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選択肢をもつという自由


変化を恐れる社会が生む不自由

マニラに通い始めて10年。最初に驚いたのはその変化のスピードです。
訪れるたびに街が変わり、ビルが増え、新しい景色が広がります。
一方で、日本の地方都市はどうでしょうか。
私の住む奈良・生駒では、この10年目だった変化がほとんどありません。

変化が少ないことは表向きは安定にみえます。
しかし実際には、退屈と鈍化を招いています。
刺激が少なければ脳も停滞し、
新しい価値を生み出すことも難しいです😅

まるで日本社会全体が、「変化を恐れる高齢者の発想」に
侵食されているように感じてきました。
周りのそんな空気は
窮屈さを生み出します。

人生が他人基準になること

戦後の日本は、最近まで「正解」が用意されていたことに
今なら確かに!と思います。

今だにその「正解」に従って生きている人はたくさんいますが
これはとても危ない兆候を感じます。
社会はすでに大きく変化しているのに、
自分から見えている景色が変わらないと受け入れ難いものです。

中学受験、高校受験、大学入試、大手に就職、マイホーム購入、老後は老人ホーム
―そのどの段階にいるのか、いつのまにか他人基準で決めているのかもしれません

奈良のような地方都市でも小さな子どもの親たちの話題は、
同じようなものばかりです。
「中学受験をどうするか」「どのタイミングで家を買うか」など。

駐在員の母親たちの話題も、帰国後の中学受験の話題です。

「子どもの成績は親の成績」だと思ってその頃は必死だったー
子育てを終えたあるお母さんの言葉です。

豊かな日本人の子どもと貧しいフィリピンの子ども


先日フィリピンでタクシーに乗っていた時、
窓ガラスをノックする8歳くらいの
物乞いの女の子と目が合いました。
その瞳の中にはフィリピン人らしい明るさはなく
「絶望と失望」が見て取れました。

その時ハッとしたこと。同じ瞳を見たことがある!!
どこで?ー日本!
日本の中高生たちの中に特にこの10年ほど
同じような目をした子どもたちが増えてきているのです!

日々の生活に困る最底辺のフィリピン人の子どもたちと
高い学費を払って勉強する恵まれた日本の子どもたち。

これだけ経済的、環境的な違いがあるのに、
瞳は正直です。

京都精華大の元学長・ウスビ・サコさんが
「日本人は生きてるだけでいいや」と
諦めているように見える、といっています。
(「不自由な社会で自由に生きる」

教育が可能性を殺す?


本来教育は選択肢を広げるためのものだと思っています。
しかし、選択肢を増やすどころか
逆に絞り込む事態にもなっています。

熱心になりすぎると
「医学部しかない」「東大しかない」「〇〇しかない」
他の選択肢が見えなくなってきますが
本来の教育の目的は選択肢を広げることです

『選択の科学』シーナ・アイエンガー

シーナ・アイエンガー教授の名著『選択の科学』では、
選択肢が少ない場合、人だけでなく動物も大きなストレスになり
短命につながることを明らかにしています。

ここでのポイントは
「自分で自分のことを決めることができる」(自己決定権がある)
本人が思っていることです。

自分で決めている
自分でチャレンジしている
この感覚は精神の自由抜きにはあり得ない感覚です

依存が生み出す不幸


依存するということは、自分では決めず決めてもらうことです。
選択はエネルギーがいるものです。

例えばレストランのメニューを即決することが私は苦手ですが
選択には訓練がいるんです💧

脳が選択することをサボり始めると依存が始まります。
最近気づいた意外な”依存”は
それは「きっとうまくいくだろう」と
努力なしに運まかせにすること。
そうだったのか…。
(もっと早く知るべきだった。)

脳はすぐラクをしたがるので、
自分で自分の脳を育ててあげる必要があります😅

依存せずに全部一人で背負いなさい、は厳しすぎるけれど
いつでも選択肢を見つける練習をしなさい
だと逆に心強いアドバイスになりそうです。

誰の人生には必ずピンチが何度か訪れるもの。
一つのことだけに頼ってしまうと
その一つが失われた時全て崩壊です。

ノーベル物理学賞受賞者小柴昌俊教授は、
熱心な教育者でもあったので、教え子に
「幾つも研究の卵をもちなさい」
と話しているのをテレビで聞きました。
小柴教授自身思い通りにいかないことばかりの人生だったようです。
でもその変化に耐えて選択肢を見つけ出しています。


行き過ぎた学校の管理体制、親の日常管理は
その弊害が10年後くらいに現れてくると考えると
恐ろしくなります。

しかし、子どもたちの生気を失った瞳が見えていない
そんな親がたくさんいることの方がずっと心配です。
大人が生き生きと生きれていない社会なのですから。 

正常な感覚を保つのは、つくづく簡単ではないと思います。
バランス感覚が優れているという人は、すごい人です。

他人や環境に依存して人生を人まかせにせず
選択肢を自分で考えるくせをつける。

今回自分の依存と怠け癖を海外で見つけてしまいましたが💦
この機会が与えられたこと自体に深く感謝です。🙏

#選択の科学 #不自由な社会で自由に生きる #海外留学 #教育  
#フィリピン #2拠点生活


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