君島くんと知子さん
君島くんの顔は優しい
そして肌はすべすべ
子どものときは街を歩けばスカウトされたり
学校では密かにファンクラブがあったらしい
なんでこんな一重でのっぺりとした顔立ちの私と
結婚してくれたんだろうと思うけど
猫みたいに気分屋な私と
忠犬な君島くんの性格がうまく合致したんだろう
君島くんとの出会いは普通のコンパで
目がくりっとして気がつかえて
爽やかな君島くんは女子にモテモテだった
私はそんな君島くんを横目に
今日は誰が持ち帰られることでしょうと
心の中で毒づいてたっけ
けれどコンパの翌日
私が勤めてたケーキ屋に立ち寄って
連絡先を聞かれたのには驚いた
それからデートをして
半年くらいでゴールイン
出来過ぎだ話というか
どこに行っても誰と会っても
君島くんを悪く言う人はいなく
親にも騙されてるんじゃないのと冗談を言われたけど
私の誕生石をあしらった結婚指輪をはめたとき
やっぱりこの人は本気なんだと思った
君島くんの長いまつ毛を見つめる
私は好きとか愛情表現をするのが小っ恥ずかしくてできないんだけど
君島くんはどんな時も真っ直ぐに私の目を見て
愛していますと言っては満面の笑みを見せてくれる
本当に出来すぎた話だ
私、こんなに幸せで良いのかななんて
前世でどんだけ徳を積んだんだろうとか言ったら
君島くんはそれは僕のセリフですよって
ちょっと鼻を高くして笑うから
もうどっちでも良くなった
私が幸せで君島くんも幸せで
お互いにWin Winならなんでも良いじゃない
君島くんの前髪が揺れる
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