#181 「クリスタル観光バス事件」大阪地裁
2007年4月18日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第182号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【クリスタル観光バス(以下、C社)事件・大阪地裁判決】(2006年2月3日)
▽ <主な争点>
60歳定年後の雇用延長拒否/労使協定の趣旨
1.事件の概要は?
本件は、C社と雇用契約関係にあったXが、60歳で雇用を打ち切られたのは、C社と労働組合との間で成立した雇用延長に関する協定に反する旨等を主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金の支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<C社およびXについて>
★ C社は、昭和55年2月に設立された一般貸切旅客自動車運送事業等を目的とする会社であり、平成15年1月、商号を現在のものに変更した。
★ Xは(昭和19年8月生)は昭和60年9月、観光バスの運転手としてC社に採用され、3ヵ月間の試用期間のあとに本採用され、それと同時に労働組合(以下「本件労組」という)に加入した。なお、Xは平成16年8月に60歳に到達した
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<本件協定等について>
▼ 13年1月、C社と本件労組との間で、「雇用延長に関する協定書」のとおり、協定が成立した(以下「本件協定」という)。
★ 本件協定内の「雇用延長の基本方針について」において、次のような記載がされている。
「1.経営環境および雇用情勢に著しい変化のないかぎり、13年4月以降、満60歳に達する者の雇用を満62歳まで延長する。ただし、企業定年は満60歳のままとし、就業規則は変更しない。延長者は現職勤務継続可能な者を対象とし、本人の意思と会社の承認を前提とする。」
★ また、本件協定内の「雇用延長制度実施にともなう細目について」において、次のような記載がされている。
(1)雇用延長の対象者について
「1.雇用延長は、満62歳まで、現職務を継続する意志と能力、体力等を有することを前提とするため、年齢、体調等を理由とした本人都合による職務の変更は行わない。
2.次に該当する者は雇用を延長せず、就業規則の定めにより退職するものとする。
(a)現職務の継続が困難と判断される者
(b)すでに慢性疾患等、自己都合により他業務に従事している者
(c)過去、服務および事故(運転、営業、一般関係)関係で指導するも、その実のあがらなかった者」
(2)雇用延長の手続きについて
「1.雇用延長を希望する者は、定年退職日の2ヵ月前までに、その意志を書面により会社に願い出るものとする。希望しない者についても、その旨、会社に届け出るものとする。
2.満62歳まで、現職務を継続する意志、能力、体力等の判定は、別に定める方法により行う。
3.会社は、雇用延長の可否を総合的に判断し、定年退職日の1ヵ月前までに、本人に通知する。」
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