リコリス・リコイル 第10話の考察
ネタバレ注意!
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TVアニメ『リコリス・リコイル』予告動画 #10「Repay evil with evil」
2022/9/1 (1分10秒)
冬の新メニューについて話し合ってるミカと千束(ちさと)。ミカを言いくるめ萌え萌えキュンさせて、笑い倒してる千束が好きw
本編では、喫茶リコリコはそれどころじゃ……ごほんごほん。
リコリス・リコイル | 本編第10話 Repay evil with evil
2022/9/10まで無料視聴可 (25分)
リコリス・リコイル、第10話「Repay evil with evil」を視聴しました。
英題の意味は「悪をもって悪に報いる」。視聴すれば一目瞭然で、DAに真島が対抗している図式を表したタイトルです。アラン機関はそこまで前に出てこなかったな……
さっそく第10話の感想と考察、書いていきましょう。
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冒頭のアバンでは、クルミが人工心臓の線からアラン機関へつながる糸口がないかを調べて、ミズキに説明してます。戸籍の無いリコリスなら表沙汰にせずに治験の研究データがとれると。千束に見つかってわたわたするクルミとミズキ。千束は溜息をつくと、喫茶リコリコの閉店を切り出します。
……え、リコリコ閉店するの!?
公式ツイッターも、合わせ技繰り出してくるしさあ……
10話で語られますが、もともと喫茶リコリコは千束のために作られたDA支部だったと。千束がいなくなるなら解散するのは当然ですが……やっぱり寂しいよ。
ミズキはバンクーバーのムキムキイケメンへ会いに。クルミは海外へ亡命、ボドゲ絡みでドイツへ。「いつか、たきなを誘ってあげて」と言う千束、自分がいなくなった後を考えてますね……
コーヒー豆を点検してるミカは、どう思ってるんでしょうか。
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DAで、真島討伐計画を指揮する楠木司令。
一連の事件の首謀者である真島は、国内外のマフィアから依頼を受けて延空木を狙っている世界を股にかけた戦争屋。依頼人の一人を捕獲し、真島の潜伏場所を吐かせたので、そこを急襲する作戦。大規模にリコリスを動員しており、DAにとって真島討伐が最優先事項となってます。
一方、組織だって動く以上は準備に時間がかかり、ラジアータをハッキングしているロボ太なら作戦開始時刻も掴めたでしょう。
やっぱりシンジ・姫蒲(ひめがま)は捕まって監禁されちゃってる。
真島は幼少時の千束のデータまで見てるけど。ロボ太がラジアータから引っこ抜いてきたのか、シンジ自身が人工心臓の関連データとして保存していたのかな? 真島は縛られたシンジにUSBを放り投げているので、後者かもしれない。すると、シンジは千束を今でも娘のように大切に思っていそう。世間一般と同じ感情ではないでしょうが……
アランのルールを破って支援対象に接触している件を質されると、シンジは「私のミスだ」と答えてます。現在の状況がイレギュラーなのだと認めている。真島が「俺も殺すか?」と問うているのは、アラン機関が意に沿わない支援対象にどこまで制裁を下すかの基準を知りたいのかな。シンジにとって真島は天才を遺憾なく発揮してるので、ペナルティ対象ではないですけど。銃取引のお膳立ても、真島はここで初めて知った。誰かの掌の上で踊らされるのを嫌う真島は、DAの次の標的にアラン機関を定めたようですが……シンジが本拠地について口を割るわけがない。少なくとも千束とたきなの物語が終わる前には、アラン機関と真島の戦いは実現しないでしょう。
「アランの理想を果たせるならば、命だろうと捧げてみせよう」。殉教者になることを躊躇わないシンジに、真島も不気味さを覚えてます。心臓を銃でポイントしてから撃つのを止めたのは、真島が聴きとったシンジの心拍が変わらなかったからかも?
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空港へ向かうタクシーに乗ったクルミとミズキ。笑顔で送り出すんだね、千束は……もちろん、二人がこのまま退場するとは全く思ってません。きっと最終戦闘で助けてくれるはず。
バイオレンスにやるなあ……w アラン機関が銃取引に関与していた件の裏が取れました。それにしても、たきなに足で踏んでもらって、その上に肩まで外してもらうサービス付きとは、めっちゃ羨ま痛そう。
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過去写真からは、10年前すでに喫茶リコリコが存在し、千束とミカが移ってきていたと分かります。旧電波塔事件のすぐ後からかな?
リキと呼んだ犬は、千束が小さい頃に飼ってて今はもういないと。写真の姿に、千束はやがて居なくなる自分を重ね合わせてるのかな。
バイトを雇って喫茶リコリコを続けるにしても、常連さんに千束のことをどう説明すればいいのか……海外など遠方に去ったって言うしかないか。それ以上に、ミカの精神的負担が辛くなる予感しかしない。千束もそれは分かってそう……
リコリスたちは真島の拠点に踏み込みますが、既にもぬけの殻。わざわざ通信を繋げるようにしておいた理由は何でしょうね? 真島本人は、「正義の味方気取りの悪党がどんな奴らか」見たかったそうで。悪党はお前らだろうと返す楠木司令に対して、法根拠を問うのはインテリだなあ。登場当初にバカみたいなノリノリ撃ちまくり作戦立てた真島さんはどこ行った。享楽主義者かと思いきや、仕事にプライド持ってるタイプじゃないか。
乗る必要のない問答に乗っかっていく楠木司令、逆探知のため時間稼ぎ。自ら超法規的組織であると開き直るのは凄いわw リコリコ世界では、日本の民主主義は見せかけに過ぎず、実際にはDAが裏で司法を牛耳ってるって肯定してるんだから。
真島さんが「マキャヴェリズム」と呼んでいますが、一般的には「どんな手段や非道徳的な行為であっても、結果として国家の利益を増進させるのであれば許されるという考え方」(Wikipedia)を指すようです。
治安を守るためだろうと法的手続きを経ずに悪人を捕捉・処刑していく秘密組織など、民主主義国家で許されるわけもなく。仮にDA上層部が私利私欲に走った場合、歯止めが全くないのも危険極まりない。悪の自覚がないまま悪に転落することも十分あり得ます。その辺は、世界を見て回ってきた真島さんの方に理がありますね。
楠木司令が語る理想的な平和として「悪意の存在すら感じない世界」は、確かに実現できれば天国でしょうが、現実問題として維持不可能。人間全員の脳に悪意消去装置でも付けて超AI管理でもすれば叶うかもしれません。が、それは人々から自律意志を奪うディストピアといいまして……この辺り、逆探知のため適当言ってるのか、それとも本当にDAの思想を語ってるのかわからんので怖い。けっこう本気に聞こえるのがなあ。アラン機関とは違うけど、DA上層部も自らの在り方に疑問を持ってないっぽいし。
問題を解決するのではなく、情報操作で問題を無かったことにするだけなら、世界が良くなったように見えても、実際には深刻な問題を抱えたまま。「悲惨な現実を知らなければ、平和の意味さえ人々は忘れてしまう」。「与えられるものではなく、勝ち取るものだってことも」。DAによって庇護された結果として、自らを守る術すら忘れたリコリコ世界の日本を的確に批判していますね。この辺りの真島さんの論理には同意できるんですよ。
楠木司令は「自分が悪である認識には耐えられないのか」と悪党(テロリスト)の自己正当化として切り捨てるけど、真島さんはむしろDAが自覚無き悪に転ばないよう示唆しているんですよね。「善悪の天秤てのはな、どっちに傾くにしても、お前らみたいな存在に操られるべきじゃない」。
リコリコ世界の日本に住む人々の自己決定権という観点で見れば、真島さんが正しい。DAがパターナリズムで市民の同意なしに安全保障を追求するのに対して、真島さんは安全保障に関しても市民のインフォームド・コンセント(説明の上での同意)を重視しろと言ってます。この点のみで言えば、真島さんの方が市民側に立つ真っ当な主張。
これだけ取り上げていくと、まるで真島さんの方が善にも思えてくるかもしれませんが、それは錯覚です……真島さんは、日本でテロリストが活動しやすくなるようDAを潰そうとしてるので。
DAの情報操作に対抗するため、真島さんは地下鉄や警察署を襲撃し、1000丁の銃をばら撒いて被害者を出しています。DAの倫理的な悪を指摘しながら、やってる事は極悪のテロリスト。民間に被害を出さない情報戦のみだったら擁護可能でしたけど。そもそも真島さんは自ら悪人であるのを隠そうともしてないので、擁護する必要もないんですが。
「悪をもって悪に報いる」のタイトル回収となりました。
真島さん視点で、DAという悪に対し民間被害上等のテロという悪で報いる回だった。
最後のたきなの詰問は、もちろん吉松シンジの居場所を知って千束の生存につながる手がかりを得たい、という動機から。時間を稼げば逆探知に有利だけど、たきなは千束のことで頭が一杯なだけだったと思う。
真島が「そこにあるコーヒーもまだ温かいはずだ」と言ったのは、ただの軽口なのか、何か意味があるのか。ちゃんと探せば吉松シンジがそこにいた形跡が見つかる、という示唆? シンジや姫蒲の髪の毛とか、喫茶リコリコや山岸先生のとこで見つけていれば、現場に落ちてる遺留物と照合できるんだろうけど……時間的な意味で望み薄か。
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ミカが準備していた着物、千束にすごく似合ってて素敵。
成人まで生き延びられる可能性が少ない千束のために、どんな思いでミカがこれを用意してたかと思うと、涙誘われちゃいます。
最初、千束を道具として見ていたミカ。ついにシンジの真意を千束に話します。今まで言えなかった理由も納得ですね。7話の二度目の「済まない」もこういう意味だったんだろうな……血は繋がってないけど、ちゃんと父娘だよ。偉いよ。
それにしても……千束が超絶良い子すぎる。聖人。千束は少しぐらい周りのせいにしたって良い。それだけの事はしてきたって。周りの皆も、千束のために時間を使いたいと思ってるよ……
延空木の完成セレモニー。「大沼」は「小池」との対比w
視聴者の誰もが予想していた、真島による延空木の電波ジャック。DAの存在を示唆して、1000丁の銃を都内にばら撒くとはね。
しかし、ばら撒くだけでも大変だっただろうに……ラジアータが発見できていなかったのなら、ロボ太がハッキングして迷彩かけたのかも。爆発物所持犯の画像を送り込めるぐらいだし、銃入りの袋を放置した箇所のデータだけ書き換えておいたとか。真島にとってはリコリスの炙り出しができれば御の字だけど、陽動ができれば十分なんだろうな。
もしかしたら本命は、延空木ではなく旧電波塔の爆破じゃないのかな? 10年越しのリベンジマッチを果たす気なのでは。
延空木を爆破する云々は、本命から注意を逸らすためのブラフ。真島は延空木に行っていないとしたら。エレベーターで上がって、ガラス窓を撃ち抜いてた映像が流れてたけど、あそこが延空木だとは言及されていない。実は旧電波塔の方なのでは?
そうだったら面白いのになあ……という程度の推測でしかないけどw
初お目見えの、DA本部の偉い人。楠木司令は、あくまでDA東京支部のトップなので逆らえません。だけどさ、この事態に千束ひとり投入して何とかなるわけないじゃん。DA本部の意図がサッパリ不明。旧電波塔の奇跡再び、とでも思ってるのかな? さすがにそれはないと思いたい……
もしかして、吉松シンジが前もって根回ししてたってこと? アラン機関の名前でDA上層部に働きかけ、千束に戦闘を強いる策では(シンジ本人は、戦闘時に自分が真島に捕まっているとは思ってなかったでしょうが)。
そうなら、楠木司令も薄々感づいてそう。
楠木司令からは、真島討伐作戦への参加要請の電話。
ロボ太からは、捕まったシンジの画像が送られてきて、延空木に近づくようなら1時間で起爆するという脅迫電話。
喫茶リコリコをドローンで監視してるのも明らかですね。
ミカと千束は、第三の選択肢をとります。
どちらの指示にも従わず、独自で動いて吉松シンジを救出する!
正面からリコリコを出て時間勝負になるのか、それとも地下から秘密の脱出路があったりするのかな? 現場に向かいつつ、クルミとミズキも呼び戻せたらベターでしょう。
さあ、いよいよクライマックス。
残り3話、派手な銃撃戦がある予感。
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あれもこれもと書き連ねたら、めっちゃ長くなってしまった……11話が待ち遠しいよ!
では、今回はこの辺で。