雲の門
中焦(脾の運化作用)から上に霧のように昇
ってきた「気」は
肺の経絡の最初の中府というツボに集まり(中府は募穴)
そこからもう一寸(約3センチ)上がって
雲門というツボに向かう。
胸に上ってくる気を
「霧のごとし」と霊枢(営衛生会)の表現しており
この「霧」を「ガス」ととらえると、肺門から肺胞で起こる、酸素と二酸化
炭素のガス交換に思いいたる。
一寸上がって雲門というツボ
自然界の雲はちりに水蒸気 がついて小さな水や氷のつぶがたくさん集まっ
たものだが、人体の肺もガスや水分などが霧や雲のように流動している。
八卦でいえば肺は兌の卦で兌は沢でこれも水の集まるところ。
雲門は門という字から、どこかへ出るわけで
霊枢経脈篇からは
上隔属肺で肺に属したのち
従肺系横出腋下とあり
従肺系は縦方向の気管支のルートと
横出腋下は横方向の脇へいくルートの
上と横の二つの方向が示唆されている。
これは私見だが
横に位置する雲門は横に流れる理由があって、縦に喉へとのぼる呼気やガス
よりもたくさんの水を含んで雨が下に振るように横から脇へ流れるのではな
いだろうか。
また肺は魄、簡単にいうとかたちや空間、肉体、つまり垂直に天とつながる
魂ではなく地上の引力にひっぱられる陰に属するので
無極の中焦から天地に向かう「縦」のベクトルに対して
ここではじめて「横」という空間の広がりを雲と水とで生むのではないだろ
うか。
肺の経絡は縦の天地から右左の横への空間の広がりを
雲と水や雨のイメージから感じられるようにデザインされているようにおも
える。
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