#603 「トールエクスプレスジャパン(第2次)事件」大阪地裁(再掲)
2023年12月27日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第603号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【トールエクスプレスジャパン(以下、T社)第2次事件・大阪地裁判決】(2023年1月18日)
▽ <主な争点>
時間外手当相当額の割増賃金としての明確区分性、対価性など
1.事件の概要は?
本件は、貨物自動車運送事業等を目的とするT社との間で労働契約を締結し、集配業務に従事していたXら10名が同社に対し、(1)主位的に、T社はXらに支給する手当の算定に当たり割増賃金に相当する額を控除しているため、労働基準法37条所定の割増賃金の一部が未払であると主張して、未払割増賃金、確定遅延損害金および労働基準法114条所定の付加金ならびにこれらに対する遅延損害金の支払を求め、(2)予備的に、出来高により算出される数額から割増賃金に相当する額を控除する計算方法が採用されていることは公序良俗に反し無効であると主張して、未払歩合給および未払割増賃金ならびにこれらに対する遅延損害金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<T社およびXら10名について>
★ T社は、貨物自動車運送事業等を目的とする会社である。
★ Xら10名は、いずれもT社との間で労働契約を締結し、集配業務を行う集配職として就労していた者である。
<T社の賃金制度、各時間外手当の算出方法等について>
★ T社の賃金制度(以下「本件賃金制度」という)においては、Xら集配職の賃金は、職務給、能率手当等からなる「基準内賃金」および、時間外手当、通勤手当等からなる「基準外賃金」によって構成されている。
★ 時間外手当は、時間外手当A、同手当Bおよび同手当Cにより構成され、それぞれ、以下の計算式により算出される。
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