5分で学ぶ、貨幣の本当の意味『得する生活 お金持ちになる人の考え方』要約【橘玲の思想】
この記事では、橘玲さんの「得する生活―お金持ちになる人の考え方」を取り上げます。
本書は、単にお金儲けの方法を書いているのではなく、そもそも貨幣とは何なのかという話から解説されています。
お金について考え直す機会になるので、ぜひ最後まで読んでみてください!
1. 貨幣経済という奇妙な宗教の国に生まれて
神様と貨幣は、実はよく似ています。
お金と神様は同じであり、どちらも宗教。貨幣が価値を持つのは、誰もがそれを貨幣と信じて疑わないからですよね。
一万円札に価値があるのは、それが高価な紙で作られているからでも、作るのに一万円かかるからでもなく、単に私たちが“福沢諭吉の似顔絵が書かれた紙きれ”に、一万円の価値があると信じているからです。
ただの紙切れに価値があるというのは、一種のホラ話。正直、石ころや貝殻でもOK。
さらに現在では、銀行の預金通帳に打ち出された電子データの数字が、貨幣だと信じられています。
大事なのは、貨幣の材質ではなく、実体のないものに価値を認める信仰心。貨幣経済とは、貨幣を神様と崇める宗教なのです。
貨幣には、何の根拠もない
神のかたちをこの目で見ることができないのと同じように、貨幣の実在を客観的に証明することはできません。
もちろん理屈の上では、一万円札は日本国の資産を担保に発行されています。
かつては中央銀行が金を担保として保有していましたが、現在の担保は日本国債です。
国債は国家の借用証書で、貨幣と交換してくれるもの。貨幣は国債によって担保され、国債は貨幣によって担保されているのです。
ここで、何か矛盾に気づきませんか?
これは、新興宗教の教祖が、「私が神であることは、神である私が知っている」と言っていると同じ理屈。貨幣には、何の根拠もないのです。
貨幣制度は共同幻想によって支えられている
貨幣を神とするなら、貨幣経済は世界宗教と言えます。
地球上には国ごとに異なる神(貨幣)がいますが、その神々は、一定の比率で交換可能。
キリスト教でもイスラム教徒でも、貨幣を神と崇める世界宗教は共通です。
一方で、日本人が日本国を信用しなくなると、日本円という貨幣の価値が低下します。
日本の神を海外のもっと魅力的な神に交換したいと考えるからです。
国民が、お札を所詮紙きれに過ぎないと気づいた時に、貨幣制度は崩壊します。
幻想がはがれてしまえば、一万円札はただのゴミになります。
貨幣制度は共同幻想によって支えられているのです。
私たちが貨幣にとらわれているのは、夢や幻にとらわれるのと同じ。
貨幣経済の下では、貨幣という幻想を拒絶して生きていくことはできません。
経済学者のカール・マルクスは、“人間は社会的存在である”と言い、哲学者のマルティン・ハイデガーは、“実存は認識なくしては存在しない”と言いました。
どちらも言っていることは同じで、社会や世界は幻想でしかないが、私たちはそこでしか生きられないということです。
だからこそ、貨幣経済という奇妙な宗教の国で、上手に立ち振る舞うことのできる知恵が必要となってくるのです。
2. 金持ちと貧乏には経済的な理由がある
お金に関する世間の一般的なイメージとして、貧乏人は心が美しい、金持ちは性格が悪くずる賢く、悪い奴しかいないと思われがちです。
しかし、この認識は間違っています。
あらゆる社会調査によれば、成功者ほど他人を信頼し、貧乏人ほど疑い深く、猜疑心が強いという傾向が顕著に表れています。
同じように、高学歴者ほど他人への信頼度が高く、学歴が低くなるにつれて、他人を疑いやすくなるということが分かっています。
“人を見たら泥棒だと思え”と常に人を疑う事は、閉鎖的な村社会においては正しい行動ですが、現代のような開放的な市場経済では不合理な行動となってしまいます。
なぜなら、人を疑う傾向にある人は、仲間内でしか商売できず、共同体の外部で経済的な関係を築くことができないからです。
これではいつまで経ってもビジネスの機会を獲得できず、変化の激しい社会に適用するのは無理です。
他人に騙されないようにするためのコストが、ものすごく大きすぎるということです。
高い知性の持ち主は、より効率的な戦略を考えます。
彼らは一定の条件を設定し、それをクリアした人をとりあえず信頼します。
もちろん中には、詐欺師や嘘つきもいますが、相手が信頼に値しないとわかったらその時点で切り捨てれば良いのです。
騙されることによる損失は避けられませんが、そのデメリットを上回るほどの人間関係とビジネスチャンスが得られます。
誰もが騙されたくないとは思いますが、騙されるということは成功に必要なコストの一部であるのです。
大学教育は投資効果が高い
唐突ですが、教育を受けることのメリットは、なんだと思いますか?
それは、人的資本の蓄積です。
人的資本とは、働いてお金を稼ぐ力のこと。
私たちが教育を受けて知識や技術を獲得すれば、それが労働生産性を高めて将来の賃金を上昇させます。
当たり前ですが、コンビニの店よりも、医者や弁護士プログラマーの方が給料が高いのは、彼らがより大きなお金を稼ぐ力、すなわち人的資本を持っているからです。
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