東洋医学の五情と心理学の情動
暑いとイライラしやすいなー肝が高ぶって頭にくるから百会のツボかなーとかやってると、そもそも感情とは心理学ではどうなんのかなとちょっとひっかかったので今日はその話
いわゆる東洋医学では五情といって5つの臓腑と感情をわりふっている。
悲しみは肺とか、怒りは肝とか。
流れ動く「気」で説明するのだ。ベースは陰陽五行になる。
気分がいいとか、気色悪いとか、気のせいとか日本語のなかに溶け込んでもいる。そして体とつながっていくのもなんとなくわかりやすい。
しかし感情は目にみえるモノのように取り出せないので、あるのかないのかはどう証明するのかとたぶん心理学では考えるだろう。
なかなか苦労しているみたいだ。
心理学辞典からは、emotionやfeeling、moodをそれぞれ情動、感情、気分と訳して定義しているがなかなか明確化に苦労している。
楽しい/イライラとかは弱めの持続的感情では気分とし、
喜び/怒りなどの一次的で強い感情は情動とするみたいだが・・・なかなかスッキリしない
とりあえず情動は怒りとか悲しみとかコレコレといくつかに分けられて実際にあるよと主張する基本情動説、なぜなら顔の表情のちがいがあるから(エクマン)とか
ディズニーアニメに怒りとか悲しみとかのキャラクターをつかったインサイドヘッドというのがあったのを思い出す。
プルチックのそのそれぞれが混ざりあってる情動モデルとかがあるみたいだが
このプルチックによれば
主観(怖い)
行動(逃げる)
生物(防衛)
みたいにわけていて、主観的な内面と外面的なからだの動きでなんとなくセットになって分類できそうなのは理解できる。
さて、たとえば情動はからだや行動とセットになってるとすると
からだ、生理反応から情動は生じるとするジェームズ・ランゲ説やキャノンバード説(生理、情動同時)がある。
自律神経系の動き、心臓のドキドキは恐怖にもなるし、喜びにもなる。からだの末梢からの刺激や脳の中枢、視床下部から情動が生じるという。
このへんは鍼灸とたいへんクロスするところがあるな。ツボの自律神経系的な効果を利用して心地よい状態を作り出すのはいつもやっているので。
たしか華陀だったか、患者さんをわざと怒らし気を動かして病気を治すエピソードがあったようにおもうが、キャノンの中枢起源説、視床から大脳、視床下部のルートやこれはこれで言葉や薬物をつかって治療にあたる精神科医のイメージがわく。
しかし生理的な反応をコントロールできたらすべての情動が上手くいくとは限らない
本人がどう受けとめるかという認知だ
シャクターとシンガーの情動の2要因説では、あまり詳しくはのべないが生理的な反応(アドレナリンetc)だけでなく認知も情動に深く関係するとしている。(理由がわかると腹が立たなくなるとか)
そうなると次は認知とか環境も大事やんとラザルスによる認知評価説。
認知的な評価から生理的な反応が喚起され情動を生み出すようなモデルがつくられている
もう一つは文化的な要因
冒頭でも述べたが、日本語のもっている感情を表すことばは別の言語では言い表せないこともあるだろう、「腹に据えかねます」とか英語でどう訳したいいかなとか、つまり文化的な情動に対する影響も見逃せない。
漢方的な腹診は腹から微細な情報を拾っていく。
この辺は脳一辺倒でなく、皮膚や内臓からの体性感覚と脳との関係を重視する神経科学者のダマシオの著作が参考になるだろう。
感情、からだ、脳、内臓、話は尽きないが今日はここまで。