記憶がかすれる。
都合よく忘れていくことが沢山ある。
好きな芸能人のドラマ。
夢中だったゲームソフトのタイトル。
ずっと昔にやめてしまった趣味のこと。
たばこの安心感と温度。
「記憶」にある。
ただ、それだけになっていく。
よく「瞼の裏に」なんて言うけど、ほんとにそんな感じ。
目を開いていても眼球が覆われて隠れている部分、そう、その部分に探している情景があるのが分かっている。分かっているのだけど、目を閉じて直視しようと思っても何も見えない。
そんな感じ。
真っ暗な中。
うっすら爪で付けた跡が、印をつけた人だけが見つけられるような位置に本当にうすく残っている。
他人からは決して見られないもんだから、綺麗にディフォルメして見えるふりしてる。
スマートフォンの平らな表面をなぞっているうちに、いずれキーボードも忘れてしまうのだろう。このキーの溝も、ナニモカモ。
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