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レデラジ♯6「色の違いが分かりづらい」いっちーさんが色を扱う仕事を通して起きた変化

ひとりひとりが過ごしやすい社会をともにつくるをミッションに活動するLedesone(レデソン)のショートラジオ番組「レデラジ」

第6回目のゲストは前回に引き続き、色覚障害とADHDの当事者でLedesoneのデザイナーとしても活動するいっちーさん。
色覚障害当事者でありながらデザイナーを選んだ理由や、仕事の中での困りごとについてお話しいただきました。

レデラジはnoteではテキストとしてSpotifyでは、音声で楽しむことができます。


Ten
「ひとりひとりが過ごしやすい社会をともにつくる」をミッションに活動するLedesoneがお届けする「レデラジ」。
モデレーターのTenです。
レデラジでは毎回様々なゲストと一緒に、Ledesoneが取り組むインクルーシブデザインに関することや、見えづらい違いの特性を持っている方と一緒にお話をしていきます。

今回のゲストは、前回に引き続きいっちーさんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

いっちー
よろしくお願いします。

Ten
前回は日常での困りごとや、色の見えづらさについてお話していただきました。
今回は、いっちーさんがデザインの仕事を始めたきっかけや仕事での困りごとについて、もう少し深くお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いします。


デザイナーを志した理由

Ten
前回もデザインの資格を取った話をされていましたが、その辺りをもう一度おさらいしながら、今の仕事を始めたきっかけについて教えてください。

いっちー
そうですね。
元々絵を描くのが好きで、色を塗る時にうまく塗れないという悩みがありました。
新しいものが好きで、電子機器やガジェットにも興味があったのもあり、パソコンを使って色を塗れば編集や、やり直しができるのではと思い、デジタルで絵を描くようになりました。

そういった背景から、資格を取得することを目指したのですが、その過程で色の見えづらさが直せるものではないと気づきました。

現在の仕事

資格を取ったおかげで雑誌デザインの仕事に就くことができました。
仕事をする中で、他のデザイナーさんと同じように仕事をするには、人一倍頑張らなければならず、悩むことも多いです。
現在は自身の特性を活かし「XR」を用いた空間デザインの仕事もしています。

例えば、「Photoshop」で立体感のあるボタンを二次元的に作る際に、光の入れ方や影の付き方をリアルに再現するのが難しかったのですが、コンピュータシミュレーションを使えば、自分の苦手な部分を補えるのではないか?という思惑から3DCGを始め、結果的にそれまでのスキルとの組み合わせで、今の仕事ができています。

色覚障害の診断に至った経緯

Ten
ありがとうございます。
カラーコーディネーターの資格を取ったことがきっかけで、診断に至ったんですよね?

いっちー
そうですね。
それまでは、人に話すのが恥ずかしくて相談しなかったこともあり、自分が色覚障害であることを知らず、資格取得を目指す過程でようやく気づくことになりました。
その後、資格取得のために色についての知識を学び、資格取得が出来たことがキッカケとなり、デザイナーとしての道を進むことができました。

仕事をする上での困りごとや特性を活かした働き方について

Ten
デザインの仕事をしていく上で、自分の特性がうまく仕事に生かせていると感じることや、逆に困ることはありますか?

いっちー
困りごとの方が多いですね。
特に色を扱う仕事では、自分の色の見え方が他の人と違うため、悩むことが多いです。

例えば、デジタル写真を印刷物に変換する際に色がくすんで見えることがありますが、これを調整するのが難しいです。
上司から「血色良く調整して」と言われて、自分では調整したつもりでも、他の人から見ると「ゾンビみたいな肌色だね」と言われたことがあります。
こうした悩みが多いですが、デジタルの数値を頼りに仕事を進めることがでなんとかなっています。

Ten
デジタル技術やツールでうまく補っている部分もあるんですね。

いっちー
はい。
デジタルツールを使うことで補える部分もありますが、それでも悩みは尽きません。
特にリアルな色を再現する仕事は苦手です。しかし、ゼロからデザインを起こす場合は、自分が苦手でない色を扱うことで、自分の得意な領域で仕事をすることができます。
自分の苦手な部分を補うために、デジタルツールやコンピュータシミュレーションを活用しています。

ただ、初期の頃は自分の特性を人に知られるのが怖くて、仕事をしながらハラハラしていました。
最近は逆にそれを堂々と言うようになり、同じような特性を持つ人たちのためのツールの改善にも役立てることができると思っています。

Ten
今後、もっと仕事に生かしていきたいと思う特性や、ADHDの特性についてはどうですか?

いっちー
自分のキャリア選択には、新しいもの好きで飽きっぽい。ADHD的な部分が直接関係していると思います。 「XR」のような新しい技術を用いる仕事に携わっているのも、自分の特性を理解した上で意図的に選んでいるところがあります。

色覚多様性の観点で自分の色覚特性を活かすことができる場面も増えてきているので、今後もっと自分の特性を活かしていけるといいなと思います。

Ten
今後、どんどん活かしていけるようになるといいですね。

いっちー
そうですね。
辛い思いや苦手な部分に向き合うことも多かったですが、作り手として少し違った視点を持てることは自分の強みだと思っているので、今後も自分の経験を活かしていきたいと思います。

Ten
ありがとうございました。

全3回にわたり、色覚の特性の話から、日常やゲームでの困りごと、それを持って現在の仕事を選んだ話、そして現在の仕事での経験についてお話しいただきました。
次回のレデラジもお楽しみに。


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