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往復書簡#6(往信) 『関心領域』を観ておもったこと

まえがき

暑すぎる夏…!久しぶりに「エッジの往復書簡」を書いてみました。
今回掲載分は往信のみですが、ご覧いただければ幸いです。

なおちゃん to うっぢゅ

うっぢゅ様

8月、夏休みもそろそろ折り返し…
6年目にして改めて新鮮なエッジの1学期は、みんなの「自分!」が出てきたところで終わりましたね。ここから始まる2学期が楽しみです。
さて、久しぶりの往復書簡は、少し前に観た映画のことから。

閉鎖空間×大きな音が苦手なわたしは、映画館に足を運ぶことがあまりないのです。にもかかわらず観に行った『関心領域』…。隅から隅までストレスフル…。数日は生活音に過敏になり、食欲も減るくらい影響を受けました。

その後、「関心領域(独:Interessengebiet 英:The Zone of Interest)」というのは、アウシュビッツ収容所を取り囲む地域を示すのにナチスが使用した用語だということを知って慄然としました。この婉曲表現に、本当に気持ちが悪くなったのです。ナチスは「再移住」「最終的解決」「特殊措置」などの言葉で、恐るべき事実を隠蔽したといいます。

でも翻って、自分も、婉曲表現をつかって無意識にもしかしたら意識的に、真実を覆ったことはないか? 何か違和感に気付いたとき、それに目を瞑ってそのままにしていることがないといえるのか…?とも思ったのです。

少し話は変わって、1学期はエッジの文学の時間、みんなで「こわい話」を読みました。小松左京の「沼」という作品を取り上げた時には、「こわい」と感じた言葉に印をつけてみよう、ということになりました。

「くろぐろとした森」「星のない空」「鎮守の森」「眠くなるような祭りの太鼓」「鉛色に光るもの」「森の奥に、古い沼」、、等の言葉に印が付けられていく中、そこから触発されて、それぞれが想像した情景や、思い出した過去の出来事、ひとつひとつの言葉や作品の解釈など、皆が口々に話してくれました。

ひとつの言葉に何が含まれているのか、それは言葉通りのことを表しているのか。何を伝えようとしているのか。受け取るには、想像力も知識も考えようとするエネルギーも必要だけど、これはずっと手離さないでいたい、とみんなで作品を読みながら思っていました。

…映画の話からエッジの話に流れ着いてきましたが、今回はこれでおしまい。うっぢゅも見た『関心領域』、よかったら感想を聞かせてください。

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