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DeNA調査報告書を振り返ってみて(盗作・パクリ記事問題を改めて考える)

TwitterのTLを追っていて、フォローしているライターさん経由でこの記事にたどり着いた。

ちょうど、模写という形で著作権法の話を書いていた矢先だったので、勝手ながら思うところを少しnoteとしてまとめてみようと思い立った次第です。

※いつもと同じ代替2000文字くらいの分量にしています。関係者ではないので、外野からの一意見くらいのイメージで見ていただければ幸いです。

1 キュレーションメディアを思い出す。

ネット上の記事についてのトラブルというと思いだすのが、キュレーションメディアの問題。

キュレーションメディア:Web上にある既存の情報を精選し、まとめ直して新たに公開しているメディアの呼称
キュレーションという言葉は、英語の「curator(キュレーター):美術館などの館長」が由来。数ある美術品の中からテーマに沿って収集し、展示しますることになぞらえて、Web上の情報を選別してまとめ直すことをキュレーションと言うようになった。

まぁ、まとめサイトですね。

2 DeNAの調査報告書(Welq)

そんなまとめサイトで問題になったのが、2016年に起きたDeNAが運営していたWelq(ウェルク)というキュレーションプラットフォームのが記憶に残っている。

当時のDeNAのプレスリリースがこちら

医学的知見を有した専門家による監修がなされていない記事が公開されていたことに関して、かねてより進めている医師や薬剤師などの専門家による医学的知見および薬機法※をふまえた監修体制を速やかに整えます。その上で医学的根拠に基づく監修を順次行い、皆様に安心してご利用いただける状態にしたのち、WELQ編集部名義で記事を掲載していく方針です(上記プレスリリース引用)。

最初は薬機法(旧薬事法)に違反する記事のことからでしたが、著作権違反の疑いがある画像の無断転載などが取りざたされ、最終的に報告書がまぁ300ページ近い膨大なものに・・・

既に当時のリンクは消えていましたので、第三者委員会ドットコムのリンクを引用します。調査報告書の全文リンク先はこちら。要約のリンクはこちら。※要約でも30ページ・・・

著作権や個人情報保護法関係でよくお見掛けする岡村久道先生が名を連ね、著作権法の観点等から調査されたものですが、特に著作権等に関して個別記事調査した結果として、①著作財産権権侵害の疑いがあるといえるもの、そうではないが違反の可能性がないとは言えないもの、②著作者人格権侵害、③倫理的に問題がある、引用が不適切、といったものが掲げられています(報告書29ページ以降)。

DeNAの話はいったん脇に置きますが、まとめサイトとなるとどこかからデータなどをもってきて、再構成して記事にするというのが多くの流れなのかと思いますし、そういったメディアは枚挙にいとまがないと思います。

そういう中でトップに挙げた記事のお話は、まとめサイトの問題について再び起こったことなのではないかなと思います。

詳しく記事に立ち入るものではありませんが、著作権侵害という枠組みはグレーゾーンにあたるのかブラックまで入っているのかということは非常に線引きが難しい問題の一つだと思います。

これは人の感性が作るものであることがゆえんだと思いますが、これはOK、これはNGなどと割り切ることが難しい(であるからこそ、揉めると大きな火種になって燃えていくのかと)。

調査報告書にもあるのですが、コピペ記事のようなものも見受けられるなど倫理的な問題というのも指摘されています。

ビジネス的な側面から、他社の作成したものを参考にしていくということはままあるかと思いますが、そこにフリーライドしていくということは法的な問題がないとしても、トラブルの火種になりうるというところは言えるかと思います。

著作権など法的なところについて問題がないので、というのはひとつの結論ではありますが、そんな簡単に白黒つくものばかりでもないというのが通常ではないかと。

実際、トップに挙げた記事では、相手方とのお話し合いのことも書かれていますが、当事者の話合いが逆に火に油を注ぐ結果となるというのは、正直仕事をする中でも少なくはないところです。

弁護士というともちろんトラブルになってから介入することも多いのですが、トラブルにならないようにこういう立ち回りをする方が被害が少ない(法的な面でも、炎上などの倫理的な問題でも)とアドバイスするなど、経営指南をすることも間々あるところですが、当事者間でこじれにこじれるとまぁ大変です。

著作権としては問題ないだろうけれども、ビジネスジャッジとして最終的な判断を経営者にゆだねなければならないのが弁護士の難しいところではありますが、リーガルリスクだけではなく、レピュテーションリスクというものを考えていくのが必要なところなのではないでしょうか。

トップの件がどういう推移をしていくのかはわかりませんが、ひとつネットメディアなどに関する問題として見ていきたいなと思う次第です。

3 最後に(ネットメディア業界のこと)

最後に問題意識として一つ。

この記事で、第三者委員会の格付けを行う格付け委員会委員長の久保利英明先生も指摘していますが、業界自体の分析というのはまだまだされていないのだと思います。少し調べてみると、やれインターネットで集客するとかそういう記事は数多く、書籍も多く、インターネットを介してのビジネスはコロナのこともあってかますます増えていくのは間違いないでしょう。

でも、そのなかで、ビジネスの根本が見えてこないと同じようなトラブルはまた起きていくのではないかと思います。

インターネットビジネスの肝は何なのかと考えると、現実はPVの極大化すなわち「人集め」になっています。人をどうやったら集められるのか、そして、たくさん人をかき集めるためのツールが「プラットフォーム」と呼ばれているものではないかと。そうだとしたら、キュレーション事業に限らず、どこでも同様の問題が起こり得るのではないでしょうか。それは、「人集めに注力するあまりにコンテンツを軽視する」、もっと言うと「人が集まるようなコンテンツを重視する」ということ。そうすると少々過激でも、怪しくても、「○○するとガンが治った」というような注目が集まりそうなコンテンツをつくってしまうのではないでしょうか(上記記事から引用)。

まさにこういった目を引く記事ばかりが目立つことや人を引っ張るということばかりに注力され、肝心かなめがないがしろにされていくことは、最終的に利用者を含んで損を生んでいくことになりかねないのではないのかな・・・と。

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