬に対して、恋人への関係性に進まないよう壁をつくり、自制しているんだと思います。

紬もそれを感じているから「待っている」のでしょう。



リアルな話をすれば、例えば女性の再婚は妊娠している可能性を考え、離婚後100日(以前は6ヶ月だったが改正)経たないとできません。

紬と湊斗は上手くいっている恋人関係から突然別れたので、妊娠している可能性はゼロではありません。

でも想が躊躇しているのは、自分の問題だと思います。

✨✨✨

6話の感想に書いたのですが、
想には遺伝の悩みがあるのかもしれません。

想が耳が聞こえにくくなった時、担当医が遺伝のことを想の母(篠原涼子)に質問するシーンがありました。

そして次週の予告で想の姉が母に向けて

「お母さんの子供が聞こえないってことはさ、私の子供もあり得るってことだよね」

と強い口調で言っていました。

「お母さんの子供」って変な言い方ですよね。

もしかしたら想の両親は再婚で、今の父親は想と姉の実の父ではなく、妹の萌(桜田ひより)とだけ血が繋がっているのかもしれません。

想は高校時代、数学が得意でした。

合理的に考える想なら、単純に感情に流されるだけじゃなく、姉のような心配を抱えて躊躇している可能性は高いと思います。

実家に帰って心配性の母親と向き合うことは、
自分の悩みを増幅させることでもあり、それが帰省から足が遠のいていた理由の1つかもしれません。

子供への遺伝は50%位の確率と書いている専門家もいて、
予告の姉の台詞から考えて、その問題にも触れていくと思います。

26才同士が再び付き合うのだから、結婚問題を考えるのが自然です。
(ドラマ内で結婚を扱わなかったとしても想の心の問題として。)

二人の間に子供が授かったとして、紬や子供に
自分が抱えてきた悩みを背負わして良いのかどうか、想は悩んでいると思います。


二人きりの部屋でハグして。

キスもしなかった想。

抱きしめた紬の体を離す時「ごめん」と言っていました。

想は湊斗を親友だと思っているからこそ、

そして紬のことを大切に思っているからこそ、

紬の覚悟次第では自分が身を引いて、
湊斗のところへ紬が帰れる余地を残していると思います。

そのためにも情熱を封印してキスもしないで、

抱き締めて体温を感じることでのみ自制したのでしょう。

紬と友達に戻れるように、今の関係性を保っているんだと思います。

想は繊細でプライドが高く神経質なところがあり、おおらかで大ざっぱ(少しがさつ?)で包み込むような紬と相性は良いと思います。

あまり得意ではない料理のことを聞かれて手話がわからないふりした紬はとても可愛かったし、
二人がまとっている柔らかい空気感が素敵でした。

♥️✨♥️✨♥️✨♥️

さて。

奈々(夏帆)と手話教師の春尾(風間俊介)の学生時代の恋。

恋人までいってなかったけど恋と呼ぶに相応しい感情が描かれていました。


人物相関図を見ると、
桃野 奈々(27)
春尾正輝(32)

ボランティアで春尾がパソコンテイクした時
奈々が「一緒にサボってください。」と距離をつめる感じの提案をして会話が始まり、
春尾は院の2年とパソコンに打っていました。

奈々は5歳下なので大学一年?

堂々と主導権を持って相手の心をつかんでいく奈々は、年齢差を感じさせず積極的で自信家に見えました。


春尾が名前を呼び、気配で振り返って春尾を見つけて笑った奈々。
可愛かったし、可愛く見える表情や動作を知っているようでした。

奈々はかなりモテてきたんでしょうね。

でないと自分がパソコンテイクを頼んでおいて、一生懸命やってくれている相手の手を止めさせ、
「一緒にサボってください」
なんて言えないです。
 
可愛いと思われなければ傲慢だと思われるでしょう。
でも可愛いと思われると、ちゃんと知っています。

ところが二人が会わなくなった原因である理不尽な怒りを春尾に向ける時の奈々は、
まるで般若のような形相で、あまりのギャップに私はドン引きしてしまいました。

やはり奈々は自分の思い描く方向性から相手が逸脱しそうな時、急にスイッチが入って、強烈な毒舌で相手をやり込める性質があるようです。

想が奈々を恋人にしたいと思わなかったのは、奈々の毒が理由の1つだったと思います。

✨♥️✨

春尾が「手話通訳への道」という本を持ち、手話サークルを立ち上げようと仲間を集めていて、
そこへやって来た奈々をみんなに紹介しようとしました。
奈々は傷ついた顔して立ち去ります。

「どうしたの?」春尾が追いかけて聞くと、

奈々「遊び道具みたいにされて不快だっただけ。あの人たち、手話に興味があるんじゃない。良い人って思われたいだけ。」

春尾「そんなことないよ。みんな善意でやってることだよ。」

奈々「善意は押し付けられたら偽善なの。仕事にしてほしくて手話を教えたんじゃない。」

春尾「そんなに怒ること? 桃野さんのためになると思って」

奈々「いいよね。私といると無条件にいい人って思ってもらえるもんね。へらへら生きてる聴者からはさ。」

春尾「そんなつもりじゃないよ。」

奈々「どう受け取るかはこっちが決めることだから。」

春尾「(言葉)めんどくさいな。何に怒ってるかわかんないし、こういう道に進むの喜んでもらえると思ったのに。」


奈々「手話できるんだからしてよ! 唇読むの疲れる!」

春尾「俺だって疲れるよ。耳聞こえるのにわざわざ手話で話すの。すごく疲れる」

改めて台詞起こししてみても、奈々の傲慢さや毒舌な口調にクラクラします。

「へらへら生きてる聴者」って春尾が言ったのは、奈々に言われていたのがずーっと傷になって心にひっかかっていたんですね。

当然ながら、聴者であるというだけで「へらへら生きてる」は偏見です。

それぞれ悩みがあるし、聴者全員を一つのカテゴリーにひっくるめてレッテルを貼るのは、あまりにも視野が狭くて記号的な考え方です。

「あの人たち、良い人って思われたいだけ」という考えも、勝手に同じグループにひっくるめて決めつけています。

あのグループのみんなが同じじゃないし、それぞれ考え方は違います。

それに人間は多角的だから(良い人に思われたい)って感情が仮にあったとしても、その人のまるごと全部が偽善というわけでもなく、そういう面もあるとしか言えないでしょう。

いずれにしても関わってもいない他人が決めつけるのは傲慢すぎると思います。

「どう受け取るかはこっちが決めることだから」も卑屈で自己中。

「手話できるんだからしてよ! 唇読むの疲れる!」
手話を覚えることの大変さも理解せず、相手が自分のために努力することが当たり前と、まだ恋人になったわけでもないうちから考えるあたり、自己中の王女様です。

「めんどくさいな」
「俺だって疲れるよ」
言いたくもなります。

奈々にはそういうところがあります。

でも奈々の全部が傲慢なわけじゃない。

失恋を受け入れて切り替えると、想と紬を(心からそうなのかはわからないけど)応援するような潔い面も持ち合わせています。

残酷なほど激しく人間の優しさも歪みも多面的に描いているドラマだなと思います。

奈々は想に教えた手話を「使い回された」と表現しました。

ふられそうになって取り乱して紬にぶつけた言葉です。 

でも切り替えた後、
「私が想くんと話したかったから手話を教えた」と本音をちゃんと想に話し、紬の良さを彼に伝えています。

奈々は怒りがおさまると省みるところがあるので、春尾に送った手紙に何て書いたのか?

それを受けて春尾の心は動くのか?

とても興味があります。



♥️✨♥️✨♥️✨♥️

「紬を幸せにし隊」はドン引きです(笑)


silentの脚本は非凡な感じがするなと思っていましたが、

主役のために存在する都合の良い脇役たち

的な感じは、
凡百のドラマのような匂いを感じます。

脇役たちが都合良く記号化されるのです。

純文学的な世界観なのに、ギャグの滑ったエンタメがぶち込まれたような感じです。

三人を登場させたいからといって、主役の紬を立ててピーチクパーチクしなくても良いのです。
 それくらいなら登場しなくても良いかな?と思います。



恋愛なんて周囲が幸せにしたいと思って応援することではないし、幸せにしたいと思いやることは宣言することではないので。

湊斗と一緒にいたいから紬をダシに使っている真子(藤間爽子)と光ってことなら良いけど。

7話の感想で書きましたが、真子は湊斗の電話を紬に渡すときスピーカーにして自分も聞こえるようにしたので、湊斗を好きっぽいですよね。
そういう違和感のある行動はドキッとさせられて良かったです。

主役のために生きるんじゃなく、脇役でも感情があるなら真子はそれをぶつけて欲しいです。

真子が湊斗に告白する。
ふられる。
そのことを紬には言わない。


 そんな展開があるなら「紬を幸せにし隊」が前振りのブラックジョークになって、人間の欲が映し出され面白いんじゃないでしょうか?

紬と湊斗は別れているので、親友の元カレに告白して振られたのを黙っていても裏切りにはなりません。

でもそれを知っている視聴者は真子と共犯関係になるのでドキッとさせられます。

奈々をここまで描くドラマなので、親友の真子もそういう面が描かれる方が、純文学的な世界観に合っていると思います。

✨♥️✨♥️✨♥️✨


読んでくださり、ありがとうございます🙂♥️✨

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素人の感想なので誰にも忖度なしで正直に思うまま書いています。
あまり響かないと思えば無理せず、いいねを押さなくて大丈夫てす。😀

純文学的なドラマなので視聴者の数だけ様々な解釈があり、それが良いのだと思います。

次回の感想も読んでいただけたら嬉しいです。♥️💟✨