(番外編)ONEPIECE FILM RED感想レビュー【※ネタバレあり】

みなさんこんにちは!れもねどです。
前回の記事にも書きましたが、8/6より上映中のONEPIECE FILM RED、劇場で観てきました。

ワンピース界屈指のキーパーソン、赤髪のシャンクスが深く関わるという本作。ファンの間でも「物語の根幹に関わる重要な設定が明らかになるのではないか」と話題になっていましたが、正直言うと私はあまり期待していませんでした。

詳しくは後で説明しますが、ざっくり言うと前作の映画ONEPIECE STAMPEDE(以下スタンピード)が私にとっては非常に微妙だったからです。

今回は過去の尾田先生監修作品との比較を踏まえつつ、私なりにFILM REDの感想レビューをしてみたいと思います。

※ここから先はONEPIECE FILM RED及び劇場特典"単行本四十億巻"のネタバレを含みます。まだ未視聴の方、ネタバレが苦手な方はブラウザバックを強くおすすめします。

本文

私はこれまで16年間ワンピースという作品を追ってきました。連載開始から25年の歴史にしては浅い年数ですが、16年という数字は私にとってはイコール年齢であり、つまりワンピースとは私の人生そのものでもあるんです。

何が言いたいかと言うと、それほど好きな作品であるが故に、決してその全てを肯定できるわけではないということです。

単刀直入に言うと、今回の映画FILM REDに対する私の評価は微妙でした。

わかりやすい数字で表すと、☆5中☆2.8、100点満点中55点といったところでしょうか(※あくまで私にとっての基準です)。

と言うのも、これまで放映された劇場版ワンピースに原作者である尾田先生が関わるのは比較的最近になっての事で、それまでの劇場版に登場する敵キャラや舞台設定にはある程度の自由度がありました。
しかし、2009年公開のONEPIECE FILM STORONG WORLD(以下ストロングワールド)以降の映画作品は尾田先生が監修に加わるようになり、基本的に原作のストーリーに沿った重要な話が主軸になるようになります。

伝説の海賊"金獅子のシキ"に始まり、元海軍大将の"黒腕のゼファー"、テゾーロがそうかは微妙なところですが、"鬼の跡目"ダグラス・バレットは恐らくかつてロックス海賊団の船に乗っており、バレットの登場するスタンピード劇中では、最後の島「ラフテル」へのエターナルポースも登場していました。

次々に映画が公開されるにつれ、映画の内容と原作の内容の繋がりが深くなっていく。関係性が深くなっていくにつれ、劇場版の設定の自由度が狭くなっていく。
今回のFILM REDは、そんな「劇場版の宿命」の煽りを顕著に受けてしまった例だと思います。

FILM REDはなぜ「微妙」なのか?

映画を見終えた私の最初の感想は、「色んなことが起きていた割には物語は進まず、全体的に散らかり気味だった」でした。

具体的にウタの目的は、
・"ウタウタの実"の能力を使って世界中の人々をウタワールドに引きずり込み、差別も貧困もない平和な世界で一生生きさせる
ということでしたが、そのためには現実世界の人々を眠らせたまま、自身が眠ることなく自ら命を絶つことが必要でした。

そこでウタは「ネズキノコ」を使って眠らないまま命を絶とうとしますが、少なくとも映画の中では"ウタが自分の命を投げ打ってまで人々をウタワールドへ誘う心理的な理由"がわかりやすく説明されませんでした。個人的に、この辺の物語の展開に関わる重要な裏付けのシーンが致命的に少なかったのが敗因ではないかな、と思っています。

この辺りの説明は入場者特典の「単行本 四十億巻」のプロット公開ページにて明らかになりますが、劇場で特典を貰えなかった方、ましてや完全に初見で見に行く方(初めて観る方は全員そうだと思いますが)からすれば「あの時なんでこうなったの?」「どうしてウタは死ななければならなかったの?」という疑問ばかり抱えたまま映画館を出ることになります。

ストーリーの展開以前に、こうした説明不足、変に複雑な追加設定の数々が見ている側の混乱を誘い、裏方も登場キャラも豪華キャスト起用の予算のかかった作品でありながら、非常に微妙な結果になってしまった残念な映画のように感じられてしまったんです。

尾田先生監修作品の宿命

本文のさわりの方でちらっと触れましたが、ストロングワールド以降の劇場版ワンピースには「お約束」とも言える展開があります。

尾田先生初監修作品のストロングワールドでは、ルフィ達一行は劇中の"ラスボス"であるシキと出会い、一度敗北します。
その後攫われたナミを救うため、装備を整え、黒を基調としたシックなファッションに衣装チェンジして宴会の行われるシキの本丸へ攻め込み、ナミを救出して勝利します。

この
・出会い→敗北→衣装チェンジ→勝利
の一連の流れはその後の作品にも引き継がれていて、FILM Zではそのまま、ゴールドではそこにラスボスの巨大化が追加され、スタンピードではさらに全勢力の集結が追加されました(わかりにくい表現だとは思いますが、ローやサボ、ハンコック、スモーカー、ルッチなど様々なキャラとの共闘のことだと思ってください)。

映画を作る上で今回もその「お約束」の流れを汲まなければならず、また歌手であるAdoさんをはじめとするアーティストの方々や、最大の見どころであるシャンクスとの絡みも魅せなければならなかったので、結果的に非常にごちゃごちゃした説明不足な作品が出来上がってしまったのではないか、というのが私の考察です。

また、スタンピードを見た私の「微妙」という感想もこのためで、ドレスローザであれだけルフィが衝撃的な顔を見せたサボが共闘に参加する場面も、ただルフィが「サボ!」と嬉しそうにするだけで、ゴールドで引っ張った分貴重なサボとの出会いのシーンでどんな反応をするか楽しみにしていた私は、正直「それでいいのかよ...」と拍子抜けしてしまいました。

他にも、それまで敵対していたルッチスモーカーがあっさり共闘に参加していたり、ゾロ以外の麦わらの一味のメンバーが目立った活躍をしなかったり(そのせいでせっかくのウソップの機転が薄くなってしまったり)と、これも映像がすごかった分 内容でがっかりしてしまった残念な作品でした。

果たしてこの「お約束」を今作でも引き継ぐ必要があったのかは疑問ですが、お気に入りのキャベンディッシュの登場に私自身内心ワクワクしていたのも事実です。
こうした設定はファンへのサービス要素としては喜ばしいものなんじゃないかな、と思います。

展開の見せ方

FILM REDのレビューをインターネットで検索すると、やはり「話が進まない」「曲のパートを詰め込みすぎ」という意見が目立ちます。

調べてみると、ストロングワールドの本編時間は115分、Zは107分、ゴールドは120分、スタンピードは101分でした。

対して、FILM REDは115分とストロングワールドと同じ所要時間であるにも関わらず、一向にストーリーが展開しないまま物語が進みます。
そもそものストーリー構成としてのパートが多く、また回想シーンも組み込まれているため仕方のないことではありますが、だからと言って大切な心理描写のシーンを削ってまで曲のパートを優先してよかったのかどうかは疑問です。

これまでのワンピ映画は、それぞれ物語のサビの役割をもつ場面が2回ありました。
しかし今回の映画にはそれが無く、場面の切り替わりの意味を持つ衣装チェンジのシーンも雑な感じがします。

特に話も進まないまま新しい設定の説明が入ったり、主要キャラ達が活躍する戦闘シーンも少なかったりと全体的にのっぺりとした場面も多く見られました。
ライブシーンを入れるなら2時間30分くらいに設定して、もう少しサンジやロビン達の活躍も見てみたかったですね。

また、多くのファンが期待していた「ワンピースの物語に関わる伏線」や「シャンクス達赤髪海賊団に関するエピソード」なども特にこれといって無く、単純に「つまらない」というより「楽しむ要素が見つからない」という表現の方が合っているんじゃないかな、と私は思います。

良かったところ

ここまでさんざん指摘してきましたが、この映画が「つまらなかったか」というとそうではありません。

ウタのライブシーンでは本当にフェスに来ているような臨場感で、ウタワールドのふわふわとした世界観と現実世界の荒廃したエレジアとの対比は思わず息を飲むものがありました。

シャンクス達赤髪海賊団のメンバーが戦う姿も見られ、前作に引き続きウソップが状況を打破する重要な役割を担っているのもアツかったです。あとやっぱりシャンクスは強すぎるんだ...
今まで謎だったラッキー・ルゥの戦いぶりも見られたし、それだけでも満足でした。

ネズキノコの特性が説明された後も、きっと赤髪海賊団の誰かが助けてくれる!と思い込んでいたので、ラストの結末はショックでした。
まさかウタが死んでしまうとは思わなかった...

ただ映画を見た後に四十億巻を読まないと細かな心理描写はわからないので、ライブの臨場感を楽しむためにも、より深く知り合いという方はぜひ劇場に足を運んで四十億巻と一緒にお楽しみください。

まとめ

ここから先は完全に私の意見ですが、興味のある方はぜひご参考にしてください。

  • 評価☆2.8

  • 全体的に微妙

  • 作画が見たいだけならアマプラなどで配信を待っていい

  • ストロングワールドを期待して行かない方がいい、ウタのライブとシャンクスのアクションを楽しもう

こんな感じです!数回見ただけではまだまだわからないので、また行ってみて評価が変わるかもしれませんね。

最後まで読んでくださってありがとうございました!気に入っていただけたらスキを押していただけると励みになります。
また、コメントでも皆様の意見をお待ちしております。映画を見た方、まだ見ていない方、ぜひぜひコメントもよろしくお願いします!

以上れもねどがお送りしました。またねー!

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