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tamochaos
足音は鳴り響く。
秋に見た鱗雲の持ち主は、さぞ気風の良いやつだと分かるほどのブルーの風が吹いている。風の冷たさを和らげるように、太陽の腕が空をかき回す。
今日は晴れだ。
歩く。
数年前から使っているコートと手袋。それから、去年の年末に慌てて買った冬靴が手足を守る。暖かい。
公園の木々はまだ薄着でいるのに、その姿がナチュラルに冬を越えるスタイルだというのが可笑しい。でも向こうからすれば、体中の毛を必死になって剃っている癖に誰よりも寒がりな方が滑稽に見えるかもしれない。
人でいるのも楽じゃない。
でも、人でいるために歩くことにする。止まっていたら、木と人に違いなど無いに等しいから。
冬靴の裏で、畳んだままのスパイクの音がする。
道路と金属が擦れて、砂の粒ができる音がする。
いつのまにか風のことなど気にもせず、足音にだけ集中していた。
足音。それが木と人の違いが一番わかる生態なのかもしれない。
だから、歩く。
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