*簡単手作り療育グッズ【1】準備編*ソーシャル・ストーリーの作り方
自閉症スペクトラムの療育でお馴染み、ソーシャル・ストーリー。娘の療育でも、言語、作業療法、心理療法すべてで重宝されています。ソーシャル・ストーリーはASD当事者の個性と生活に合わせて自作することで、より大きな効果が期待できると感じます。創始者キャロル・グレイをはじめ、正統的なメソッドに基づきつつも、ママでも簡単にできたソーシャル・ストーリーの作り方を、今後、数回にわけて記したいと思います。
初回は、ソーシャル・ストーリーはそもそも何?という疑問をクリアにして、テーマ設定と使用ソフトまでおさえる、準備編です。
◆ソーシャル・ストーリーとは?
1990年代にソーシャル・ストーリーを提唱したキャロル・グレイによれば、ソーシャル・ストーリーとは、
「ソーシャル・ラーニングのツールであり、自閉症スペクトラムの当事者と支援者の間における、安心かつ意味のある情報交換をサポートするもの 。」(Carol Gray, SOCIAL STORIESより私訳)
※「ソーシャル・ストーリー」という言葉はキャロル・グレイの商品商標
つまり、ソーシャル・ストーリーは、ASDの人が社会的生活に順応する手助けとなるために作られます。一つ一つの場面について、その状況や流れ、求められる行動などを、わかりやすく伝えることを目的とした療育グッズなのです。
ソーシャル・ストーリーについての情報はたくさんありますが、正統派メソッドの情報源としてはキャロル・グレイ自身のウェブサイト【英語】や、彼女の理論に忠実かつ分かりやすい英国自閉症協会のウェブサイト【英語】などが有益でした。自作に際しては、それらの正確な情報源を頼りにしつつも、娘の特性や発達状況をよく知っているセラピストに相談し、アレンジを加えて作っています。
◆1:「何を伝えたい?」を考えてテーマを決めよう
日常生活のあらゆる場面に、ソーシャル・ストーリーのトピックが潜んでいます。例えば、
・「歯を磨く」←日常生活のルール
・「お友達とは?」←社交の場面を伝える
・「お引越し」←ルーティーンが崩れるときに見通しを手助け
・「怒ったときどうしたらいい?」←行動指南
・「自閉症とは何か」←より高度で難しい認識への対応
などなど。
以前ご紹介した博物館のように、ソーシャル・ストーリーを用意してくれるありがたい機関もあります。幼稚園に通う娘の場合は、これまで、「会話のキャッチボール」や「友達」といったトピックが療育で用いられてきました。また、娘が一人での通園を控えていた時に、「幼稚園で過ごす1日の見通しが立てられたらいいな」というのが願いとしてありました。そこで、幼稚園での1日の流れをトピックとして設定しました。今後、マナーについてのソーシャル・ストーリーも制作したいです。
いずれにしても、「何を伝えたいか?」を考えて、なるべく小さなテーマに絞りフォーカスがわかりやすいようにします。NOTEと似ていますね❣
◆2:作成ソフトを決める
作成は、コンピュータで簡単にできます。私のパソコンはMicrosoftなので、Microsoft Officeを使用しました。
★オススメは、パワーポイント☟
◎あらかじめテンプレートがあるので、頑張らなくても体裁が整う
◎イラストや写真の挿入も簡単。パワポ内にアイコンも沢山ある
◎印刷後の仕上がりが、資料より本らしくて興味を引きやすい
◎マイナスポイントは、インクの減りが早い
パワポだと、例えばタイトルがこんな感じに仕上がります。
パワポがオススメと書きましたが、療育で使われるソーシャルストーリーは、大体ワードが多いです。
★ワードで作ると☟
◎1ページに盛れる情報量が多い
◎文字量が多くても大丈夫な場合に向いている
◎マイナスポイントは、テンプレがないので、自分でデザインや体裁を整えていく必要がある。会議資料のような仕上がりになる場合も。
メルボルンミュージアムが提供している、ワードのサンプルはこんな感じです。ワードですが、パワポっぽいデザインにしているのがわかると思います。
全文のサンプルは以下からもダウンロードできます。(https://museumsvictoria.com.au/melbournemuseum/visiting/access/the-autism-friendly-museum/【2020年7月9日閲覧】より↓)
当事者の発達段階や特性、テーマによって、柔軟に使い分けられるといいな、と思います!
ここまでは、最初の準備編。
創作編はコチラの記事です☟中身の書き方のコツをご紹介します!