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#497 「五島育英会事件」東京地裁(再々掲)

2019年10月16日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第497号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 参考条文

★ 労働契約法

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第20条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

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■ 【五島育英会(以下、G会)事件・東京地裁判決】(2018年4月11日)

▽ <主な争点>
定年後再雇用の賃金と労働契約法20条

1.事件の概要は?

本件は、G会を定年退職後に同会との間で有期労働契約を締結して就労したXが当該契約に基づく賃金(基本給および賞与等)が定年退職前の期間の定めのない労働契約に基づく賃金の約6割程度しかないことは期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違であると主張して、(1)主位的に労働契約に基づき差額分の未払賃金等の支払、(2)予備的に民法709条(不法行為による損害賠償)に基づき差額相当額の損害賠償を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<G会およびXについて>

★ G会は、大学、大学付属高等学校および同中学校(高等学校と中学校を併せて、以下「本件学校」という)等を設置する学校法人である。

★ X(昭和25年生の男性)は、昭和54年4月、G会との間で本件学校の嘱託教諭として採用された後、56年4月に無期労働契約を締結し、以後、同学校において専任教諭として勤務してきた者である。Xは平成27年8月11日にG会を定年により退職した後、同会との間で同月12日から28年3月31日までの有期雇用契約を締結し、その間、本件学校において嘱託教諭として勤務した。

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<本件学校における定年後再雇用制度の概要等について>

★ 本件学校の専任職員に適用される就業規則(以下「本件専任職員就業規則」という)および給与規程(以下「本件給与規程」という)等によれば、専任教諭の給与は基本給、諸手当および賞与から構成される。

★ 本件専任職員就業規則、これに付随する「定年の取扱い等の改正について」と題する書面(以下「本件定年規程」という)、有期労働契約に係る労働者に適用される嘱託等就業規則等によれば、Xの退職時、本件学校における定年後再雇用制度の概要は次のとおりであった。

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