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くまさん
2018年10月9日 12:55
映画館で見ないともったいない。映画『日日是好日』は、名優・樹木希林が最後に出演したことで話題の作品だ。舞台は1993年。これといってやりたいこともない大学生活を過ごしていた典子は、母親の勧めで同い年のいとこ・美智子と茶道を習いはじめる。近所で茶道教室を営む武田は、穏やかに2人を迎え入れる。初めは嫌々ながら通っていた典子だが、ひとつずつの所作を身につけていくたびにあることに気づく。静かな空間の中
2018年8月14日 23:54
シリーズに一区切りついてしまった。トム・クルーズが撮影中に骨折したことでも話題になった映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。前作で壊滅的な打撃を与えたはずの敵組織「シンジケート」がさらに強敵になって立ちはだかる、という筋書きだ。今作は、とにかくアクションシーンが多い。冒頭に登場する高度7000フィートからの落下、パリの街で逆走する車の中を駆け抜けるバイクアクション、アスレチッ
2018年7月12日 09:07
とかく1つの方向に流れやすいこの国の中で、この傾向はテレビの影響が大きいんですけれども、少数派であることを恐れないこと、多様な意見や立場をなるだけ登場させることで、この社会に自由の気風を保つこと、そいうことが含まれています。ジャーナリストの筑紫哲也さんが、出演していたテレビ番組「NEWS23」で語った一節だ。番組の、ジャーナリズムの役割を説いたこの言葉には、近年より如実になってきたこの国の人た
2018年5月8日 20:42
ひとつ大きな嘘をついたら、約30の小さな嘘をつかなきゃ成立しなくなる。詐欺師たちの化かし合いをコミカルに描いた映画『約三十の嘘』で登場する印象的なセリフである。彼らは会話の中でひとつの嘘がどう作用するかを知っている。だからこそ、話の核心部分以外はすべて本当のことを話すのだ。偽りを真実で塗り固める。人が真実を見失うのは案外簡単なことなのかもしれない。俳優ジョージ・クルーニーがメガホンを取った
2018年4月10日 16:40
「ほら、奇跡なんてすぐ起こっちゃう。」マンガ『四月の君は嘘』のなかで、病に侵されたヒロイン・宮園かをりが主人公・有馬公生へ贈った言葉だ。もう立つことができないほど進行した病状で、公生を奮い立たせるため、自分自身を鼓舞するために放ったセリフである。物語のクライマックスで、もう終わりは予期できてしまうにもかかわらず、キャラクターを崩すことなく彼女にこの言葉を言わせてしまえるところに、新川直司の作家
2018年4月3日 21:28
Based on a true story.事実をもとに作られた映画作品の冒頭でよく目にする言葉だ。今から観るものはフィクションとわかっていながらも、この一文を見ると背筋をピンと張ってしまうところがゲンキンな性分である。事実に基づく物語を、どう表現するのか。限りなくエンターテイメントへ寄せるものもあれば、忠実に事実を辿ろうとするものもある。ただ、商業映画で事実を再現するにも限度がある。再現
2018年3月6日 13:01
THE NOBLEST ART IS THAT OF MAKING OTHERS HAPPY. 大ヒット映画「グレイテスト・ショーマン」の主人公P.T.バーナムが遺したとされる言葉だ。偽善であっても人々を笑顔にするのがエンターテイメントである。見る者を幸福へ導くものこそが至高の芸術でありエンターテイメントである、と。終始に渡って観客を音楽で魅了するこの映画の力強さは、批判を押しのけて数多くの
2018年2月15日 17:28
「淡路島は日本の縮図である。けだし、名言である。」兵庫県の瀬戸内海側に位置する、淡路島のある教育者が遺した言葉だ。初めてこの言葉と出会ったとき、離島ならではの独立した産業構造を言及したものだと思っていた。明石海峡大橋が開通する以前は離島であり、本州との交通手段は船のみであった。にもかかわらず、この島はかつて三洋電機やカネボウ紡績、ワコールなど国内トップレベルの製造業が拠点を置いていた。当時の島