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駄々文#11

 朝起きられるかどうかってのは全くの杞憂で、前日シメに食べた辛辛魚つけ麺によるものとされる腹痛によってすっきり綺麗に目覚めた。

こう見えてというか、私はこれまで人生でパチンコ・パチスロをやったことがなく、競馬もやったことがなく、宝くじは一回だけ買ったことがあるくらい。

なぜなら、人生というド級のギャンブルをすでに行ってる最中、わざわざ追加でする必要がないと思っているからで、ギャンブル反対ではない。

全てがギャンブルだ。

今回は、以前友人達と飲んでいた時に行こうという話になったので、まあ経験かと思って決行に至った。


 駅前で友人と合流して、抽選券を手に入れるため開店前の店舗へ足早に向かう。

我々が列の先頭であった。

いざ抽選を引くと友人が2番、私は52番で整理券の最後尾であった。

初っ端からなんという運の悪さ、これが後に命運を大きくわけることになるとは、この時は思う暇もなかった。


 まさか通勤中冷やかな目で眺めていた行列に自分が加わる日が来ようとは、人生とはわからないものだ。

パチンコ屋の脇道は居酒屋やガールズバーの並ぶ通りに繋がっており、休日明けの朝に歩く人々の顔ぶれは香ばしい。

列からも見える向かいの建物から、若い男女と中年の男がヘベレケの状態で出てきた。

若い男が我々の列を指さして言う。

「あっ、ほら!並びましょうよ!」

中年の男「並んじゃだめだよ、当たんないんだからあんなの」

そんな会話をしたあとに若い男女は駅の方へ、中年の男は反対側へと分かれて帰っていった。

と思いきや、しばらくすると中年の男が戻ってきて、抽選券なし組の列にピタッと並んだではないか。

何やら吹雪の予感だ。


 そんなこんなで開店して回転させて初体験のあんなことこんなこと色々ありましたがねえねえ。

結果から言えば、大勝利ですよ。

元々5が付く日って当たりやすい日らしいじゃないですか。

だからまあ、当たって当然みたいな?当たんなくてもそこまで損はしないだろうなみたいな?

感じで喜んでましたよ。


 友人はね。



 私か?私は手足をもがれたよ。

両脇で友人と知らないおっさんがバチバチに大当たりしているその間で、はじめこそ当たり台かのような素振りを見せたものの、すぐに停滞、気づけば直近の履歴最低記録を叩き出していた。

台を変えたときには時すでに遅し。

まもなく軍資金は底を尽き、1人外へと出てみればシンシンと降る雪。…ああ神よ、何故愛してくれない?

信じていないからかな、それだろうな。

いや、むしろこれは愛故に、人は真面目にせないかんと、そういうことか。

全てがギャンブルなこの世の中で、無様にもコツコツと努力を積み重ねる憐れな姿こそがお望みか。


 そうかそうか、ならばわかった。

次こそは入念に下調べをし、目押しのための動体視力を鍛え上げ、時にしぶとく、時に潔く、パチスロ攻略してやろうではないか!!

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