#436 「シャノワール事件」東京地裁(再掲)
2017年5月10日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第436号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 参考条文
★ 労働契約法
(有期労働契約の更新等)
第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
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■ 【シャノワール(以下、C社)事件・東京地裁判決】(2015年7月31日)
▽ <主な争点>
長期間勤務してきた学生アルバイトの雇止めの効力など
1.事件の概要は?
本件は、XがC社の下で長期間アルバイトとして勤務してきたが、同社の方針により雇止めされたことに対し、雇止めの無効を主張して、地位確認および賃金請求をしたもの。また、Xが加入した組合とC社との間での団体交渉等での同社の発言(定期的に労働者が入れ替わり若返ることを社内的には鮮度と呼んでいる等との人事部長の発言)が不法行為に該当するものとして、慰謝料の請求もしている。
2.前提事実および事件の経過は?
<C社およびXについて>
★ C社は、コーヒー・軽食等の店舗内提供、テイクアウト販売を行う店舗の直接経営をする会社である。
★ X(大学院生)は、平成15年8月にC社との間で期間の定め(3ヵ月)のある労働契約を締結し、同社の運営する店舗において勤務していた者である。
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<本件雇止め、本件更新制限等について>
▼ Xは15年8月から契約の更新を繰り返して、19年3月まで勤務し(3年7ヵ月にわたって14回)、その後、20年7月、再度同社との間で期間の定めのある労働契約を締結し、契約の更新を繰り返した(4年11ヵ月にわたり19回の契約更新)が25年6月にC社から雇止めされた(以下「本件雇止め」という)。なお、本件雇止め前1年の月平均賃金額は2万2666円であった。
★ C社では24年3月からアルバイトの契約期間の上限を4年などとする更新制限(以下「本件更新制限」という)の措置が導入されている。
▼ XはC社から雇止めに関する説明を受けた後、東京公務公共一般労働組合(以下「組合」という)に相談し、24年4月、組合に加入した。組合はC社に対して、組合加入通知書ならびに契約更新の回数上限導入および本件雇止めの撤回等を議題とする団体交渉申し入れ書を提出した。
▼ 組合・C社間の団体交渉は24年5月から25年1月までの間に4回にわたり開催された。
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