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ボルネオ先住民の伝統料理がずらり!日本には無い食材を味わう異文化体験
かつて、ボルネオ島の山奥にある先住民ドゥスン人の村に暮らしていた頃、お世話になっていたお母さんがよく伝統料理を作ってくれた。今でも会いに行くと、必ず村の食材を使った料理を作って待ってくれている。マレーシアには美味しいグルメがたくさんあるが、やっぱり日常的に食べていた先住民の伝統料理が恋しくなる。
地域性の違いもあるだろうが、ボルネオ先住民の伝統料理が食べられるお店が、マレーシア・サバ州の州都コタキナバル付近にあるので、行ってきた。
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ボルネオ先住民グループ「カダザン・ドゥスン」の伝統料理が食べられる有名なお店「my native Sabah」。オープンした時に、ドゥスン人の友達と行って以来、2回目だ。
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オープンな店内。天井のライトにつり下げられたウツボカズラがかわいい。
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今回は、複数人で行ったので、伝統料理10品を楽しめるセットをオーダーした。
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付け合わせを含め9種類の品々が、ドゥスンの伝統的なラタン製のざるに乗せられて出てきた。一度にこれだけの伝統料理が並んだのは初めてだったので、ちょこちょこつまみながら楽しくいただいた。
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たんぱく質は魚と卵のみ。ヘルシーな料理だが、保存食もあるため、塩分は強めだ。それでは、これら一品ずつを、ドゥスン人お母さんとの思い出と共に紹介する。
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1. ピナサカン サダ(Pinasakan sada)
魚に少量の水、乾燥させた野生のマンゴスチン「タコバコブ」を加えて煮た酸味のある魚料理
▶「よく村でお母さんが調味用に野生のマンゴスチンの皮を干していたのが懐かしい。タコバコブの酸味は、田舎料理には欠かせない。」
2. イカン マシン(Ikan masin)
塩干し魚
▶「現在は、村での電気の供給は安定したが、最近まで冷蔵庫がなかった田舎では欠かせない保存食。町に降りた時は必ず海水魚の塩干しを買って、村に持って帰っていた。」
3. ヒナヴァ(Hinava)
魚を細かくカットし、カラマンシーやトウガラシ、エシャロットなどとマリネートしたもの
▶「これは日本人好みの美味しさだが、私のいた村ではあまり食べなかった。何回かだけお母さんが川で獲れたての魚を細かく切って、作ってくれたことがある。」
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4.トゥハウ(Tuhau)
野生のショウガを細かく刻み、カラマンシーとトウガラシと漬けたもの
▶「村では、ド定番の一品!そこら辺にショウガが生えているから、よく採ってきて作っていた。これは私も作れるよ〜。」
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5. バンバガン(Bambangan)
野生のマンゴーを発酵させたお漬物
▶「これも村でよく作って食べられている。ごはんのお供に。酸っぱいよ〜。」
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6. ロスンとトンプ(Losun & Tompu)
野生のネギと呼ばれるわけぎのような野菜とトーチジンジャーの蕾を、ホワイトトウガラシと炒めたもの
▶「これも村でよく採れる食材なので、よく作って食べていた。町の市場でも3つセットで売られているので、留学時代も買って作っていた。」
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7.トルール マシン(Telur masin)
アヒルの卵の塩漬け
▶「本来はアヒルの卵で作るらしいが、ニワトリの卵でも作れるそう。だが、村で誰かが作っているのを見たことがない。私自身は村の外で、たしか2回しか食べたことがない。」
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8. ボスンガン グリン(bosungan guring)
マレー語で、イカンバスンと呼ばれる海水魚を揚げたもの
▶ 「この魚といえば、お母さんを思い出す。海水魚だから村では手に入らないが、お母さんが大好きなので町に行った時によく食べていた。揚げたら頭までサクサク食べられて美味しい〜。」
9. カラマンシーとトウガラシ
▶「名前の通りの食材。伝統料理に限らず、マレーシアでは付け合わせによく出てくる。昔、アパートの窓際でカラマンシーの低木を育てていたら、スコールで飛んでいってしまった思い出がある。」
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10.スープ
▶「このスープだけ何か忘れてしまった・・・。スープは、サゴヤシの幹の内側から採れるでんぷん質の食材、アンブヤット(ambuyat)とどちらか選べたような気がする。」
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11.赤米
これらのおかずをご飯と食べる
▶「赤米の入ったご飯が、リナゴ(先住民ルングス人伝統のかご)に乗せられて出てきた!本当は葉に包まれたご飯、リノポッ(linopot)が伝統的だけど、リナゴ屋の私としては嬉しい!」
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赤米と共に、10品を美味しくいただきました。
海水魚以外の食材は、村で採れるので、ドゥスン人のお母さんが作ってくれていたのがとても懐かしかった。