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武道とダンスから学ぶ!ビジネスマン必須のリーダーシップ術


ビジネスにおける「戦い」と「調和」

ビジネスの世界は、時に格闘技のように激しい競争の場であり、また時には、優雅なダンスのように、協調性が求められる場でもあります。
日本の「心技体」と同様に、世界でもスポーツとビジネスは密接なテーマであり、多くのリーダーシッププログラムやチームビルディングでも積極的に取り込まれています。
本稿では、私の実体験を基に、武道とダンスという一見異なる世界から、ビジネスシーンでより効果的なリーダーシップを発揮するヒントを考察していきます。

【自己鍛錬】空手から学んだリーダーシップの基礎

10代で空手を始めた私は、まず「自己鍛錬」の重要性を学びました。
自ら目標を設定し、達成するための方法、人に教える方法、そして何よりも自分自身と戦う方法を体得しました。
型を通じてフォーム、スピード、パワーを徹底的に追求し、17歳で黒帯を取得した経験は、目標達成には徹底的な自己管理(モチベーション)と影での努力(日々研鑽)が不可欠であることを教えてくれました。

ビジネスシーンにおいても、目標達成のためには、まず自分自身を律することが重要です。
例えば、プロジェクトを成功させるためには、自身のスケジュール管理はもちろんのこと、常に高いモチベーションを維持し、自己成長を続ける必要があります。
これはまさに、空手の稽古で培った自己鍛錬の精神と通じるものがあります。

【協調性】柔術から学んだ相手との関係性

大学に入り、ブラジリアン柔術を始めたことで、新たな視点を得ました。
空手が自己との戦いであるのに対し、柔術は相手との相互作用が重要になります。
当初は力任せに相手を制圧しようとして失敗を繰り返しましたが、相手のエネルギーを利用し、それを自らの技へ導くことで最終的に場をコントロールする方法を学びました。
これは、ビジネスにおける交渉やチームマネジメントにおいても重要な考え方です。
例えば、顧客との交渉では、一方的に自社の主張を押し付けるのではなく、相手のニーズや意図を理解し、相互に利益のある合意点を見つけることが求められます。まさに、相手との間の力学を読み取り、場をコントロールする力を、柔術での学びを通じて直観的に実践することができました。

【調和】社交ダンスとリーダーシップ

さらに、私は30歳から妻と一緒に始めた社交ダンスからも、ビジネスリーダーに通ずる学びを得ました。
相手を力でコントロールしようとすると、バランスを崩し、パーティー全体のリズムを崩してしまう。そこで初めて、互いのリズムを感じ取り、調和することの重要性に気づきました。

これは、職場での人間関係に非常に似ています。
チームメンバーはそれぞれ異なるニーズや希望を持っており、リーダーとして影響力を発揮するためには、彼らと協力し、共通の目標に向かって進む必要があります。
まさに、社交ダンスのように、互いに協力し、調和することで、より大きな成果を生み出すことができるのです。

【実践】FBI交渉術から学ぶ4つのツール

上記の通り、私はスポーツを通じて「リーダーシップ」を経験的に学びましたが、その後シンガポールのビジネススクール(MBA)で扱った教材『逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ(クリス・ヴォス著、早川書房/原著: Never Split the Difference)』で体系化された同様の理論に触れることになります。普段のビジネスシーンで交渉を行う人たちには、是非一度 本書に触れてみることをお勧めしたいと思います。

著者であるクリス・ヴォスは元FBI交渉官で、数々の犯罪犯から本音を引き出すFBI流の交渉術を「戦術的共感」と呼び、その技法を定型化しました。

本書にはリーダーとして相手とのコミュニケーションを成功させるための実践的なツールが数多く紹介されており、特に私がビジネスシーンで活用している4つのポイントを紹介します。

1. 投げかけ質問を使う:本質的な課題を明らかにする

他者と協力して問題を解決する上で、最も重要なことは「共通認識」を築くことです。そのためには、相手の意図や状況を深く理解する必要があります。
ここで活用できるテクニックが、投げかけ質問(Calibrated Questions)です。これは、オープンエンド型の質問で、「どうやって」「何が」といった言葉で始まり、相手に深く考えさせ、本音や動機を引き出すことが可能となります。

例えば、プロジェクトの進捗が滞っている場合、
「このプロジェクトの進捗を妨げているものは何だと思いますか?」
「この問題に対して、どのような解決策が考えられますか?」
といった質問を投げかけることで、問題の本質を特定し、具体的な解決策を導き出すことができます。

なぜ効果的なのか

  • 非脅威性: 互いに防御的にならず、率直な意見を引き出すことができる。

  • エンゲージメント: 単なる「はい」「いいえ」ではなく、詳細な回答を促す。

  • 動機の開示: 相手が真に関心を持っている問題や課題を明らかにする。

2. ミラーリング:相手の言葉を反復し、信頼関係を築く

相手の言葉を自分の言葉で繰り返す「ミラーリング」は、相手の話を深く理解し、共感を示すための効果的なツールです。最近は恋愛心理学などでも定型化され、その効果が広く知られるようになっています。

相手の発言を意識的に反復することで、相手は「自分の話をしっかり聞いてもらえている」と感じ、信頼関係が深まります。

3. 事実を要約する:明確化と確認

会話の内容を簡潔にまとめることで、全員が同じ認識を持つことができます。
例えば、会議の終わりに「今日の議論をまとめると、私たちは〇〇という課題に対して、△△という解決策を実行することで合意しました」と要約することで、チームの誤解を防ぎ、スムーズな意思決定を促すことができます。
率先して要約を行うことで、意思決定とその後のアクションの方向性をリードすることに繋がります。

4. アクションプランの提示:共通目標とTo Doの設定

質問や共感を通じて共通の目標を明確にした後は、具体的な行動計画(アクションプラン)を示すことで、リーダーとしての影響力を発揮できます。

例えば、チームメンバーに対して「私たちの目標は〇〇を達成することです。そのためには、まず△△を行い、次に□□を達成する必要があります」のように、具体的なステップを示すことで、チーム全体が同じ方向に向かって進むことができるようになります。

【結論】ビジネスは「調和」を通じた課題解決

リーダーとして他者を導き、大きな課題を解決するには、ビジネスを単なる戦い(Yes / Noの二元論)として捉えるのではなく、積極的な傾聴を意識した関係者間の調整、いわば「調和」が不可欠です。

本稿で紹介した4つのツールを実践することで、より協力的で成功につながるリーダーシップを導き出すことができるでしょう。

【今日から実践できること】

この記事を読んで、ぜひ今日から以下の行動を実践してみてください。

  1. オープンな質問を積極的に活用する: 会議や日常のコミュニケーションで、「どうすればこの課題を解決できるか?」「私たちの最優先事項は何か?」といった質問を意識的に使ってみましょう。

  2. 相手の言葉を反復する: 会話の中で、「つまり、〇〇ということですね」と相手の言葉を繰り返すことで、より深いコミュニケーションを築きましょう。

  3. 対話の要点をまとめて共有する: 会議後やチームでの議論後には、「今日の議論をまとめると、〇〇が課題で、△△をすることで合意しました」と簡潔に要約することを習慣化しましょう。

  4. 共通の目標に向けた具体的な行動計画を立てる: チームで共通の目標を定めたら、「目標達成のために、まず〇〇に取り組み、次に△△を実行しましょう」と具体的なステップを提示しましょう。

これらの小さなステップを積み重ねることで、あなたのリーダーシップスキルは確実に向上し、チーム全体の成功に貢献することができるでしょう。
ぜひ、本稿を参考に、あなた自身の「調和力」を磨き、より良いリーダーを目指してください。

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