![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171467720/rectangle_large_type_2_6cec4a12b6eff1a601c687ae7b93b8bf.png?width=1200)
民法120条1項は読みにくい。目的語が主題化されて、目的語が条文の先頭に来ている。語順を変えて、読みやすくしましょう。
【今日もボクは民法の条文を工事します】
第120条1項 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
うわぁ、これは読みにくい。改行を入れてみます。
第120条1項
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、
制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、
取り消すことができる。
![](https://assets.st-note.com/img/1737715270-5tXV32LroMa0bSw4OUA6WkvN.jpg?width=1200)
まず、この条文の動詞(Verb)は、「取り消すことができる」。
主語(Subject)はどれだろうか?
「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、」←主語かな?
いや、それは主語ではありません。
「行為能力の制限によって取り消すことができる行為」は、主題です。
「行為能力の制限によって取り消すことができる行為」は、もともと目的語です。
この目的語が主題化されて、条文の先頭に来ています。
・主題提示の「は」を、目的語を示す助詞「を」に直し、
・「~取り消すことができる行為」を主題から目的語に戻しましょう。
それでは、この条文の主語(Subject)はどれだろうか?
「制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り」
↑これが主語(Subject)です。
「名詞+は」「名詞+が」が主語になりますが、「名詞+に限り」も主語を表わします。
主語らしさを出すために、「~できる者+に限り」を「~できる者+だけが」と書き直してみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1737715317-TYqZeAhQcH5jt0zdMgSw3UBf.jpg?width=1200)
赤ペンで書き込んだとおりに、条文を工事してみました。
下記のようにスッキリ読みやすくなりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1737729920-KqksPCnm0ti9U3NEQ8oDXzZu.jpg?width=1200)
第120条1項(我流改訂版)
制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者だけが、 ←主語(Subject)
行為能力の制限によって取り消すことができる行為を ←目的語(Object)
取り消すことができる。 ←動詞(Verb)
【主題(目的語)+主語+動詞】という条文は読みにくい。
条文は、【主語+目的語+動詞】という普通の語順であってほしい。