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心細いときにうたう詩
役に立たない言葉だけが部屋の隅の埃のように積もっていく。
疲れたときは詩の世界に入り浸るのがいい。ここは、悲しみが正義で、世界は何回壊れても構わない。もうひとつの平行世界の中で、何度でも自分を描いては消して、作り変えることができる。
疲れたときほど、言葉に過敏になる。冷めた気持ちのときに読む詩はむずがゆい。心が外側に向かわなくて、内側に籠っている、そのときに詩の言葉は綺麗にみえる。
最近の詩はとても刺激が強い。端的で、強い言葉で、冷めた日常を変えようとしている。本当に心が弱っているときには刺さりすぎてつらい。こういうときは昔の人のやわらかくて自由で、空っぽな体に浸み込むような詩をよむのがいい。
自分ではどうにもならないことを心配しても仕方ないときに、どうにもならないことに悩んでしまう。詩の言葉は頼りなくて、なんの解決ももたらさない。悲しみも美しさも全部世の中の役には立たなくて、夜空も月も山も森も、すべてあまりにも遠い。
街中で小さなことで悩んでいる。答えが見つからないまま、電車に乗っている。どうせ苦しくて、楽になれないのだから、役に立たない言葉を集めて身に纏おう。
悲しみの言葉ほど、強い武器はない。
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