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【読書感想】武器になる哲学
参考資料
読んだきっかけ
高校時代に倫理学で哲学の勉強をした。
その頃はなんか重要そうなことを言っているが、何に使うかも、言っている内容も曖昧でわからないと感じていた。
社会にでて働く中で、答えのない曖昧な問題にぶつかることが多く
『武器になる哲学』に書かれていた
考えを覚えるのではなく、考えが生まれた過程を学ぶ
どのような課題感に対する回答なのかを知ることで応用につなげることができる
という言葉に興味を惹かれ、本書を読んだ。
内容例
本書では数多くの思想家やその思想について紹介がされている。
ここではその中の一例をあげる。
シニフィアンとシニフィエ(フェルディナンド・ソシュール)
言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する
シニフィアン
言葉(記号化されたもの)
シニフィエ
事象(記号化される前のもの)。ありよう。
通常は「もの」があってそれに対して「言葉」が後追いでつけられていると理解されている。(シニフィエ=シニフィアン)
反証
「羊」「ジンギスカン」は同じものを示すが意味が異なる。
「湯」「水」は英語ではどちらも「water」
人類の科学の歴史上、人は言葉を使って論証を行ってきた。
しかし上記はその言葉が絶対的なものではないことを示唆している。
=人は言葉の枠組みでしか物事をとらえられない(構造主義)
結論
シニフィアンはシニフィエの一側面を描写することしかできない。(シニフィアン=シニフィエではない。)
言葉を用いて世界を正確に把握、分析するためには
より多くの言葉(シニフィアン)を組み合わせ、精密にシニフィエを描き出す必要がある
個人的感想
本書の中でもこの思想は一番納得感のあるものだったため例として挙げた。
現在私はITコンサルタントのようなものとしてユーザーとエンジニアの間に入り要件・要求をまとめたり、PJの進行管理などをしている。
その中でユーザー、エンジニアでは同じ事柄を指すのに使う言葉が全く異なっていたり、似たような言葉だが言葉に込められた意味が異なる、といったケースによく出会う。
そのせいで議論に食い違いが起きたり、話が進まなかったりすることも多々ある。(そこ上手く翻訳し、スムーズにPJを進めるのが私の役割の一つでもある。)
専門用語、カタカナ語、略称、異なる言語など語彙を増やし、
TPOや文脈に合わせた適切な言語を使うことの重要性を改めて実感することができた。
全体を通した感想
各思想、思想家については軽く触れる程度だった。
それぞれどんな時代背景や課題感から生まれた考えなのかを知ることができ理解が深まった。
なかでも以下の話は興味深かった。
・構造主義(シニフィアンとシニフィエ)
・モチベーション管理系(予定説、報酬系:脳)
・MTGでより正しそうな意見をだすには(悪魔の代弁者、反証可能性)
最後の悪魔の代弁者などは
キューバ危機の際に悪魔の代弁者の考えをもとに意思決定プロセスを見直した話があり、実社会に哲学がどう影響しているのか分かり面白かった。