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僕と薬のうつ日記 4年目その8「初めてボランティアに行った話Ⅱ」
前回のお話。
ボランティアへ行く当日となった。
といっても深夜バスなので、厳密には前日出発。
21時に自宅から電車でバスターミナルへ向かう。
学生時代やその後も、遠距離移動は前乗りが多くだいたいが深夜だった。
帰り時間に帰宅するのではなく、家とは別方向へ行く特別感にワクワクした思い出がある。
ボランティア前で不謹慎だが、その思い出がよみがえり懐かしい気分になった。
22時定刻通りに深夜バスは現地へと動きだした。
時間が時間なので出発してすぐにバス内は消灯になった。
暗闇の中、僕は窓際の席だったのでオレンジ色の外灯が次々と流れていくのを見ていた。
1時間後、バス内にはわずかな携帯の灯りとイビキ声が響く。
明日に備えるため、自分も早めに寝ようとふところに忍ばせたマイスリーを口に含み、ペットボトルの水で流し込み目をつぶった。
でも、やっぱり環境が違うので上手くいかず、結局しっかりと眠ることは出来ずウトウトしながら朝になった。
心配していたジッとしていられない病が出なかったのが幸いだった。
夜が明けると、参加者達の会話が弾みだし、バス内は少しだけ賑やかになった。
ちなみに僕にも隣の人がいたと思うのだが、会話した記憶はない…
やがて現地に近づくと、土砂くずれやガレキの積る場所がチラホラ見えはじめ水害の恐ろしさを知り緊張感が高まってきた。
「わぁ」と声を上げガレキの写真を撮影する人がいたのは、正直うーん…となった。しかし今考えると被災者さんの前でやってるわけじゃないので別に気にする話じゃないとも思う、僕はメンドクサイ奴です。
ついにバスは目的地、ボランティアの運営本部に到着。
早速、我々一団も登録手続きを開始するべく並んだ。
他にも各所から集まった人達で運営本部はごった返していたが、テキパキと皆さんが動いていたので混乱もなくスムーズに進行した。
指示を出す人、列に案内する人、事務手続きをしてくれる人。
困難に立ち向かう為、性別や年齢にかかわらず沢山の人が集まって動いている。あらためて人のパワーに驚かされる。
登録後は実作業場所とグループの選定が行われた。
最初は数十人だったボランティアバス一団も5~6人の小さなグループに分けられる。
僕も年下の大学生の男女と年上の男女、4人のグループに配置された。
大学生の男の子をD君、女の子をDちゃん
年上の男性を上夫さん、女性を上子さんと呼称。
僕らに割り振られた仕事は、数十メートルある住宅街の側溝の蓋を開け、中にある泥を出し専用の袋に入れて回収所まで運ぶというミッション。
つまり泥すくいだ。
実作業といっても何も経験のないボランティアなので、そんなに難しいことは任されない。
ガレキ撤去や家財道具の運びだしを想定していたのでちょっと拍子抜けした感じもしたけど、素人集団なんだから当然である。
むしろ難しいことはプロに任せて、誰にでもできることをやるのが素人ボランティアだよなと完全納得した。
ボランティア運営さんには「作業は皆さんのできる限りで大丈夫です」と念を押された。
現場へ到着し、全員で軽く挨拶したあと「さて、どこからはじめましょうか?」と一同は立ち尽くした。
あらためて現地を見て、泥すくいってかなりハードな作業だということがわかった。
「とにかくやろう」みたいな感じで上夫さんが先陣を切って動きはじめた。上夫さんは気合入りまくりで「しゃーこらっ!」と声を出してコンクリートの蓋をガンガン開けだした。
しかし、コンクリートの蓋はめちゃくちゃ重い!下手すると腰をやってしまうし、上夫さんは力まかせに蓋を放るので、本人はもちろん、他の人が怪我をしてしまう危険もあった。
とりあえず蓋は男二人で開けましょう、とD君と二人で上夫さんに声をかけた。
続きます。
今回はカバーにmacapyさんの素敵な写真を使用させてもらいました、ありがとうございました。
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