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2019年、心をつかまれた本。

今日、家の本棚と、棚から溢れて床に積まれている「積ん読本」を数えたら英語の本が92冊、日本語の本が157冊ありました。

これから一冊も本を買わずに読みつづけても何年…。

でも去年、本を読まなかったわけではないのです。今まで生きてきた中で一番読んだかもしれない...んです。(言い訳)

素晴らしい作品に出会い、日本語の奥深さに触れ、育てられた一年でした。

去年の「個人的ベスト本」を日本語と英語で5冊ずつ並べてみて気づいたのですが、日本語の本は5冊とも表紙に女性が映され(装丁が美しい)、内容も女性の生き方を丁寧に描いたものばかりでした。

一冊ずつ、短いですが紹介してみたいと思います。

『掃除婦のための手引書』(ルシア・ベルリン / 岸本佐知子)

去年大ヒットし、今なお売れつづけているルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引書』は表紙の美しさ(作家本人の写真です)と、岸本佐知子さんの素晴らしい翻訳に引き込まれる。短編集なのでひと作品ずつ大切に読もうと思っても、ベルリンの独特の切れ味とシチュエーションの面白さにどんどん読み進めてしまう。LAのカフェでこの本(原書)を読んでいたら何人もの女性に「私も読んでる!」と声をかけられた。

『夏物語』(川上未映子)

多くの人と声を揃えて、「2019年のベスト本!」と叫びたい小説。簡単には語れない、説明できない、整理できない、乗り越えられない「産む・産まない」の決断を、ここまで深く考えさせてくれる小説に、私も救われたひとりです。心のどこかでまだくすぶっているんだ...と気づかせてくれた本。

『ファースト・ラヴ』(島本理生)

直木賞受賞作。アナウンサー志望の女子大生が父親を刺殺し「動機はそちらで見つけてください」と言い放つ。どういうこと?「知りたい」と「知ると苦しい」が入り混じり、2018年に出版されてから一年以上、ようやく2019年に手に取りました。読んでよかった…。今でも頻繁に思い出しては胸が痛みます。

『三つ編み』(レティシア・コロンバニ)

カリスマ書店員・新井見枝香さんが立ち上げた「新井賞」にも選ばれ、信頼するブックレビュアーの雑誌コラムに度々登場し気になっていたフランスの小説。フランス本国でも100万部突破と爆発的に売れたそう。実際にはインド、シチリア、カナダで暮らす、年齢も職業も境遇も異なる女性3人の物語が交互に綴られている。その3人の関係がわかった時に「あああああ!」と唸りました。

『トリニティ』(窪美澄)

読了後も響きつづけ、ずっとじんわり泣きそう、という感想を過去に(本ばかり載せているインスタで)書いている。『三つ編み』同様、こちらも3人の女性が主人公だが、舞台は60年代の東京。雑誌の出版社でライター、イラストレーター、出版社員を務める「戦友」3人のキャリア、結婚、出産、子育てをロングスパンで追う。頼まれてもいないのに「英訳したい」と初めて思った小説でした。アメリカで読ませたい人がたくさんいる。それは別として、窪美澄さんの小説を全て読むと決めた2019年の大きな出会いでした。

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以上、2019年に最も心つかまれた本でした。

ちなみに英語の本はこちらです。また後日、日記に載せますね。これ、日記なのかな…。


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