コロナ禍で演奏会を開くにあたっての覚書
・はじめに
書き手は関東地方で11~12月頃に演奏会を開催した吹奏楽団の長です。
本noteは、この先演奏会を開催する運営の人向けに書いています。そのため、奏者(団員)やお客様にとってはあまり書かれたくない事を書いているかもしれません。変な受け取られ方をして燃えたくはないので、一部有料記事としました。ご了承ください。
・要旨
2020年は演奏会クラスタにとって非常に困難を極める年となりました。練習についても会場の確保、参加者管理、当日の体調管理などタスクが増え、本番も施設やその所在地のガイドラインにより開催できるかが変わってくるため、情勢との睨み合いをする日々でした。
2021年、現在の感染拡大状況によりまた情勢は変わってくる可能性は否定できませんが、概ね「密を避け、マスクをし、声を出さない」の三大鉄則を守れば、吹奏楽団の演奏会という(売れっ子アーティストのライブのような大規模ではない)イベントは開催できる風向きではないか、と思っています。
2020年は「演奏会が出来る事がゴール」という向きも無くはなかったですが、今後は「感染症対策と演奏活動の両立」がテーマとなっていくと思っており、本noteはその面においてこの一年思った事、心がけたい事について書いております。
目次(リンクはありません。あしからず)
1.練習会場
2.本番
3.演奏活動とは?
(以下有料)
4.感染症対策の、その先にある演奏会を目指して
1.練習会場
2020年3月以降、演奏会本番・練習の中止や延期が相次ぎました。4~5月は練習会場である公共施設がことごとく休止し、最も早い会場でも6月の再開でした。
6月以降、会場は人数制限が設けられました。概ね定員の半分以下なので、大人数の団体はこの時点でだいぶ苦戦を強いられたと思います(後述)。ただ、本番見通しが立たず演奏会を中止・延期した団体も多かったため、逆に会場自体は6~9月くらいまでは比較的取りやすかったかもな、と思っています。
で、何でこんな過去の話をしているかと言うと、伝えたい点は二点です。
①定員調べるの&定員に抑えるの大変
②これから演奏会が(反動もあって)増えていくと予想されるので、練習会場確保(特に大人数入る会場)争いが熾烈になる予感
まずは①から。
今このnoteを書くにあたり「今人数制限どうなってるんだろう」と思い色々施設予約のHP見てみたり施設HP見たりしました。全然わからん…
実際のところ施設定員は会場担当に確認してもらってたので私の言える事では無いのですが、定員調べるのも割と面倒(というか、施設のHPわかりにくい…)です。
で、同時に定員が団員数以上の施設を取れれば万々歳なんですが、そうとは限らないわけで(弊団体の場合、秋以降に演奏活動再開できた団員や、本番会場が大丈夫そうだったからエキストラ増員などがあり、以前使っていた施設だと入らなくなった、という事がありました)。
その場合、上に書いた事情もあり参加回数の少ない人から優先で参加してもらうなどの制約も出てきて、しかもそれが本番直前でまじぴえんってなりました。あ、長くなってきてるので少しずつ言葉は崩します。疲れるので。
続いて②。
まあ②については、現在進行系で来年の施設予約されてる団体の方が詳しそうで、古い人間(私)は黙っとれという感じです。が、私の視野の範囲で2022年2~3月の演奏会予定がちらほら見え始めているので、来年は結構活動活発なのでは…?
練習会場にしろ、奏者にしろ、本番当日のスタッフにしろ、早めの確保が大事ですね。この問題については大きなテーマの一つなので次の章にて。
2.本番
コロナ禍の本番、会場とのやり取りは大事、ミスると本番当日いきなり中断させられる…そういった話も一時期ツイッターで話題になりましたね。
無料で書ける範囲で申しますと、弊団体でも「舞台上に乗れる人数がホールから伝わっておらず、その人数が演奏曲に見合わないものであったため本番会場を変更」という事案はありました。急な後出しで驚きましたが、こちらも確認が不足していたのは事実。本番4ヶ月前で、今聞いても変わるかも…と思って油断していたフシが、今思えばありました。変わってもいいので聞きましょう、過去の私。
その後変更した会場の方はとても親切で(管理が民間だからかも?)、何度も電話で10分くらい打ち合わせしたり出来たので、多少の行き違いはありつつも問題なく本番を迎えられた感じです。本当は会場名出してオススメしたいけど特定されるので…(これ読むのはほぼほぼ身内だとは思いますが…)。
本番について、私が一番伝えたいのは
配置図で人と人との距離を1m間隔にする際、中心点と中心点との間を1mにしない!人間は点じゃない!面積がある!
もうこれだけ覚えて帰ってもらえればいいです。いや、やっぱり最後まで読んでほしいです。せめて無料部分だけでも。
とりあえず、人と人との距離を1m空けてくださいと言われたら、配置図上は人の中心点と中心点の間を1.7mくらい離しましょう。1.5mでも大丈夫かもしれませんが、一応。
実作業としては、奏者椅子の左前と右前の間隔を1mメジャーないし紐で測るのが良いでしょう。上の話はあくまで配置図作成上の話で。
後、奏者間間隔(奏者ルディスタンス)に関してはまだまだ重要な話があるのですが、そこは有料箇所にて。
もう一点、無料箇所(広く伝えたい事)で大事な話。本番当日の体調管理とリスクマネジメントについて。
本番当日、体調不良者(ここでは37.5度以上の熱や咳症状を指す)が出た場合は乗せられません。残念ですし、ここまで練習をともにしてきたメンバーと乗れないのは無念極まりないと思いますが、お客様にも体調管理、体温測定を義務づけさせていただいている以上、そして何より万一感染が発覚した場合のリスクを考えるとやむを得ない判断です。
さて、問題としては「この状態で演奏会を開いて良いのか?」です。基本的に、団員の間で複数人体調不良者が出た、などで無ければ問題ないでしょう。可能であれば前日リハなどは避け、欲を言えば最終練習日から2週間の間を空けると、なお安心できるでしょう(基本的に1週間空いていれば、本人が診察を受ける事が出来るので問題ないでしょう。ただ陽性の場合のリスクは残ります)。
また、「ソロがある人が体調不良の場合」「運営のメインが体調不良の場合」の想定は必要でしょう。後者の場合、オンラインで連絡を取る準備をする、事前に読めばわかる資料を作って共有しておく、などの対策が良さそうです。
スタッフに体調不良者が出た場合、前日までにわかれば他の人に頼めるようツテを作っておくのが良いと思います(ちなみにフロアだったら私やれますので、必要があればお声掛けください)(宣伝)。
当日聴きに来る予定の親しい人がいれば、前もってお願いしておくのも一手ですね。つい先日そんな案件がありました。
3.演奏活動とは?
いきなり主語がでかい。
演奏活動を行う上で、本番をやりたい人、合奏が好きな人、色んな人がいます。本番後の飲み会が好きな人もいるでしょうけど、それだけでは今の御時世に演奏活動をしないと思うので割愛します。
ともあれ、演奏とは音を出し、聴き、指揮を見て音楽を作る事が必要です。それらの多くは、感染症対策と相対する関係にあります。
音を出すということはマスクを外す必要があり、また水抜きをすれば(全てではないですが)体内由来の水分も発生します。フルートは飛沫が出やすいので配置に気を付ける必要もあります。
上にも書きましたが、多くの会場で人と人との距離を1m離す事を求められます。合奏も然りです。普段より距離が離れると、当然聴く事にも支障は出ます。響きの良いホールだと尚更です。
指揮者がマスクをしていると表情が読めず、演奏面で支障が出るという話もあります(私はそこまで目が良くないのですが…)。
つまり、相反する要素に折り合いをつけながら、必要な施策を取捨選択していかなければならないのです。
例えば、マスクを外さずに演奏することは困難です。水抜きをせずに楽器を吹く事も出来ません。しかし、マスクを外した状態で近距離で話さない、水抜き時のタオルの取り扱いに注意する(ビニール袋に入れるとか、手の消毒をするとか)などの工夫をする事は出来ます。もちろん換気もします。そのような小さな対策の積み重ねです。
また少し話がそれますが、感染症対策と熱中症対策も相反します。練習に来る際、特に夏場の昼間に楽器を持って移動するのは通常時でも大変ですが、マスクをつけていると尚更です。また恐らくですが、来年は夏にも演奏会本番が(オリンピックの影響を受けなければ)開催される可能性が高く、その場合はマスクをしたままお客さんが長時間演奏を聴く事になります。冬場でも体調不良の危険がある状況ですから、夏場だと尚更です。
(練習については、マスク必須の合唱や弦楽演奏の方が、この問題は深刻かと思います。練習時の水分補給、ヨシ!)
ここまで話したように、演奏活動とはゼロリスクで行う事が不可能(演奏活動に限った話ではないが)であり、感染症対策ならびにその影響についても考慮する必要があります。しかしこれらに囚われ過ぎて、本質的な問いを忘れてはなりません。
「何故(それで生計を立てているわけでもない)我々はこの状況下においても演奏活動を続けようとしているのだろう?」
あくまで目指すべきはやりたい演奏、やりたい音楽であり、それを実現するために運営は存在しています。指揮者と運営が別で、音楽性は指揮者に一任していたとしても、合奏の場作り、雰囲気作りなどで責任を負う場面は多くあると思います(自分がちゃんと出来てたとまでは言わないですが)。
あるいは、純粋に好きな曲の演奏が出来れば良いという考え方もあります。それも(周りと合わないなどが無い限り)一つの在り方だと思います。いずれにせよ、運営は演奏会を開催すると目標を置いた以上は、お客様に良い演奏を届けることを第一義に活動すべきです(自分らが楽しむだけで良いなら、わざわざこのご時世に「集客」しなくて良いわけで)。
2020年はまだ知見が集まっておらず演奏会自体も少なかった事に加え、世間も感染症対策が第一義という空気感がありましたが、これから感染症対策は「最低条件」であることがより求められていくと思います。
特に、演出などに力を入れている団体は、その在り方を崩さずにどう対応していくかが、もしかすると団体としての存続にすら関わっていくかもしれません。
これを書いている12/31、感染拡大に関してはなかなか厳しいニュースが入ってきていますが、それとは別の方向からも、2021年はどのように感染症対策と演奏活動という「表現」を両立していくかという課題と戦っていく過渡期になるのかな、と思っております。そんな戦いに挑んでいくであろう皆様のお役に少しでも立てるのであれば、この文章を書いた甲斐があるというものです。
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