#601 「柏書房事件」さいたま地裁(再掲)
2023年11月29日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第601号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【柏書房(以下、K社)事件・さいたま地裁判決】(2022年4月19日)
▽ <主な争点>
試用期間満了による契約社員の本採用拒否など
1.事件の概要は?
本件は、K社が2020年2月4日をもってした解雇は無効であるとして、Xが雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と解雇後の賃金の支払を求めるとともに、在職中に上司らがXを執拗に叱責したことが不法行為(パワーハラスメント)に当たるとして、民法715条(使用者等の責任)1項、709条(不法行為による損害賠償)、会社法350条(代表者の行為についての損害賠償責任)に基づく損害賠償請求として慰謝料等110万円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<K社およびXについて>
★ K社は、出版および出版販売を目的とする会社であり、従業員数は約15名である。
★ Xは、出版社での営業経験を有するとしてK社に採用され、2019年11月5日、同社との間で1年間の期間を定めた雇用契約(以下「本件契約」という)を締結した者である。
<本件解雇、本採用拒否に至った経緯等について>
▼ K社は2020年1月27日、Xに対し、経験者として期待される業務遂行能力、社会人としての適格性を有していないこと等を理由として、同年2月4日をもって試用期間満了により、同社との間の雇用契約を終了させる旨の通知をした(以下「本件解雇」という)。
▼ K社は同年1月30日、Xに対し、解雇予告手当として1ヵ月分の給与と同額の35万円を支払った。
<就業規則の定め等について>
★ K社の就業規則には、概要、以下の定めがある。
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