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<対談>福島県広野町が舞台の新しいアートフェア『余白のアートフェア』を語る!~【前編】アートフェア当日を迎えるまでの裏側~
本記事は、2025年1月25(土)26日(日)に、福島県双葉郡広野町にて開催された『余白のアートフェア / MARGINAL ART FAIR 福島広野』に関する記事です。
『余白のアートフェア』当日を迎えるまでの裏側を語る!
こんにちは。リープのエマです。
突然ですが、皆さんはアートの鑑賞はされますか?
休日には美術館やギャラリーに行かれる方もいらっしゃると思います。
リープのオフィスがある天王洲アイルは「アートの島」と言われることがありますが、道端にある植木鉢に海の生き物の絵が描かれていたり、看板のフレームが手の形をしていたりするなど、街全体にアートがちりばめられています。
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今あなたのデスクにあるコーヒーのカップもデザイナーさんが生み出したアートですよね。
アートとは大きな美術館で、一定の距離を保って作品を見るもの。
街のギャラリーはアートに詳しい人が行くところ。ちょっと敷居が高いところ。
そうしたスタイルだけが「アート鑑賞」ではないかもしれません。
日常のなかでちょっとだけ「アートのアンテナ」を立ててみると、新しい発見があるかもしれませんよね。
本題に移ります!
2025年1月25(土)26日(日)にリープのキャシーとエマで『余白のアートフェア / MARGINAL ART FAIR 福島広野』に参加させていただきました。
このアートフェアは、現在リープのオフィスに飾られているアート作品を手掛けてくださった、クリエイティブディレクター/アーティストである山﨑晴太郎さんがディレクターを務められていたり、リープオフィスのギャラリースペースの展示作品の作者である写真家・竹腰隼人さんも招待アーティストとして出展されたりしているなど、リープとも何気に縁の深い⁉アートフェアです。
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前を通ると本当に火が灯っているように見えて、美しいポスターです。
▼リープに制作いただいた山﨑晴太郎さんの作品についての記事はコチラ
そんな「余白のアートフェア」に、エマは出展アーティストとして、キャシーはサポーター?(ボランティア、一般参加)として参加してきました!
たくさんの出会いと感動が詰まった二日間でした。その様子を思い出しながらキャシーとエマで対談をしましたので、それをそのまま皆様にお届けできればと思います。
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キャシー:リープ株式会社 インストラクショナルデザイナー
「余白のアートフェア」の開催地である福島県広野町で2023~2024年にかけて行われたアート事業『鳥小屋プロジェクト2023-24』に参加したことから、余白のアートフェアへの参加も決意!
エマの先輩。
🔗 二地域居住アーティスト・イン・レジデンス2023(外部リンク)
🔗 鳥小屋プロジェクト2023-24(外部リンク)
エマ:リープ株式会社 コンサルタント
リープの広報部長「ブンちゃん」の生みの親。キャシーの後輩。
毎年リープが訪問しているこども食堂では、ブンちゃんの塗り絵などでよろこばれている。リープでの仕事と「いきもの画家・えいじまみずほ」としての活動を両立している。
🔗 Written by エマ|【公式】リープ株式会社
🔗 今回のアートフェアで展示した作品や詳しいプロフィールはこちら
それでは対談スタートです!!
キャシー:まずどんなふうに参加に至ったか、というところをお話していきましょうか。
余白のアートフェアの参加アーティストには、招待枠と公募枠があったんですけれども、ブンちゃんのデザインをしているエマちゃんが、見事公募を通過したのがきっかけでしたね! おめでとうございます!
▼エマが生み出したリープの名物キャラ”ブンちゃん“についてはコチラ
エマ:ありがとうございます! とてもいい機会をいただいて、すごく貴重な経験をさせていただきました。
キャシー: エマちゃんは度々ギャラリーに出展したりしていると思いますが、50組以上のアーティストが参加する大規模なフェアへの参加は初めてと聞いています。アーティストとして参加してみてどうでしたか? 率直な感想は?
エマ:参加アーティストさんたちは、有名な方が多かったので、はじめは緊張しながらやっていたんですけど(笑) 全体を通して、非常に新しいスタイルのアートフェアだなと感じています。
キャシー:地域に紐づいたアートフェア自体は、色々なところで行われてるのかなと思うんですけど、この余白のアートフェアが他の展示と違うなと感じたところはどこですか?
エマ:まず、公募のやり方が他と違うなって。
例えば、公募アーティスト選出の時の投票は広野の地元の高校生も審査員として参加してくださったみたいで。
現地の方とつながりが実感できるスタイルが楽しかったです。
また、審査をしている状況をアートフェアの運営の方がSNSを通じてかなりタイムリーにアーティストに向けて発信してくれていたんです。おかげで、広野に行く前から広野の方々に親近感が湧くという不思議な感覚でした。
運営の方の「余白のアートフェアは結果だけでなく、こうしたプロセスが未来の種まきになることを心掛けています」という思いがあってこそだと思います。
あと、審査手順がアーティストに向けてオープンであることも新鮮でした。
審査員に配られる審査手順用紙をSNSで公開してアーティストに共有する、といったことも行われていました。
今回、年齢制限・学歴制限など一切不問で14カ国から96名の方にご応募いただき、一次審査ではこれまでの活動歴を同一のアルゴリズムで数値化して、上位60%強の方々に最終審査にお進みいただきました。その際、学校名や学位での配点の違いは一切無し、また、学位が無くとも活動歴や展覧会歴が十分であれば上位に浮上出来るアルゴリズムとして、多種多様な背景を持つアーティストさまを可能な限り公平に扱えるよう心がけました。
▼ご参考:そのほか、一次審査・最終審査についての情報もThreads公式アカウントにて発信されています
そのためか、参加されるアーティストさんの経歴も年齢も全く異なっていて、色々な作風の方がいらっしゃると感じました。「プロセスをオープンに共有するスタイル」も新しい取り組みだったのかなという印象でした。
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キャシー:本当にいろんなジャンルのアーティストさんがいらっしゃいましたよね。選出の知らせを聞いたときの気持ちはどうでした?
エマ:純粋にすごく嬉しかった。フェアに向けて全力で準備していこうっていう気持ちになりました。
あと、広野の地元の方、高校生とか。他のアーティストさんにお会いできるのもすごく楽しみでワクワクしました。
キャシー:私もちゃっかり前日の24日から現地に入らせてもらって搬入のお手伝いをさせていただいたんですけど。この会場がまた結構変わってて。二ツ沼総合公園っていう広い大きな公園で、合宿所とか、広い芝生や大きい遊具があったり、茶室もありました。アルパカの飼育スペースもあったりして……。
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通常、美術展示をやるっていうような建物ではないところが会場になっていました。
エマちゃんはそこの中でも、「合宿の宿」という、もういかにも「部活の合宿するところです!」感たっぷりの宿泊所のなかのお部屋での展示でしたね。お部屋には二段ベッドが並んでいて……。
そうした、いわゆる「美術展示をする場所」ではないところでの搬入作業で苦労したことは何ですか?
エマ:普通の展示だとピクチャーレールとか、美術用品を使うのですが、今回の場所は、ただベッドが並んでいるのと、あとテーブルと椅子。それがあるだけという感じで、ここにどうやって展示しようっていうのでかなり悩みました。
着いてからやっと展示計画を立て始める形になってしまったのもあって、本当に「どうしよう……!」っていう風に思ったんですよね。
絵を飾るときに、見え方も大事ですし、絵が落ちないようにとか、光がどこから入ってきて、この角度だったらどうよく見えるかな?とか考えることがたくさんあって。
それを決められた時間内にやるっていうのが焦りました(笑)
キャシー:たくさん試行錯誤しましたね。今回のアートフェアは、一部屋に2~4名のアーティストさんが作品を展示されるような形だったんですが、どう飾ろうか、みんなで協力して、いろんなアイディアを出しながら。
エマ:二段ベッドの梯子をイーゼルとして使う方法に感動しました。キャシーさんのナイスアイディアでしたね。
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(アーティスト:えいじまみずほ さん)
※キャシーのアイディアで展示されたエマの作品
キャシー:早めに搬入が終わったアーティストの方や地元の新聞社の記者の方まで巻き込んで手伝っていただきましたよね。私自身はアーティストでもなんでもないのに、なんか自分も輪に入って、コミュニケーションが取れたことが嬉しかったですね。
エマ:一気に絆というか一体感が生まれましたよね。
キャシーさんはアート鑑賞ってされますか? アートに対してどういう考えですか?
キャシー:美術館に行ったり、いろんな作品を見たりするのは楽しいですし、一応高校の頃美術部員だったこともあって……ほぼ幽霊部員でしたが(笑) アート鑑賞は好きです。ただ、精神的にも物理的にも、ちょっと敷居が高いというか、その世界に入りづらい・触れづらいっていう感覚はやっぱり大きいかもしれません。線の外側から一定の距離を保って見るもの、みたいな。
でも、今回のアートフェアは、展示場所が合宿所だったり、茶室、大浴場とか、全部もうすごい至近距離で見れちゃうし。日常の中に作品が置いてあるので、アート鑑賞のハードルを感じさせないというか。心の距離を近づけて観れたなって思います。
いや、準備、ほんとおもしろかったよね。めっちゃ大変だったけど(笑)
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会場は合宿所の大浴場。
エマ:私は結構焦ってました。心の中は(笑)
搬入終わったら時間も遅くて、会場からどうやって帰るの?みたいな。他のアーティストの方の車に同乗させていただいたりとか。みんな助け合いながらなんとか準備を終えることができました。
キャシー:そもそも知り合いと一緒に来てる人ばかりじゃないもんね。その場で「初めまして」みたいな感じでやるわけじゃない。それはすごいなって思って。
初めましてで展示のセッティング、手伝ってもらって。
初めましてで、車乗せてもらって。
現地に来られなかったアーティストさんとは、ビデオ通話でやり取りしながら設置したりとかね。そういうのが面白くもありました。協力しながらなんとか乗り越えて、フェアが始まる時点でもう一体感ありましたよね。全員で苦労を共にして、絆が一日で爆誕したっていう。
エマ:そうですよね。学生さんとか、役場の職員さんとか。もうすごく手伝ってくれて。なかなかないですよね。うん。
【後編に】つづく!
余白のアートフェア~当日を迎えるまで~【前編】はいかがでしたか?
私(エマ)がこのアートフェアに参加するに至ったきっかけから前日のリアルな準備の様子が伝わっていたらうれしいです。
【後編】ではアートフェアの当日の様子をお届けします! どうぞお楽しみに!
本アートフェアについて
▼詳細は以下のWebサイトをご覧ください
『余白のアートフェア / MARGINAL ART FAIR 福島広野』
2025年2月28日(金)まで本アートフェアの出展作品のご購入が可能となっております。本当に素敵な作品ばかりですので、お買い逃がしのないよう、下記リンクよりぜひご覧ください!
https://seitaro-yamazaki.myshopify.com/