私的解題−12「火攻篇」 孫子の兵法をプロジェクト マネジメントの観点で翻案したら
「12 火攻篇」障害とリスクマネジメントを簡潔に書いています。
「プロジェクトの障害を短期間で、かつ、最小限のコストで、味方へのダメージを最小限に抑えながら取り除くには、実際に障害を引き起こしているものを排除する等、いくつかの対策があります。しかし、こうした対応を可能にするためには、効果的な条件が整っていなければなりません。また、条件を整えるためには準備が必要で、実行には必ずタイミングがあり、それが読めなければ対応は成功しません。
対応を仕掛けたら、必ず対応に正しく応ずる対処法を用います。その時、プロジェクトの全員が、この対処法を理解して守り実行しなければなりません。そうでないとせっかくの対応が無駄になってしまいます。」
→ リーダの才覚だけで対応できるとよいのですが、世の中、そんなうまい障害ばかりがおきるわけではないので、書かれた通りの対応が必要ということですね。
その対応が決まったら、「プロジェクトの全員が、この対処法を理解して守り実行しなければなりません」。「対処法を理解して守り実行」=腹落ちしていて、勝手な解釈なく、身に着けていて、いつでも実行できる状態にしておいていないと、「せっかくの対応が無駄になってしまいます」と言っています。
「プロジェクトに対する障害を、最小限のコストと少ないダメージで短期間に取り除くことができるリーダは賢明であると言えます。なお、時間とコストをかければ、少ないダメージで押さえ込むことも出来ますが、それは資金とリソースを集める力がある者だけが可能です。しかも、そのように資金とリソースを用いて対応しても、完全に排除することは出きないのです。
なので、プロジェクトの各タスクでリソースやコストを投入して得た、目標に到達するための利を確保したり確定せずに進める人は危険です。こういう人をコストを垂れ流しにする人と言います。
また、目標に到達することに関係するリスクや障害、利や損失があると読めれば対応しますが、目標に到達することに関係しなければ放置すればよいのです。無駄に動き、損失を発生させて潰した組織は二度と立ち直れないですし、去ったメンバーも戻ってくることはありません。」
→ 前段を言い切ってしまいますと、障害を力技で押し切っても「完全に排除することは出きないのです」と言っています。だから、「最小限のコストと少ないダメージで短期間に取り除く」を考えないといけない。ゆえに、「プロジェクトの各タスクでリソースやコストを投入して得た、目標に到達するための利を確保したり確定せずに進める人は危険」だと言っています。
そういう人は、あんちょこに障害を力技で押し切るための資源として、「目標に到達するための利」を投入してしまいます。「完全に排除することは出きない」にも関わらず、という事ですね。
ですから、「目標に到達することに関係するリスクや障害、利や損失があると読めれば対応しますが、目標に到達することに関係しなければ放置すればよい」と言っています。
今までの章でもコスト意識の話が出ていましたが、ここでもコストが理解できないリーダは、最終的に組織をつぶすと言っています。
次はオーナーに対しての提言とオーナーに対するリーダの対応が書かれています。
「あと、オーナー側では、障害やリスク、利や損失が顕在化したからと言って、オーナーが自ら任命したリーダを差し置いて、勝手な判断でプロジェクトに介入することは、混乱を発生させることになるため控えるべきです。その様な事が起きれば、リーダは、たとえオーナーであったとしても、いましめる必要があります。
このようにオーナーであっても定めたルールの上で行動することが組織を守り、プロジェクトを成功させます。」
→ 書いている通りです。要約すれば、オーナーに関わらず、プロジェクトにかかわるすべての人が「定めたルールの上で行動することが組織を守り、プロジェクトを成功させ」ることになると言っています。だから、リーダはオーナーであっても、ルールを破ろうとするならば戒めて、ルールを守らさせないといけないと言い切っています。
さあ、次は最終章ですね。
INDEX 孫子の兵法をプロジェクト マネジメントの観点で翻案したら INDEX