私的解題−13「用閒篇」 孫子の兵法をプロジェクト マネジメントの観点で翻案したら
とうとう、最後の章に来ました。初めはゆっくりでしたが、終わりは脱兎のごとくですね。
「13 用閒篇」情報収集でのリーダの要件を書いています。
本文に入る前に少し一言。
この翻案ではプロジェクトマネジメントにかかわるエッセンスの部分だけを取り出して翻案しています。ですので、今まででも原文にはあっても翻案がない部分があったかと思います。この「用閒篇」の原文には各種『間諜』の種類や使い方が記載されていますが、他の章と同じように、プロジェクトマネジメントのエッセンスに関わらなさそうな部分は、軸からずれないように割愛していますのでご理解いただけますよう、よろしくお願いします。
さて、本文に入ります。情報収集の重要性を書いていますが、結局はリーダの資質によって決まると言っています。
「数年にわたってプロジェクトを進めて来ても、状況の確認を怠ったために、たった1日の予期せぬ出来事で失敗することがあります。コストを惜しんで各種の状況を知ろうとしないリーダは、支えてくれているプロジェクトメンバーの苦労を理解しないこと、甚だしいものです。こういうリーダは、リーダともいえず、オーナーを補佐してるとも言えず、プロジェクトの成果を出せる者とも言えません。」
→ 「「数年にわたってプロジェクトを進めて来ても、状況の確認を怠ったために、たった1日の予期せぬ出来事で失敗することがあ」ると言っています。たまに見聞きする話しですね。
このようなことは「状況の確認を怠ったために」起きる。理由は「コストを惜しんで各種の状況を知ろうとしないリーダ」が原因だと言い切っています。後の文章はそういうリーダを味噌糞に書いていますが、実体的にはその通りなので解題も不要でしょう。
次は情報収集に成功するリーダ条件を羅列しています。
「成功を得るリーダは、いち早く人より情報を得る能力を持っています。なぜならば、プロジェクトにとって重要なテーマに関する情報は、常に人からもたらされるからです。
リーダが聡明でなければ、情報をもたらすメンバーを用いることは出来ません。リーダが人の心を持たなければ情報をもたらすメンバーを活躍させることは出来ません。
リーダに思慮深い心があって、有意義な情報をもたらすメンバーから信頼されて、初めて重要な情報を得ることができるのです。」
→ まずは「成功を得るリーダは、いち早く人より情報を得る能力を持ってい」る、なぜならば「情報は、常に人からもたらされるから」。だから、この情報収集能力が必要だと言っています。
そのためには「リーダが聡明」で「リーダが人の心を持」っていなければ、「情報をもたらすメンバーを用い」たり、「情報をもたらすメンバーを活躍させることは出来ません」といっています。
そして結語として「リーダに思慮深い心があって、有意義な情報をもたらすメンバーから信頼されて、初めて重要な情報を得ることができるのです。」と言っています。もちろんリーダに「思慮深い心があって、有意義な情報をもたらすメンバーから信頼されて」いても、情報をブロックするような無能な取り巻きがまわりにいる場合は、リーダーは力を発揮できないですね。でも、今まで、この「孫子の兵法をプロジェクト マネジメントの観点で翻案したら」を読んで来られた方は、わかりますね。
そういう場合も「無能な取り巻き」がいることが問題ではなく、そういう取り巻きを寄せてしまったリーダの資質が問題であり、その時点でリーダ失格だと言うことが。
今まで書き続けて来た文章が皆様のお役に立てればと思っています。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
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