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#618 「中日新聞社事件」東京地裁

2024年7月31日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第618号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【中日新聞社(以下、C社)事件・東京地裁判決】(2023年8月28日)

▽ <主な争点>
使用者による一方的な「錬成費」の支給中止など

1.事件の概要は?

本件は、C社の従業員であるXが同社に対し、毎年従業員に支給していた「錬成費」の支給は労使慣行(または黙示の合意)として労働契約の内容となっていると主張して、労働契約に基づき、(1)2020年分の錬成費およびこれに対する遅延損害金の支払、(2)2021年から毎年3月25日かぎり、錬成費およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<C社、Xおよび各労働組合について>

★ C社は、日刊紙の発行等を業とする会社である。

★ Xは、1988年4月にC社に記者職として入社し、1994年にA労働組合(A労組)に加入し、2017年8月から同労組執行委員長の地位にある者である。

★ 2020年3月当時、B労働組合(B労組)は全正規従業員中85.2%(部次長以下にかぎれば94.8%)の従業員が加入しており、A労組は1.0%(部次長以下にかぎれば1.2%)の従業員が加入している。


<錬成費廃止に至った経緯等について>

★ C社は社員等(学生アルバイトを除く)に対し、1976年以降2019年まで同年の3月1日に在籍し、かつ同月25日の支給日に在籍する者にかぎり、年間で合計3000円を「錬成費」として支給していた。

★ 錬成費の支給は昭和30年代に団体定期保険契約の1年満了時の還付金を従業員に還元する目的で開始され、当初は年3回の休刊日に各1000円を支給していたが、1976年から年に1回、毎年3月に3000円を支給することとなり、それ以降、支給日、支給方法、支給対象者も変更されていた。

▼ C社は2020年1月、A労組およびB労組に対し、錬成費不支給を告知し、同年3月25日の給与支給日に錬成費を支給しなかった。

3.社員Xの主な言い分は?

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