「響く」 〔詩〕
名前の分からない楽器の音がして
気持ちよく聴こえる
空気が震えて
空が震えて
ずっと遠回りしてボクの鼓膜が震えているのに
どうしてか先回りしてくれる
ボクがその音を聴くときは
絶対にその音が先に存在しているから
とても安心していられるんだ
変に気を回したり空気を読んだりしなくてもよくて
音が先回りしてくれる
からっぽのボクに少し何かが注がれて
後から後から注がれて
こぼれ落ちたら
また注がれる
誰の歌かわからない歌声がする
勉強嫌いのキミは
そんな難しい言葉をスラスラ覚えては
ボクに歌って聴かせた
キミが前もって考えて
それより前に誰かが歌った歌が
ボクの好きな音になって
また先回りしてくる
キミを追い越す日が来るとは思わない
これは何かが震えて
注がれた何かが溢れただけだから
とても難しい言葉が響く
「さよなら」
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