悪魔と契約 P.1
細いね
脚綺麗だね
痩せてるね
なんてことなく皆が放つ言葉は、
わたしにとっては物凄く重みがあって
浴びせられるたびに、わたしの心はどんどん死んでいく
容姿に関して何か言われれば言われるほど、
自分を追い込み、心乱される。
そもそも、どう反応したら良いのかもわからない
その言葉に隠された本当の意味は?
気にしなくても良いことまで考えてしまう。
細いと言われれば、大したことない体だと評価された気分になり、脚が綺麗だと言われれば、汚い脚だと言われている気分になる。
小さい頃からそうだ。
そもそも、わたしは自分自身に自信がなかった。
今はある程度自己肯定スキルを手に入れたので、自分を詰ることは少なくなった。
しかし根本的には変わってはいない。
「褒められる=評価されている」こう頭に刷り込まれているおかげで、わたしはなによりも褒められることが嫌いだ。
褒められることへの耐久性が皆無であり、褒められて嬉しい、褒められたい!という感情が理解できない類の人間なのだ。誰かを褒める方法もわからない。
だから、褒めることもしないし、褒めるという行為をする人に対しても、自然と不信感が湧いてしまう。
仮に、誰かがわたしの容姿を褒めたとして、その相手になんて言葉を返せばいいのか、わたしは思いつきもしない。
きっと相手は特に深い意味もなく、おはようとかこんにちはくらいの挨拶感覚で発した言葉かもしれないが、わたしの耳に届くまでに随分と形を変えてしまう。
会話なのだから、きっと何か返答を求めているんだろうけど、何が返ってくると頭に浮かべて投げてきているのか、こればかりは地雷でしかない。
挨拶代わりに褒め言葉をお届けしたというのであれば、容姿について言うのは非常にナンセンスだと思う。
もっというと、コイツは褒めておけばイージーにハンドリングできると、お気楽な人間に認定されている気分にもなる。
「褒められて嫌な気持ちになる人は居ない」みたいな考え、“誰にでも”使えるテンプレみたいにとらえて、コピペするかのように投げてくる言葉。振りかざす透明なナイフ。
相手もこんなこと考えてる相手とは思ってもいないであろうから、こちら側も地雷である。地雷vs地雷ということだな。
乾いた声でありがとうございますというか、
やめてくださいよ〜と茶化して返すのが精一杯で、
人はそれを謙遜だとか嫌味だとか受け取る。
正解を教えてくれ、なんて返せばあなた方は満足するの?深い意味なく発した言葉にマジレスするなって?
一定数居る“とりあえず褒めることで円満にその場を回せる”と信じてやまない人。
自分たちが発した言葉によって、誰かの心が壊れていくことも気づかずに。
lazy S.
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