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高校生ってリアルでも小説の中でも何かを頑張ってる姿に私は心打たれる 私が長距離走者として走っていた時も周りの大人は心打たれてたのだろうか?そうだといいなって思う 宮田愛萌さんの「春、出逢い」を読んで


初めに

少しだけ涼しさを感じる時間帯が増えてきて、秋の訪れを感じるこの頃。
読書の秋!スポーツの秋!食欲の秋!
一番好きな季節だからこそ楽しんで、楽しいオーラを周りに伝染させられたらなあと思っています。どうも陸空です。
今回は初めてSNSで見つけた作家さんの本を買って読んだ感想を書いていきたいと思います。
コーヒー等片手にご覧いただければと思います。

私って現代っ子だなあ

近年SNSの発達により、全く存じ上げない方を偶然見つけることがある。今回の本の作者宮田愛萌さんを知ったのもSNSだった。ある日Xを覗いたら、一万以上のいいねがついた女性の写真が流れてきた。美しい方だった。まだ、どんなポストにいいねをしてるか見れる頃だったので、フォロワーさんに見られてたらどうしようか…と思ってとりあえずどんな方なのかを見ると作家さんだった。
WAO
作家さんをフォローするならいいやというテンションでフォローのボタンを押した。
さらに見てみるとyoutubeもされてた。
チャンネルはこちら


すごい個人的なイメージではあるが、あんまり作家さんがyoutubeなどに出られているイメージがなかった。だからこそちょっと気になる存在だなあと感じた。
え?!日向坂46の方だったの?!と知ったのはこの後。
私は俗にいう堅い人なので、アイドルグループさんは意図的にといってもいいほど避けて通ってきた。らしくないと思われたくなかったのがすべてだと思う。自分が通ってこなかったところを通ってみよう。そんな興味本位で、本を買うことを決め、10月の一冊に決めてみた。
今回選んだのはタイトルにもある「春、出逢い」
TBSの王様のブランチではBOOKランキング1位だったらしい(私は中部住みで王様のブランチは放送されない)のでもしかすると見たことある!って方もいらっしゃるのではないかと思っている。


感想(ネタバレを含みます)

まず、声を大にして言いたいのが「みんなが羨ましい!」ということ。
これは私の読者としての特徴なのかもしれないが、タイトルにもあるように高校生が何か目標を立てて頑張る姿にはリアルでも、小説の中でも大きな影響やパワーを感じる。高校野球を見て涙する人たちと同じだと思う。
何故だろうか? ふと思い出したのは高校時代陸上部(長距離)だった私を指導してくださったコーチの言葉だった。 私が引退するときに頂いた色紙に「駅伝の歴史を作ったのは君の熱意と努力です」と書いて頂いていた。すごく嬉しかったのを覚えているが、なぜここまで一生懸命に取り組めたのか。
私には男子同級生がいなかった事、そしてコロナが理由だと考える。
入部したときに短距離、投てき、そして長距離の私と3人の男子とマネージャー含む10人以上の女子が入部した。ほかの二人は練習をサボりがちで、先程書かせていただいたコーチが指導してくださるようになった2年生になってからはほぼ練習に来なかった。
そして3年生の先輩が引退されると完全にフェードアウト。短距離の男子は副部長を任されながらもサボり続けた。何度も部活に来るように言ったが来なかった。私しか男子がいない状況になり、部長も、副部長も短距離女子が担うこの部活に私の発言権はほぼない。「お前がみんなを引っ張るんだよ」
コーチにそんなことを言われたこともあり、後輩たちと走り続けた。
そしてコロナの影響でインターハイ自体がなかった先輩たちを見た時に、自分たちもインターハイがなくなるかもしれないと感じた。悔いを残さないように今やれることをやりたいと感じたことで頑張れたと思う。
この羨ましさは先輩、後輩、同級生が男女問わずみんなで一つの目標に向かって走っていく文芸部の雰囲気に対して感じたものだったのだなと書きながら思う。多分これが高校生が何か目標を立てて頑張る姿にはリアルでも、小説の中でも大きな影響やパワーを感じることの正体だったと思う。



ここからは各章の語り手の皆様にスポットライトを当てたい。


春出逢い 吉徳紅乃

彼女がこの文芸部の部長を務めていますが、なんてまっすぐなのだろうと思った。部長として人員不足を補うために新たな部員を探すシーンが特にそれを感じた。断られても何度も何度も根気強く通って最後の最後には入部につなげた。この先のお話の中でクール、キュート、パッションの3つに部員を分けるというシーンがあるがパッションって言われるのも十分理解できる。
短歌に対して、部活に対して熱情を注ぐ部長。よくいる人なのかもしれないけれど、非常にカッコイイ。

知らない春はさみしいと人は言うだから春には出会いがるの

春出逢い 吉徳紅乃

春に出会いがある理由は何なのか。
人の入れ替わりがある。
まず起きることは出ていく人がいる事だと思う。
出ていく人は知っているし、それなりに関わりもあるし、きっといろんな思いを共にしてきた。
でもその人も去っていく。次にどんな人が来ることも知らされることなく。
だから「知らない春」で、さみしいにつながるのかなと思った。
知らない春は別れの事ではないかと思った。
そしたら、そのあとの「出会いがあるの」がすっと引き出されていく感じがする。

きらきら光る 藤田いずみ

この人を見て一言いうなら私ジャン!という事だろうか。
そう感じた理由として、短歌のいいとか悪いとかが分からないというところや自己評価が低いというところ。
短歌に関してはほぼ読んでこなかった私なのでさすがにそこに共通点を感じたというのは果たしていかがなものか…と思ったりもする。
ただ、彼女の詠んだ短歌でそれを確信した。

せいかいをもとめてみてもわからずに託して眠る明日のわたしへ

きらきら光る 藤田いずみ

めっちゃわかるー!声を大にして言いたい。
この感想も、正解のない問題のようなものだと思うし、普段から正解のない問題に何度も果敢に挑んでいる気がする。
結局分からなくて、また別の日に考える。
実際に先程書いた知らない春も分からなくて一日寝かせた。
また、この短歌を本人が解説するシーンでは、明日の自分は今日の自分より1日年上だと語っているのもかなり私っぽいなと思う。
しかしながら、私はあなたにはなれない。
もちろんあなたも私にはなれない。
ただ彼女のような人物には感情移入をしたくなる。
そして努力家で、常に向上心を持って取り組む姿が素敵だ。

ことばたち 楢崎佑太朗

短歌が好きという感情が一番表に出ているのは彼かなと思う。
前章では、いずみ、キヨに書店で、歌集や短歌雑誌を紹介したり、更にひとつ前の章では学校の図書館から借りてきた歌集が紅乃によってバランスよく選ばれていると評価されていることからも、いろんな歌に触れてきたのだろうと思う。
先程触れたいずみに大きな影響を受けてはいるものの、どこかいずみや一部のメンバーとの絶妙な距離感が一年生らしい。作中からもわかるが、大人しいタイプなんだろうなと感じる。

奥歯にて
細かくなった言葉たち
飲み込むこともできずに溜まる

ことばたち 楢崎佑太朗

言い出せない時、言葉を奥歯でかみ砕いているイメージを持つ彼。部活の先輩との会食によって一歩踏み出して、言い出せるようになった彼。今まで無意識的に言えなかった事というのが奥歯でかみ砕かれていると彼は語っている。最後には部活のメンバーが作りそうな歌を作るところまで部内に溶け込んだ佑太朗。
今まではクールでどこか一歩引いたポジションを取っていた彼はここで本当の意味での仲間に出会うことができたのだろうと思う。
この先佑太朗がどんな風に成長していくのか楽しみではあるけれどなんとなくこの先が見れない方がいいのかなと思う。でも、ご本人が続編を書きたいとおっしゃってるのでゆっくり待ちたいと思う。

想い、つなげて 木虎礼登

最高の先輩。
この人を紹介するならこの言葉がいいなと思う。
佑太朗も彼の事を詠んだ歌で、優しく、面倒見がよいと評している。
彼は、国語が苦手と語ったり、短歌はよくわからないと語っている。
実際私も同じだ。何がいい!とかは分からない。でもなんとなくいいなあと感じることが多くて、すごく気持ちがわかる。
彼は補欠なら(団体戦は3人1組)大会に出てもいいというポジションの人である。
まるで月のように部員を見守り、前章のように部員1人1人をすごく気にしていて、よく見ているんだなと感じる。
同期の小鷹山小夜との関係性は何とも言えない部分があるが、同期ってそんな絶妙な関係性がちょうどいいのかなって思う。
私は読みながら礼登先輩が高校時代の部活の先輩だったらいいのにな…なんて思った。
今サークルにそんな先輩がいる事を思い出した。一つ上でずっといろいろ気にしてくれて、そんな最高の先輩である。
最近会えていないけど、また一緒にボールを蹴りたいと思った。
そして最後に彼は後輩たちを引っ張ってきたが、後輩たちに背中を押されて短歌を詠んでいる。部活、そして夏はこんなにも人を成長させるのだなと思った。
私はまだ短歌ではないといけない理由は分からないが、いつかわかるといいなと思いつつ、彼は越えられない。佑太朗の言いたいことがなんとなく理解できた。

空を見上げる 空井朱那

紅乃の誘いに根負けした彼女。
ここでは朱那と紅乃の関係性から見ていくと、紅乃には多分何でも言えるんだろうなって思う。そんな何でも言える関係性から最後には来年も短歌甲子園に出場することを約束していた。
部活を通じて成長していく様子がわかりやすく書かれている気がする。
そして、最初誘われたときは否定的だった事の理由を見ると彼女は4月からの4か月で大きな壁をいくつも超えているんだなと感じた。
そして最後には小夜先輩との関係性も修復された。
なんかハッピーエンドだなと感じる。
空を見上げる。
これは私もよくやること。
上手くいかなくても、上手くいっても。
なんで空を見上げるなのか。
考えてみると過去を乗り越え、日の当たる場所にまた帰ってきたから?なのかと思ったが多分違う。
次に思ったのは負けて悔しくて、でもどうしようもないから天を仰ぐって意味での空を見上げるなのかなと思った。
なんかずれてるなと思い、出た答えは
紅乃と次の舞台に向けて歩み始めるからなのかなと思った。
実際一度紅乃と一緒に外に出ているシーンがあるのでこれが私なりの答えであるということにしたい。



いつもの音 八辻緋南葵

彼女がもしもいなかったら、きっと重苦しい雰囲気になっていたし、きっと夏に部員たちが大きな成長をすることはなかったのかなと思う。
大会が終わりいつも通りの日常が戻ってきたが、彼女は「夏で成長しすぎでしょ」と語っている。
それだけ夏って人を変えてしまうんだなって。
彼女は日向での大会に敗れてしまったが、後輩たちの成長を確かに感じているし、現実を知ることは、残酷でもあるが大きな力になる。
彼女を見ているとなんか応援したくなるなって思う。
そして朱那との距離が最後にさらに近づくシーンがある。
紅乃とはずっと仲良く、素晴らしいコンビだったが、朱那とはそれほどでもない。本人も朱那は紅乃の事しか見ていないのではないかと思っていたよう。
このシーンでより一つになったなと感じた。
大会に参加する前のシーンでは口火を切ったり、後輩に寄り添ったり、先輩として責任を感じていたり、きっとこの夏を経験しより成長していくんだろうなと感じた。

最後に

まずは長々と書きましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。
そして、お疲れ様です。
ふと、春と秋って似てるよなと書きながら実は思っていて、なんでかな?と思ったら、秋にも出逢いと別れがあるからだと気付かされました。
ドラフト会議、戦力外通告、そしてアナウンサーの初鳴き、番組改編等々。
桜は咲かないけど、木々は色鮮やかな衣装を纏う。
夏と冬は正反対だけど、どこか春と秋って似ているなと感じました。
そんな事はさておき、やっぱり高校生達のお話は読むと私も頑張りたい!と思ったり、高校生を経験してるので分かるなぁ!って思うシーンもあり、すごく読んでいて、自分と重ね合わせている時がありました。
青春してるなぁってやっぱり羨ましいって思うこともありました。

ご覧のように、宮田愛萌先生は、ポップな明るい小説とご紹介されているが、ホントにそのとおりだったと思います。
元気が無いときに読んで、明るい気持ちになってまた頑張る事ができそうだなと感じました。
そして、よく高校生の部活を舞台にした小説のを読んで思うことですが、この部活に入りたい!って思うんです。運動部しか通ってこなかった私には文化部の雰囲気とかはよく分からないです。でも、この本から少しだけ分かった気がするし、最後にはとても楽しそうで、私も文芸部に入りたい!と思いました。
この感想を書きながら宮田愛萌先生のYouTubeをラジオにしていましたが、それを聞いて文学部って面白そうな世界だなと思うと同時に、自分が古典とかの研究をしてるのは想像つかないなって思いました。 まぁスポーツの世界を生きてきたからそりゃそうなんですけどね。
全く知らない世界を知ること、あの時できなかった選択ができること、それが読書の魅力なのかなぁって考えさせられました。
読書の秋っていうからこそ普段あんまり本を読まない皆さんも本を読んで欲しいし、まずは書店に探しに行ってほしいです。
そして、自分の興味あるタイトルや、興味ある分野の本を読むところから初めてみるといいのかなって私は思います。
また、この本を読んでいて部活の後輩達に会いたくなりました。元気にしてるかな?連絡取ってみようかな?と思っている今日です。
最後にこの本について語られている宮田愛萌先生のYouTubeチャンネルの動画をご紹介して終わりにしようと思います。本を読み終わってから是非ご覧下さい。

改めて最後まで読んで頂いてありがとうございました!
また次も読んでください!


西村拓真さんの青春してる発言を考える

宮田愛萌先生自身も青春部活小説と称しているこちらの一冊。
読んでいて、ある選手の言葉が浮かぶ。
西村拓真だ。
彼はチームが優勝を決めかねている状況のインタビュー(1:45あたり)でこんな発言をしている。


プロに入ってこんなに青春できると思わなかったです
本当に家族という感じがこのチームはすごくしますね

西村拓真

この発言がちょっと皆でざわついたのを覚えている。
今なら少しわかる気がする。
家族のような温かくもあり、誰かと刺激をし合いながら一つの目標に向かって突き進む。
これが多分青春してるってことなのだろう。
試合に出られない仲間の想いも背負ってピッチに立っている彼。
一体感、そして、他人事にしない感じ。
それがマリノスなのかなって思う。
それが青春してるってことなのだろうなと思う。
今年の5月、アジアで一番になれなかった。
アジアで一番になりたい!そんな夢ができた。
時間は有限だし、過ぎていくけれど、私達サポーターも彼に負けずまだまだ青春しているんだろうなと思った。
青春は、酸いも甘いもどちらも来る。
今は間違いなく酸い。
でも、まだ2回今年は甘いに変わるチャンスがある。
だからこそ勝ち取りたい。そして、来年もっともっと甘いを経験したい。
みんなでこれからも青春したいなと思いました。そして、サッカーに興味のない方も一緒の船に乗って、みんなで青春しましょう!
(おわり)

#12

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