#137 「クラブ イシカワ(入店契約)事件」大阪地裁
2006年5月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第137号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【クラブ「イシカワ」(入店契約)事件・大阪地裁判決】(2005年8月26日)
▽ <主な争点>
クラブホステスの入店契約が労働基準法の適用される雇用契約か否か
1.事件の概要は?
本件は、XがYの経営するクラブ(以下「本件クラブ」という)にホステスとして入店し、稼動するためにYとの間で結んだ契約が労働基準法の適用を受けるべき雇用契約であるところ、Yから予告なく解雇されたとして、解雇予告手当および未払い賃金等の支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Yおよび本件クラブについて>
★ Yは大阪・北新地において本件クラブを経営しており、同クラブでは口座客(注:ホステスチャージを支払う顧客)を持つホステスが約20名、口座客を持たないホステスが4、5名、事務員2名、男性スタッフ7名が稼動していた。
★ 本件クラブは顧客に対し、飲食物を提供するとともにホステスらによる接客サービスを提供し、その対価として遊興飲食代を得ることを営業の内容としている。
★ 顧客の支払う遊興飲食代の内訳は、売上小計(注:顧客が店で飲食した代金の合計)、サービスチャージ、テーブルチャージ、ウェイターチャージ、ホステスチャージ、消費税からなる。
★ 本件クラブでは口座制が採用され、特定の顧客が特定のホステスの口座客となると、顧客は本件クラブにおいて、そのホステスの接客サービスを受けた場合、ホステスチャージをそのホステスに支払うことになっていた。
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<Xおよび本件入店契約等について>
▼ Xは平成13年12月、Yとの間で本件クラブに入店する旨の契約を締結し、ホステスとして稼動していたが、脳腫瘍の手術を受けるため、14年5月、本件クラブを一旦退店した。
▼ 14年10月、Xは再びYとの間で本件クラブに入店する旨の契約を締結し(以下、上記入店契約と合わせて「本件入店契約」という)、本件クラブにおいて、ホステスとして稼動していた。
★ 本件入店契約においては「日給3万円、勤務時間は20時から24時までとする」旨などが定められており、欠勤や遅刻についてはペナルティが課せられていた。
▼ 15年7月、Xの売上が予期していていたほど伸びなかったため、Xは本件クラブから売上が少ないことを指摘された上、同伴(注:ホステスが顧客を伴って一緒に店に入ること)義務を1ヵ月2回から4回に増やすことなどを伝えられた。
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