地域ブランドは既に存在している。
この投稿は、2022年12月24日に投稿したブログです。noteへの移行に伴い再掲しました。再掲にあたり内容の一部を編集しています。
地域ブランドや地域共通の産品のブランド化には、利害関係者が複数存在することになります。地域であれば、役場や事業者、観光協会や農協、住民などです。産品だと生産者や農協、小売店、レストランなどがあるでしょう。
利害関係者はそれぞれ立場が異なるため、ブランド化によって地域や産品に付加価値をつけることについては大筋での合意はできますが、ブランドの運用方法を細かく決めていくところで利害関係がぶつかり、合意形成には時間がかかります。
例えば、ブランドの立ち上げ時には産品の商品名や地域ブランドを示すロゴなどを統一して、使用規定を定めようとするのですが、すでに自社の商品名で製品を開発、販売している会社があったり、以前から使っていたロゴマークを使った包装材料やパンフレットなどの在庫があったりすると、すぐに新しいブランディング体制に移行するのは難しくなります。
また、地域や産品ブランドは、ブランドの送り手(つくり手)がブランドを意識する前から顧客に支持されている場合が多く、すでに、ブランドが出来上がりつつある場合が多くあります。
ブランドは意識して作られるものではなく、気づいた時には芽が出ているものです。なぜなら、ブランドはお客様の頭の中でその価値が作られるものだからです。
ブランディングは、そのお客様の頭の中で成長するブランド価値を提供する情報によってある程度コントロールしようとするものだと考えています。
つまり、ブランディングはつくり手が全てのコントロール権を持っているわけではないということです。この点、ブランドを担当する人たちは謙虚に考える必要があるでしょう。
すでにお客様がブランドと感じている地域や産品は、少なくとも地域の利害関係者が発信する情報をもとに作られたものがほとんどです。新しいルールを強引に作ることは、すでにある情報の上にブランド価値を感じていた顧客の期待を裏切ることにもなりかねません。
ブランドの統一や移行については十分な調査を重ねて、リスクを管理した上で実施すべきと思います。