いい加減なことが好ましいときもある

　熱しやすく冷めやすいのは相変わらずだから、カフェインレスのコーヒーを飲んで気分だけでも整える。コーヒーカップを唇に当てながら、カフェインレスとデカフェの違いはなんだ？　と、たいして興味のない疑問が浮かぶ。ノンカフェインもあるな、と。
　まあ、どれかが日本の造語で、あとは英語なんだろうと適当に納得する。
　奇心旺盛な人はすぐに調べるんだろうか？　と、ズボラな私の頭はすでに別のところにフラフラ歩き出していた。このままにしておくのは気持ち悪いのだろうかと思うと、余計にそのままにしておきたくなってしまう。
　今やSNSがこんなに普及して、自己顕示欲やら承認欲求やらで見栄えの良いことを追求するのが好きな人がたくさんいるのは、世界の常識となった。だったら、見栄えの良いことじゃなくて、何だかモヤモヤすることとか、スッキリしないものを見せたい人がいても不思議じゃないけど、あまり見た気がしない。そういうものは排除されるようになっているのかもしれないけど、世界中の人達があの空間に集まっているように錯覚してしまうから、歪さを感じてしまう。
　シンデレラが幸せになれたのは舞踏会に行ったからかもしれないし、実は魔法が１２時で切れるのが丁度いい塩梅だったかもしれないし、魔法使いの作り出しだドレスのデザインセンスが抜群だったのかもしれない。意外と、王子様は「結婚はまだか」という親からのよくあるプレッシャーが嫌で、確実に結婚できるなら誰でも良かったのかもしれない。

　こんな取り留めのない頭の中の会話くらいハッピーエンドに持っていきたいものだが、私はあまり得意ではないらしい。
　コーヒーカップが冷たくなる。
　ノンカフェインはカフェインがゼロの商品で、デカフェは、カフェインを取り除いているもの。カフェインレスは、最初からカフェイン量が少ない商品らしい。
　結局は、モヤモヤして調べてみた。
　シンデレラが幸せになったのも好奇心に従ったからか。そんな気がした。