秋の乗り放題パスの旅②京都・近江八幡編
秋の乗り放題パスの旅二日目。
旅行二日目。カプセルホテルで目覚める。
「ああ、ここ滋賀県か」
(個人的な旅行あるあるだが、旅先のベッドで目覚めたとき、家のベッドじゃないことに毎回ハッとしてしまう)
チェックアウトを終えて駅へ向かう。朝9時。半袖でちょうどいい気温だ。昨夜は暗くて気づかなかったが大津駅からは琵琶湖がよく見える。
朝陽が差し込む大津駅のホームで、あくびをしながら電車を待つ。
満員電車に体をねじ込み、ゆられること10分、京都駅に到着。大津から京都がこんなに近いとは知らなかった。
京都
京都には大垣書店という有名な本屋がある。朝の烏丸通(からすまどおり)を歩いて20分。
魅力的で落ち着いた雰囲気の店内で一時間も悩んだあげく、川端康成の「雪国」を買い、大垣書店限定のブックカバーをつけてもらった。
錦市場
お腹が空いたので錦市場へ。錦市場は京都中心地からも近い歴史ある商店街だ。細長い商店街には、タコや帆立などの魚介串をはじめ、乾物や漬物など数多くの店が軒を連ねる。どの店もインバウンドで賑わっていた。
京都散策
八坂神社の方へ向かい、清水寺周辺を散策してみる。
京都はどこも観光客で混んでいるイメージだが、空いている路地も案外多い。こういった路地でも、歴史ある街並みを十分楽しむことができる。ランダムに路地に入ってみるのも面白い。
鴨川
個人的に、京都旅行には鴨川が欠かせない。観光客で溢れかえる京都だが、ここだけはゆったりとした時間が流れているように感じる。
青空の光の粒が水面でゆらめき、そよ風が乾いた土の匂いを運んでくる。川のせせらぎが心地よく、昼下がりの柔らかい空気に包まれる
歩き続けるだけが旅ではない、
気に入った風景をただ眺めるのも旅だ。
京都駅まで戻り、今度は宇治に向かう。本場の茶団子を食べにいくのだ。
その前にお土産を買っていこう。お土産といっても自分用だ。
京都土産
京都に来たら生八つ橋はかかせない。
その中でも俺は、餡の入っていない皮だけのものを買う。理由は安いからだ。300円くらいで買えたはずだ。餡が入っていないだけで一気に安くなる。金欠でもモチモチの生八つ橋が食べたい人におすすめだ。
宇治
JR奈良線に乗って20分、宇治抹茶の本場に到着。
本場の茶団子
「宇治川餅本店」の一本60円の茶団子を食べた。ほうじ茶団子も買った。
まず最初に抹茶の濃さがドンときて、奥深い渋みが留まり続ける。甘さはかなり控えめだが、ただ苦いわけではない。茂みの奥の方に甘さが見え隠れするような感じだ。歯切れがよく弾力もあるが、もちもち伸びる感じではない。普段甘めの団子を食べているので、本場の味との違いに驚いた。抹茶が濃くておいしかったが、小さすぎて物足りなかった。
旅先の楽しみ
旅行先でその地元のスーパーに入るのが好きだ。一日目も滋賀県大津のスーパーに入った。宇治ではスーパーアプロに入ってみた。
さすがは宇治だ(笑)ありとあらゆる抹茶味のお菓子がレジ近くに集まり商品棚を占領していた。すべて全国販売されている人気菓子の抹茶味だ。宇治抹茶の本場で便乗しまくっている。
このように地域特有の個性があるから、旅先でのスーパー巡りはやめられない。俺は水だけ買って出た。
宇治川
本日二度目の川、宇治川に到着。とにかく心地いい。鴨川よりも、川までの距離が近い。水面で波紋が重なりあう様子を間近で見ることができる。
旅先での出会い
近くに一人でいた観光客に英語で話しかけ、宇治川を背景に俺の写真を撮ってもらった。お返しに相手の写真も撮ってあげたあと、軽く話してすぐにわかれた。
数分のやりとりだったが、俺にとってはとてもいい思い出になった。相手は笑顔が素敵なアジア人女性だった。彼女も一人旅をしていた。歳も同じくらいだと思う。
近くにいて気になってはいたが、俺は声をかけようかずっと悩んでいた。
宇治川を背景に俺が立っているだけの写真には、「勇気を出して英語で話しかけて、写真を撮ってもらった」というストーリーがある。この写真は、この旅一番のお気に入りだ。
これを通して、一人旅の新たな楽しみ方を発見することができた。
“人との出会いが、旅を特別なものにする”
そのために必要なのは、ほんの少しの勇気だ。
京都駅に戻ったが、次の行き先も今日の宿も決めていない。
どこに行こうか。京都駅から縦横無尽に広がるJR路線図をしばし眺める。琵琶湖を回るルートも伊勢方面にいくルートもよかったが、
名古屋グルメが食べたくなり、名古屋にもどることに。
モーニングも食べてみたいので今日は名古屋に泊まることにした。
近江八幡
京都から名古屋に向かう。まだ時間もあるのでどこかで途中下車してみよう。
時刻は17時前。なんとなく名前がかっこいい近江八幡駅で降りることに。
どうやら八幡掘という名所があるらしい!これは行くしかない!
Googleマップの示す「片道33分」という予想外の遠さに驚きつつ、近江八幡の町をひたすら歩く。しかし思った以上に何もないし、人もまばらだ。日も落ちてきた。少しずつ不安になってくる
「本当に往復1時間以上かけていく価値があるのだろうか…!」何度も引き返そうかと思ったが、とにかく歩き続ける。
謎の不安と焦りから、俺はいつの間にか走っていた。「行くと決めたからには絶対に、八幡堀を見て帰ろう。」リュックとショルダーバッグを背負いながら、人の少ない夕暮れの近江八幡の町を一気に駆けていく。
八幡堀
やっと到着したが一人も見当たらない。貸し切り状態だ。
八幡堀は本当に素晴らしい場所だった。夕暮れ染まる淡い空に、歴史を感じる建築と、枝垂れ柳の映る水面。かつての雰囲気がそのまま残っている
八幡堀は安土桃山時代、船の交通路として利用され、近江の城下町の発展を支えたそうだ。時代劇のロケ地としても有名らしいが、それも納得の風景だ。
八幡堀が予想以上によかった。
30分以上かけ近江八幡駅に戻る。薄暗い近江八幡の町は人がさらに少ない。ふと、京都の観光地を思い出した。近江八幡も京都も歴史的景観の残る街だが、活気が違う。人がいないほうが落ち着けるが、八幡堀に行ってみて多少の賑やかさも必要なんだと思った。八幡堀はたしかによかったけど、どこか物寂しさがあったのはそのせいかもしれない。
名古屋で夜飯
近江八幡で予想以上に時間をつかい、名古屋に着いたのは夜8時。はじめての味噌カツを食べる。
味噌が結構甘い。少量にして正解だった。
初のドミトリー
今日の宿は人生初のドミトリーだ。今回泊まったドミトリーは、部屋に二段ベッドが三つ置いてあり、それぞれのベッドは小さいカーテンで仕切られている。シャワーやトイレは部屋の外の共有スペースにあった。
宿泊料も安いので一人旅には最適だ。初めてのドミトリー、いい経験になった。
明日はモーニングを食べよう。
無計画の旅は続く。