この世の美しいもの。映画「悪人」※ネタバレ注意
2010年公開の「悪人」がとてつもなく好きで、今でも年に2〜3回は観ています。
終盤に灯台の下で祐一が言った「なんでこんな人間なんだろ…」から、すごく伝わってくるものがある。いつも深い部分が揺さぶられる。
続編を求む…✨(ないか笑)
悪人ってキャストも最高すぎるんですけど、私の中でとくにヒットしたのが柄本明さん。
柄本さんといえば、きいろいゾウもよかった🟡悪人とは全く毛色が違うけど、アレチさんというとても味わい深い人を演じてる。面白かったしほんわか癒される作品だった。
岡田将生さんもめちゃくちゃ面白い。狂気を感じる。宮崎美子さんとも似た雰囲気を感じる。
主人公はよく見ると思いっきり妻夫木くんなんだけど、いつも秒で妻夫木くんであることを忘れる。そこも好きすぎる。佳乃と餃子をつついていた大人しいほうの友達も絶妙な味を出してた…
死んだ佳乃(娘)を見つめる柄本さんの表情が本当の父親みたいで泣けるねん。。。
クソ男の演技が絶妙にうますぎる岡田氏。ふふっと笑ってしまう。サイコパスの演技もうまそう。
柄本さん演じる佳乃の父は、娘を亡くした人間を笑うクソ男に見せた表情が凄まじかった。あんなに心を裸にできる人を、今までに見たことがなかった。何度見ても凄まじいです。是非、観ていただきたいです。
岡田さんが演じた増尾をクソ男と呼んでいますが、空気を読まない佳乃にイライラして車から降りてもらいたかった気持ちはめちゃくちゃわかります。しかし自分から誘って佳乃を車に乗せたのに、とんでもなく中途半端な場所で降ろした上に蹴りまで入れてきたので、仕方なくそう呼んでしまってる。
久々に悪人を観て、男の愛情をもっと感じたいと思った。
不潔なものを一方的にぶん投げる幼稚で萎える偽物じゃなくて、本気(本物)の愛情。
それをもっと観察して、記憶が薄れる前に文章にしたい。
あれは本当に美しいから、男が本気で憎くて仕方ない人に読まれたい。
なにより私自身を癒すことができると思う。
そのために私は本気で関わっていかなければいけない。
そういう意味で、柄本明さんってまじですっげー…と肌でビリビリ感じる役者さん。ウィキってみるとうちの父と同い年だった。冥王星は獅子座。
柄本さん、感情の出し方が美しい。エンドロールに入る前の妻夫木くんの表情も最高だった。なんであんな表情ができるの?なにを想ってたのかなぁ…✨ため息が出るほど美しかった。
映画「悪人」は、本気の愛情を感じられるから好きなのかもな。何度も何度も観て癒されてる。美しくて心の中でずっと拍手してるあたい。
柄本さん演じる佳乃のお父さんがクソ男と対峙してるときの顔、亡くなった娘に会えたときの嬉しそうな顔。
妻夫木くん演じる清水祐一が今光代といると苦しくなると涙を流す顔、光代と美しい日の入りを見てるときの顔。
それから祐一の祖母を励ましたバスの運転手さん。
何度も言っちゃうけど本当に美しかった。
妻夫木くん演じる祐一は他人を殺してる。それを忘れてしまうほどの美しさなんだよね。ふと我に返ったときにそれが恐ろしくもあり、悲しくもなった。悲しくなったのは祐一の素敵なところも知ったから。
黙って家族を支えたり、関わる人に惜しみなく時間や労力を使ったり、
光代を共犯にさせないために?これ以上光代の人生を奪わないために?警察が迫りくる直前に、意を決したように光代に危害を加えていた。勝手ながら光代を必ず元の道に戻すという意図を感じた。
光代を本気で大切に思うから、いつかは元の道に帰さないといけないってずっと思ってたんじゃないかな。
祐一と最後まで一緒にいた光代は、祐一によって殺害された佳乃に手を合わせる遺族のような人を目にしたとき、我に返ったのかな。私はここでサーッと血の気がひいた。あの場面で流れてきた音楽で、光代が元の生活に戻らざるを得なかったことを感じた。
しかし、本物の愛や美しさというものは心に残り続ける。
それは客観的に作品を観てるからそう思うのかもしれない。これが実体験で自分が光代だったなら、混乱してパニックになってるかもしれない。
この映画でとくに好きなシーンは、冒頭にも少し書きましたが、終盤の祐一が「光代と会うまではなんとも思わなかった。あの女が悪かったから(殺されて)当然だろって思い込んでた。けど今光代といると苦しい。一緒にいるほど苦しくなる。今まで生きてるのか死んでるかもよくわからなかった。俺に触るな。なんでこんな人間なんだろう。」と言うところ。
ひとは安心を感じると適切な温度を取り戻す。
だがしかし祐一は佳乃を殺害したあの夜、自分との約束を破り、目の前で別の男と一緒にいることを選んだ佳乃に苛立ち(佳乃は曖昧な約束だったと言うが、祐一はちゃんと約束したと言っていた)、佳乃が乗った増尾の車を後ろから追いかけていた。
佳乃は勝手に追いかけられていたことに苛立ち、祐一に濡れ衣を着せようとした。祐一は嘘つくな!と高揚し、佳乃を殺害した。
約束を破られて濡れ衣まで着せられそうになった祐一が苛立って混乱する気持ちはとてもわかるが、時間や労力を使ってまで自分をぞんざいに扱う人間を追いかけていく気持ちは全くわからない。
私としては、勝手に後ろから追いかけられていたことに苛立つ佳乃のほうに深い共感がある。その恐怖もわかる。
私は中2のときに夜道を歩いていたら、全く身に覚えのない緑のキャップを被った長身の男が後ろからニヤニヤとついてきていた。「は?なんで私が逃げてやってんの??コレに追っかけ回されて死ぬぐらいなら、コレを追っかけ回して同じ恐怖を与えて、更に56す!!!!!」と本気で思い、Uターンをして、ガチの321を持って「追っかけ回される側はオマエだ〜!!!生きて返さねーぞー!!!!」と叫びながら、10分ほど全速力で追っかけ回したことがある。体力のある部活少女だった。
祐一と同じ行動をしているようだが、祐一の場合は何者かに追っかけ回されてるわけではないから命の危険性はない。
そこからやられっぱなしという状態が完全に無理になった。その2年後、さらに力をつけた私は父親のDVを素手でやめさせることに成功した。
うぉぉぉぉ、なんじゃこの人生はー😂女の子なのにぃぃぃぃ!けど、ずっとリスペクトしてるのはストリートファイターのチュンリー様だ。もう女の子って歳ではまったくないが、普通の女の子になってみたいなぁ。(見た目超普通ww)
話は戻り、一緒にいると苛立つような人間と連絡をとってプライベートで関わろうとする佳乃の気持ちも全くわからない。
しかし殺害までされたら、ありとあらゆる手段を使ってあの世からそいつを奈落の底へ突き落とすと思う。死んだら終わりじゃない(*゚ー゚*)
光代といるときの祐一はとても好きだ。
祐一が光代と一緒に暮らす夢を見たと言って、光代がどんな家だった?書いて!と言って、祐一がいや〜なんて説明したらいいかわからない、書く…?みたいなやり取りをしてはにかむところもすごく好き。
光代のような優しさは、ひとの愛情のようなものを育てるんだろうな。いや、祐一もだなそれは。
勘違いしてることもあるかと思いますが、好きに語らせていただきました。大好きな作品です。
こちらのサイトの「悪人」のレビュー、おもしろかった。原作も読みたい。
https://moviewalker.jp/mv45783/review/