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#432 「Xセンター事件」横浜地裁(再々掲)

2017年3月8日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第432号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【Xセンター事件・横浜地裁判決】(2015年1月30日)

▽ <主な争点>
和解条項の債務不履行と損害賠償請求など

1.事件の概要は?

本件は、YがXセンター、Aほか1名との間で平成24年11月26日に成立した裁判上の和解につき、同センターらが和解条項に違反し、Yの名誉を毀損する行為を行ったとして、債務不履行ないし不法行為に基づき、慰謝料300万円および弁護士費用30万円の賠償等の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xセンター、YおよびAら5名について>

★ Xセンターは、厚生労働大臣許可の労働保険料徴収法に基づく労働保険事務組合であり、社会保険労務士(個人および法人)等を構成員(会員)とする権利能力なき社団である。

★ Yは、平成20年9月、Xセンターと期間の定めのない雇用契約を締結し、以後就労している者である。

★ Aは、Xセンターの代表者(会長)であった者である。

★ BおよびCは25年6月の通常総会で退任するまでXセンターの副会長(理事)であった者であり、DおよびEはいずれも現在、同センターの副会長(理事)を務めている者である。

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<前訴和解条項等について>

▼ Yは23年7月、AらからXセンターにおいて執拗な退職勧奨やパワハラ等を受け、適応障害を発症したとして、同センターらに対し、連帯して330万円の損害賠償請求を求める訴訟(以下「前件訴訟」という)を提起した。

▼ YとXセンターらは24年11月、以下のような内容で和解(以下「前訴和解」という)をした。

1.XセンターらはYに対し、Aらの言動が端緒となって本件が発生したことを重く受け止め、今後の労務管理において職場環境に配慮する等して、再発防止に努めることを約束する。
2.XセンターはYとの間で和解が成立したことを前項の文言を記載した上で同センターの全職員に回覧する等して周知させる。
3.XセンターらはYに対し、本件解決金として、連帯して70万円の支払義務があることを認め、これをY代理人名義の預金口座に振り込む方法により支払う。
4.Yはその余の請求を放棄する。
5.YおよびXセンターらは、Yと同センターらとの間には本和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
6.訴訟費用は各自の負担とする。

▼ Xセンターは同年12月、前訴和解条項の第1項の文言のみを読み上げるとともに同項の文言のみを記載した通知文書を同センターの職員に回覧させたが、同文書は間もなく回収された。

▼ Yは25年2月、B・Cに対し、前訴和解条項に基づいて職場環境の配慮に努めてほしいと求めたのに対し、Bらは「裁判の話は関係ない。ここではやめるように」「過去はどうでもいいじゃないですか」と述べた。

▼ Yは同年5月、B・Eと面談した際、前訴和解条項にあるように事件をきちんと公表すべきだと申し入れたのに対し、Bらは「当事者同士がわかっていれば必要ない」「自分たちは悪くない」と述べた。

▼ Bは同年6月に開催されたXセンターの通常総会において、本件訴訟に至る経過等の説明に関し、Yとの面談の状況として「Yさんはいきなり声を張り上げて、一方的に同じ内容を繰り返し、約1時間近くしゃべりまくって全然こちらの意見を聞こうとしないというふうな状況があったと聞いている」旨発言した。

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