食事はコミュニケーションの場?ASDの子供と会話練習を行うタイミング
家族で一緒にテーブルを囲み「今日学校でね、、、」なんて何気ない会話を交わすことが、コミュニケーション力を育み、親子の絆を深めると言われています。でも、自閉症スペクトラムの子供を育てていると、なかなかそうはいかないのかも、と思わされます。今日は、ASDの子供との会話のタイミングについて、言語聴覚士さんや色々な療育より頂いたアドバイスをノートします。
最近、眠りにつく直前、私の腕に頭をうずめながら「いい夢見てね、マミィ」と可愛いことを言ってくれたり、癇癪もただ泣くだけではなく「〇〇しないのー!」と言語的な意思表示も増えてきた娘。会話練習も少しずつ進み、言語的成長が感じられる中、家族三人が集まれる唯一の時間であるディナーは貴重なコミュニケーションの場、となるはずが。
食べることが大好きな娘。食事中、娘の応答回数は格段に少なくなります。食事の時には、食事のことだけに、とても真剣なのです。美味しい時には目を輝かせて、嫌いなものが入っていると一生懸命より分けて、一心不乱に食べています。問いかけに対しては、全く耳が閉じてしまったかのように、まるで何も聞こえていないかのように、反応がないこともたくさん。
こんな時、人から話しかけられた時に応える習慣の獲得を優先し、何らかの反応を引き出すよう努めるべきなのか。
娘の言語聴覚士さんは、
「自閉症スペクトラムの子供で、特に感覚刺激に敏感な子供は、食事の時間は感覚を楽しむ時間だから。触感、味、匂い、音、すべてに夢中だから。無理に会話を促さなくていい」
とアドバイスをくれました。自閉症スペクトラムの特性として、マルチタスクが苦手な場合もあり、一つのことに集中しているときはその他のことをすることが難しいこともあるようです。
私にとっては、食事は一家団欒の時間、という認識が当たり前になってしまっていました。「コミュニケーション」の名のもと、人との食事が「食べる行為」と「会話」というそもそも別々の行動から成立しているという当たり前のことを、忘れてしまっていたのです。
とはいえ、言語聴覚士さんは、
「だからといって、無言になる必要はないよ。美味しいね、とか、これ好き?私は好きだな~、とか、言っていい。無理に答えを引き出さず、話しかけ続けてみてね。」
とも言い添えてくれました。それは、いつかもしかしたら、娘が自発的に楽しみを共有したくなる瞬間が、自然と訪れるかもしれないから。また、実際に彼女が生きることになる社会の中では、ランチやディナー、お茶をしながら会話が交わされる場面があるから、それに慣れておくためにも。
ただ、あくまでも、
会話の練習にふさわしいタイミングは、娘の意識がこちらに向いている時。
ASDの子供ではその回数が少ないかもしれないけれど、例えば、子供が絵本を読んで欲しいと持ってきた時や、塗り絵が完成した、と見せてくれた時。「マミィ」と子供が呼び掛けてくれたその瞬間こそ、普段の返事にプラスアルファして、発話を促すようなやりとりを少し加えてみるといいそう。
昨日は、ご褒美のアイス「PINO」を食べ終えた後、娘の方から「美味しかったね~❢PINO食べたね~」と話しかけてくれました。そこで、「本当に美味しかったね~!!〇〇ちゃん、PINO好き?」と聞くと、「PINOとっても大好き❤」と答えが返ってきました。そのタイミングで、少しだけ、一緒におやつのお買い物をしたことを振り返ったり、次に買って欲しいものを尋ねたり、娘を膝の上に乗せて、いくつかやりとりができました。
効果的に会話を学ぶには、タイミングも大事であることを心に留めて、なるべく負担の少ないかたちで、言語的コミュニケーションの発達をサポートしていけたらと思います。